22 / 51
第22話 真実は、作り上げるもの
しおりを挟む
その質問にガムランは平然としながら答える。罪悪感のかけらもない態度。
「こちらで、裏切り者の濡れ衣を着せたやつが1人いる。そいつを戦犯ということにしてしまえばいい」
「そうよ。悪いのはそいつってことにしてしまえばいいの。かんたんでしょ」
つまり、それがメルアってことか。
「この優秀な俺様が教えてやろう。真実というものはな。作り上げる物なんだ。愚民どもはな、答えが欲しいのだよ。自分たちが失敗した理由の答えを。だから、こちらでその理由を、人柱を用意してやればよいのさ。この女が悪いという理由付けのためにな」
その言葉にデュラハンは呆れかえったのだろう。一息ため息をついた後、言葉を返す。
「フン。あんた、並の魔王軍よりえげつねぇ考えをするな。まあいい、そっちの方は任せた。では4日後、よろしくな」
そしてデュラハンがこの場を去っていく。それを見届けると、ガムランと文香もこの場を去ってった。
2人の姿が見えなくなる。
「もう話して大丈夫だ。とりあえず犯行現場を押さえた」
「そ、そうだね……」
メルアは2人のクズっぷりに引き気味になっている。当然だ。俺も、そう考えていた。
「でもよ、どうすんだこれから」
「とりあえず。このことを要人に話そう。前日の夜、秘密裏に村の外に避難してほしいと言っておく。そうすれば人質を取られることはない」
「でも、メルアの濡れ衣はどうすんだ?」
そこなんだよな。確かに俺たちはようやくメルアの無罪。そして文香とガムランの裏切りの証拠を手に入れた。
村の要人に関しては、大丈夫だと思う。もともと争いのある地域。「この辺りを襲うという噂があるから、念のために夜避難してほしい」といえば大丈夫だろう。
それでも俺の心の中で疑問が残る。
「村の冒険者たち、果たして俺の正論を受け入れてくれるのかな?」
確かに俺たちは2人が裏切り者であることを知った。しかし、ギルドでそれを叫んだところで、2人がそれを認めるわけがない。
いくら俺が正論を言っても、ガムランの言葉を信じ切ってしまって、聞く耳も持ってくれなかった。
「理論だけじゃ、彼らには伝わらないんだ。どうせ屁理屈をつけて、メルアを否定してくるだろう」
「じゃあ。どうすればいいんだよ。理解するまでぶん殴って、強制的に認めされるのかよ!」
「ダルク、お前はとりあえず何でも暴力に訴える考えをやめよう」
全く。こいつは暴力的過ぎる。どこかで直さないと、ろくな大人にならないぞ……。
「証明すればいいんだ。メルアが、裏切り者でないことを」
綺麗ごとかもしれないけど、これしかない。戦いながら、一緒に戦っている仲間ということを見せればいいんだ。
「俺たちが、村の冒険者の前で魔王軍と戦う。それで勝って、認めさせるのがいいと思う!」
「──そうだね。それもいいね」
メルアの表情が少しだけ明るくなる。俺の心も、少しだけ安堵し始めた。
やっぱりメルアは笑った表情が一番似合う。
「とりあえず、夜も遅いし帰ろう」
「ふぁ~あ、そうだね。信一君」
メルアがあくびをしている。今日もいろいろあったし、早く帰って寝よう。
俺たちは周囲に気を配りながらこの場から立ち去る。
3日後。
予定の奇襲の前日。
前日に、ガムランたちに気付かれないように後方の村へ。
「要人たちを狙っていると噂にあっている。一応後方の村へ避難した方がいい」と──。
村長たちは、特に疑いもなく了承してくれて、避難してくれた。
その翌日。
本当に魔王軍は村を襲ってきた。
デュラハンとの打ち合わせ通り、魔王軍 挟み撃ちにするという形で。
冒険者たちは不意をつかれる形になり、苦戦を強いられる。
当然俺たちも出動。
