~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕

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ローデシア帝国編

アドナとの、決着

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 そして、俺とアドナの戦い。

 序盤から、互角の戦いを繰り広げていた。

「フライ──貴様、強くなりやがったな」

「当たり前だ。だからこうしてお前に立ち向かっているんだ」

 俺が攻めればアドナが守り、アドナが攻めれば俺は攻撃をしのぐ。
 そんな一進一退の攻防。

 しかし、終盤──。アドナが息切れをしはじめる。
 ほんの少しだが、動きが落ちた様な気がした。

 恐らく、スキァーヴィの力を使いこなしきれていなかったように、スワニーゼから与えられた力も使いこなしきれていないのだろう。

 ゆえに、魔力の使用にロスが生じているか、魔力の強さに体が消耗してしまっているのだろう。

 レディナから与えられた力は、フリーゼの力と同じように俺が使うのに最適な力加減となっている。

 一緒に旅をして、一緒にずっといたからできる。そこが、アドナとの最大の違いだ。
 そして、この戦いに決着をつけるため、一気に前へ出る。

 軽やかな踏み込みから、流れるような連続攻撃をアドナに仕掛ける。
 アドナは力任せにいったん左にそれるが、振り下ろされるはずだった俺の攻撃は、アドナを狙い撃ちするように軌道を変える。

「貴様っ!」

 アドナは腹を切り裂かれる直前で俺の一撃を叩き伏せ、一端距離を取る。

「ふっ、フライにしては、そこそこ強くなったようだな──」

「声が震えてるぜ、アドナ」

 そう、いつもは俺を見下すことしかできないアドナ。そんな彼の声が、どこかうわついて、震えているように感じた。

 余裕ぶっていても、理解しているのだろう。今の俺が、今までの俺よりずっと強くなっているということを──。

「し、仕方ない。この俺様、本気を出して、お前を殺す!」

「できるものなら、やってみろ!」

 今度は、二人同時に踏み込んだ。

 アドナが目にもとまぬ速さで剣を俺の心臓を目掛けて突き刺そうとすると、俺も負けじとその剣に向かって突き刺す。

 互いの剣は切っ先が直撃し合い、弾かれた。
 俺の方が威力が弱かったせいか、アドナの攻撃を抑えきれず、のけ反る。

 しかし、アドナも攻撃を受けきれなかったようで、体が沿っていた。そして、俺の方がわずかに早く体勢を立て直し──。

 アドナの無防備な足元を目掛けて振り払う。

 アドナはわずかに靴をかすったものの背後に飛んで回避。俺はカウンターに気を付けながらさらに追撃に入る。

 流れるような連続攻撃。
 レディナが勝利のための最短ルートをたどる術式をこの体で使っているのだから当然だ。

 俺の打ち込みがアドナの脇腹にヒット。アドナは防戦しつつもカウンターを見舞うが、全部反応できている。

 その間にも俺は少しずつダメージを与えていく。

 俺の打ち込みをアドナが受け止めると、瞬時に次の攻撃がアドナの胴体を狙う。
 それをしのいでも喉──、左足、右腕、左目。

 致命傷こそ与えられてないものの、着実にアドナにダメージを与えていく。

「クソが──この雑魚野郎!」

 ──とはいえ、リスクもある。

「うっ……」

 体が、軋むようだ。無理はない、これは、俺の動きではなくレディナの動き。
 普段使っていない動きを多用しているため、体に負担がかかってしまっている。

 極めつけはこの動き。レディナのこの力を使っている時の動きは、精霊体でしか本来使えない。
 人間である俺の身体では、彼女の動きを再現するのに限界が来てしまう。


 早めに、決着をつけないと──。

 すると、アドナが叫び始める。

「うおおおおおおおおお!!」

 突破方法は少ないが、ある。規格外の力で連撃をはじき返したり、単純に打ち合いそのもので上回ったり。

 アドナは全力を込めて、俺の攻撃を打ち返してきた。

 今までにないくらいの威力、慌てて俺は身を引く。
 アドナがそれに乗じて一気に迫ってきた。

「これで終わりだ。フライィィィィィィィィィィィィィィ──!」

 アドナが一気に剣を再び振り下ろす。形はどうあれ、アドナの想いがよく伝わってくる一撃だ。

 それでも、俺は負けるつもりはない。

 アドナの渾身の攻撃。それを受け止めると、手首のスナップを効かせてくるりと返し、一気に前へと出る。

 そこには、無防備となったアドナの姿。
 この一撃で、俺とアドナの因縁を終える。そんな強い想いを込めて、一撃を繰り出していく。

「これで終わりだ、アドナ!」

 一気に剣を振りかざしていく。しかし──。

「さ、させるかぁぁぁ!」

 アドナはなんと俺が振りかざした剣を、空いていた左手で無理やり掴んで受け止めたのだ。
 かなり無理があったのか、左手から血がにじみ出ている。

「フライ、フライ、フライィィィィ──」

 アドナの、最後の意地だろう。決して負けたくないという……。しかし、そんな無理やりな体制での受け。

 例え剣を受けたとしても、今度こそ胴体ががら空きだ。
 そのがら空きとなった胴体を目掛けて、空いている握手で拳を作り──。

 思いっきりアドナのみぞおちをぶん殴った。

 アドナの体は宙に吹き飛ばされた後、そのまま地面に落下。そのまま倒れこんだまま、陸に打ち上げられた魚の様にピクピクと動くが、すでにアドナから魔力は感じないし、戦う力がないというのがわかる。

「どうして負けた……、フライなんかに、フライなんかに……」

 アドナは天井を見上げながら涙を流して呟く。
 アドナなりに力を尽くして戦ったのだろう。

 俺はアドナのそばにより、複雑な気持ちになる。

「簡単だ。お前は、結局誰も信頼することはなかった。周りを見下し、見捨て、仲間はどんどんお前から離れていった」

「当然だ。俺が最強で、他がゴミなのだ──」

「そんな考えだからだ。そして、お前は自分が強いという妄想と“裸の王様となっていく現実”とのギャップを埋められず、復讐心に染まり、邪悪な熾天使と手を組んだ。実際は、熾天使たちはお前を利用することしか考えていなかったのにな」

「だまれ……、お前の説教など、聞くものか」

「だから負けたんだ。そうやって周囲からの忠告を受け入れず、復讐のためにドンドン悪に落ちていって──、お前のことなんて何も考えてない力を受け入れてな」

 レディナもフリーゼも、俺のことを心から信頼してくれた。だから自分の力を削いでも俺に力をくれた。

 その力はただの力ではない。俺のために二人が思いを込めてくれた力。
 だから安心してその力を預けることができた。

 一番の差は、その部分だろう。
 そして、俺はレディナの方へと視線を向ける。

 俺に力をくれたレディナ。勝てるといいのだが……。
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