面食らったという雰囲気を感じながら、俺たちは「デュラハン」達に立ち向かう。
デュラハン達と交戦。特に苦戦もなく、次々とデュラハン達を倒していく。
その姿を見て弓を持った冒険者が俺たちに話しかけてきた。
「村の西あたりが激戦区になっている。応援に行ってくれないか?」
「わかった。そこで魔王軍たちを血の海にすればいいんだろ」
相変わらずのダルクの過激発言、そして俺たちは激戦区となっている村の西側へ移動。
冒険者の言葉通り、政治や病勢に関する施設が密集する西部はたくさんのデュラハン達と冒険者が戦っている激戦区となっていた。
そして、冒険者たちが戦っている場所に視線を送る。
「なんだよ。負けてるじゃんかよ。弱っち―奴らだなあいつら!」
ダルクの言う通りだ。
現場では、阿鼻叫喚ともいえる惨状だった。
「なんだこいつ、強すぎるだろ!」
「誰か、こいつらを止めてくれ~~」
もはや勝負にすらなっていない。ここにいるのは雑魚敵のデュラハンではなく、比較的強力な敵たちだ。
特に強いのが、腕に大砲を持ち、筋肉質な外見ヒュドラ、灰色の体つきに長いからだ。仮面をかぶっていて表情が全く見えない化け物。
ヒュドラは先日戦ったからわかる。けどもう1人はよく知らない。
「知ってるぜ。こいつゾドムっていうんだ。ヒュドラと同じくらい強いやつだ」
サンキューダルク。
こりゃ苦戦は必至だな。この前は3人がかりでやっとヒュドラを追い詰められた。今度は3対1というわけにも行かない。
現に彼ら2人は何十人という冒険者を圧倒している。
強敵とも言える魔王軍に対し、冒険者たちはボロボロになりながら、気力だけで戦っている感じだ。
「フッ。雑魚どもが。そんなお遊戯で、この私に勝てると思うな!」
そんな中、ひとりの人物がやってきて叫ぶ。
高らかな笑い、傲慢な態度。ガムランだ。
「はっはっはっ。これまでだ魔王軍たちよ。私が来たからにはこれまでだ」
「こちらで、裏切り者の濡れ衣を着せたやつが1人いる。そいつを戦犯ということにしてしまえばいい」
「そうよ。悪いのはそいつってことにしてしまえばいいの。かんたんでしょ」
つまり、それがメルアってことか。
「この優秀な俺様が教えてやろう。真実というものはな。作り上げる物なんだ。愚民どもはな、答えが欲しいのだよ。自分たちが失敗した理由の答えを。だから、こちらでその理由を、人柱を用意してやればよいのさ。この女が悪いという理由付けのためにな」
その言葉にデュラハンは呆れかえったのだろう。一息ため息をついた後、言葉を返す。
「フン。あんた、並の魔王軍よりえげつねぇ考えをするな。まあいい、そっちの方は任せた。では4日後、よろしくな」
そしてデュラハンがこの場を去っていく。それを見届けると、ガムランと文香もこの場を去ってった。
2人の姿が見えなくなる。
「もう話して大丈夫だ。とりあえず犯行現場を押さえた」
「そ、そうだね……」
メルアは2人のクズっぷりに引き気味になっている。当然だ。俺も、そう考えていた。
「でもよ、どうすんだこれから」
「とりあえず。このことを要人に話そう。前日の夜、秘密裏に村の外に避難してほしいと言っておく。そうすれば人質を取られることはない」
「でも、メルアの濡れ衣はどうすんだ?」
そこなんだよな。確かに俺たちはようやくメルアの無罪。そして文香とガムランの裏切りの証拠を手に入れた。
村の要人に関しては、大丈夫だと思う。もともと争いのある地域。「この辺りを襲うという噂があるから、念のために夜避難してほしい」といえば大丈夫だろう。
それでも俺の心の中で疑問が残る。
「村の冒険者たち、果たして俺の正論を受け入れてくれるのかな?」
確かに俺たちは2人が裏切り者であることを知った。しかし、ギルドでそれを叫んだところで、2人がそれを認めるわけがない。
いくら俺が正論を言っても、ガムランの言葉を信じ切ってしまって、聞く耳も持ってくれなかった。
「理論だけじゃ、彼らには伝わらないんだ。どうせ屁理屈をつけて、メルアを否定してくるだろう」
「じゃあ。どうすればいいんだよ。理解するまでぶん殴って、強制的に認めされるのかよ!」
「ダルク、お前はとりあえず何でも暴力に訴える考えをやめよう」
全く。こいつは暴力的過ぎる。どこかで直さないと、ろくな大人にならないぞ……。
「証明すればいいんだ。メルアが、裏切り者でないことを」
綺麗ごとかもしれないけど、これしかない。戦いながら、一緒に戦っている仲間ということを見せればいいんだ。
「俺たちが、村の冒険者の前で魔王軍と戦う。それで勝って、認めさせるのがいいと思う!」
「──そうだね。それもいいね」
メルアの表情が少しだけ明るくなる。俺の心も、少しだけ安堵し始めた。
やっぱりメルアは笑った表情が一番似合う。
「とりあえず、夜も遅いし帰ろう」
「ふぁ~あ、そうだね。信一君」
メルアがあくびをしている。今日もいろいろあったし、早く帰って寝よう。
俺たちは周囲に気を配りながらこの場から立ち去る。
3日後。
予定の奇襲の前日。
前日に、ガムランたちに気付かれないように後方の村へ。
「要人たちを狙っていると噂にあっている。一応後方の村へ避難した方がいい」と──。
村長たちは、特に疑いもなく了承してくれて、避難してくれた。
その翌日。
本当に魔王軍は村を襲ってきた。
デュラハンとの打ち合わせ通り、魔王軍 挟み撃ちにするという形で。
冒険者たちは不意をつかれる形になり、苦戦を強いられる。
当然俺たちも出動。
面食らったという雰囲気を感じながら、俺たちは「デュラハン」達に立ち向かう。
デュラハン達と交戦。特に苦戦もなく、次々とデュラハン達を倒していく。
その姿を見て弓を持った冒険者が俺たちに話しかけてきた。
「村の西あたりが激戦区になっている。応援に行ってくれないか?」
「わかった。そこで魔王軍たちを血の海にすればいいんだろ」
相変わらずのダルクの過激発言、そして俺たちは激戦区となっている村の西側へ移動。
冒険者の言葉通り、政治や病勢に関する施設が密集する西部はたくさんのデュラハン達と冒険者が戦っている激戦区となっていた。
そして、冒険者たちが戦っている場所に視線を送る。
「なんだよ。負けてるじゃんかよ。弱っち―奴らだなあいつら!」
ダルクの言う通りだ。
現場では、阿鼻叫喚ともいえる惨状だった。
「なんだこいつ、強すぎるだろ!」
「誰か、こいつらを止めてくれ~~」
もはや勝負にすらなっていない。ここにいるのは雑魚敵のデュラハンではなく、比較的強力な敵たちだ。
特に強いのが、腕に大砲を持ち、筋肉質な外見ヒュドラ、灰色の体つきに長いからだ。仮面をかぶっていて表情が全く見えない化け物。
ヒュドラは先日戦ったからわかる。けどもう1人はよく知らない。
「知ってるぜ。こいつゾドムっていうんだ。ヒュドラと同じくらい強いやつだ」
サンキューダルク。
こりゃ苦戦は必至だな。この前は3人がかりでやっとヒュドラを追い詰められた。今度は3対1というわけにも行かない。
現に彼ら2人は何十人という冒険者を圧倒している。
強敵とも言える魔王軍に対し、冒険者たちはボロボロになりながら、気力だけで戦っている感じだ。
「フッ。雑魚どもが。そんなお遊戯で、この私に勝てると思うな!」
そんな中、ひとりの人物がやってきて叫ぶ。
高らかな笑い、傲慢な態度。ガムランだ。
「はっはっはっ。これまでだ魔王軍たちよ。私が来たからにはこれまでだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる