47 / 103
第47話 元勇者 何とか勝利するが?
しおりを挟む
そしてハイドが剣を振り上げると俺は大きくバックステップを取る。
(今だ、ルシフェル!!)
俺は後方に視線を向けルシフェルとアイコンタクトを取る。
ルシフェルは力を振り絞って剣に魔力を込めた。
「受け取りなさい。私達の想い!!」
ハイドがその剣を目の前で薙ぎ払う。するとその剣から魔力を伴った砲撃を放ちルシフェルの攻撃と衝突。
ドォォォォォォォォォン!!
一瞬奴の足が止まった、そして攻撃を防ぎきれずに数メートルほど身体を吹き飛ばす。その瞬間を俺は見逃さない。すぐに間合いを詰める
「何だと──」
「さあ、俺達の想い。受け取りやがれ!!」
人が希望を抱く時、語り継がれる光が現れる
<光属性・ホープ・ライト・スラッシュ>
ズバァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!
初めて届いたハイドへの有効打、防ぐことができず彼の体が後方に吹き飛び民家の壁に叩きつけられる。
(とりあえず、一撃は与えたか──)
俺とルシフェルはアイコンタクトを取る。そしてルシフェルが「ヒュドラ」へ向かっていく。
すると──。
ハイドはすでに立ち上がり「ヒュドラ」へ向かっていったルシフェルに黒い球状の攻撃を繰り出す。
(えっ──)
突然の攻撃にルシフェルはとっさに身を後方に投げて攻撃をかわす。
困惑するルシフェル、俺も驚いた。確かにあの一撃はかなり強力なものだった。倒しきれてはいないかもしれないがすぐに立ち上がることは出来ないはずだ。
そしてハイドはフラフラと定まらない足取りで、ゆっくりと俺達の方へ向かってくる。
(何かがおかしい──)
よく見るとまがまがしい漆黒の光がさっきより何倍も強くなっている。
ハイドを包んでいる闇属性の力が嘲笑っているかのようにカタカタと震えていた。
ぐったりとうなだれ、体から生気が失われている。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
その叫び声が聞こえた瞬間、彼はこっちを睨みつける。
ギロッ──!!
その視線を突き付けられた俺、だけじゃない、恐らくルシフェルも感じているだろう。
まがまがしく邪悪なオーラ。殺気と破滅への衝動を痛いほどつきつけている。
だがさっきとは明らかに違う。さっきまでのハイドは立場こそ違えど、大切な立った一人の家族を守るため、なりふり構わず戦っている。そんな印象を持っていた。
しかし今はそんな状態ではない。俺だって勇者としてずっと戦ってきた、そういうのは相対すればなんとなくわかる。
(そういうことか──)
俺は今彼に起こっている現象を理解した。
これが闇属性の魔術を使った時の代償だ。
闇属性の力の特徴、それは力そのものに意思を持っているということだ。
それは破壊や滅亡への意思。
そして使用者が精神的、体力的に消耗しているとその精神が闇の力に飲まれてしまうのだ。
闇属性の力を使った代償。
コッ──、コッ──。
ハイドがゆっくりと一歩一歩近づいてくる。彼自身の意思を感じない、まるでゾンビのように。
もはや今のハイドに意思はない。
今はただ闇の力を供給するだけの存在になってしまっている。
そして恐らく彼の魔力が果てれば使い捨てのられるのだろう。
「ハイド、目を覚ませ。お前の大切な物は何だ!!」
俺は精一杯の感情を込めて叫ぶ。しかしハイドは俺の言葉にピクリとも反応しない。そりゃそうだ、今まで戦っていた敵同士、信頼関係なんてない。
「まったくもう、それでも私の幹部? もっとしっかりしなさいよ!!」
ボロボロになりながらルシフェルが叫ぶ。そりゃそうだ、いくら強くても本能のままに戦うだけなんてそこいらにいる魔獣とかわらない。
そう心の中で叫んだ瞬間ハイドがこっちに向かって突っ込んでくる。
そして再びその剣を振り上げ攻撃してくる。
俺はその攻撃を受けて感じる。
(何だこのパワー、さっきとは格段に違う)
さっきより格段に力が上がっている。力任せで猪のような攻撃。
ガードしようにも魔力が強すぎてガードしきれない。
漆黒の光よ、死の力宿して闇夜に轟け!!
ジェノサイド・サイクロン・スレイシング!!
まずい、強力なのが来る!!
ただならぬ力の気配を感じ後方に身を投げ直撃を防ぐが──。
ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──!!
この術式は強力な斬撃であると同時に風属性の攻撃を周囲に轟かせる術式でもある。
斬撃をかわすのに精いっぱいな俺にはどうする事も出来ない。
攻撃が俺に直撃、肉体は吹き飛び受け身なしで壁に叩きつけられる。
全身が軋むような痛み。体が悲鳴を上げているのが分かる。久しぶりだぜ、この感覚──。
足に力が入らない中、痛みに耐えながら剣を土に突き刺し腕に力を込め強引に立ちあがる。
すぐに次が来るとわかっているからだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
そしてハイドが一気に突っ込んで来た。勝負を決めると言う強い気持ちが見ているだけで伝わってくる。
何とか体の感覚が戻り俺も奴の懐へ突っ込んでいく、接近戦なら俺にだって勝機がある。
だが──。
(そういう戦い方なら、俺にだって考えがある!!)
(今だ、ルシフェル!!)
俺は後方に視線を向けルシフェルとアイコンタクトを取る。
ルシフェルは力を振り絞って剣に魔力を込めた。
「受け取りなさい。私達の想い!!」
ハイドがその剣を目の前で薙ぎ払う。するとその剣から魔力を伴った砲撃を放ちルシフェルの攻撃と衝突。
ドォォォォォォォォォン!!
一瞬奴の足が止まった、そして攻撃を防ぎきれずに数メートルほど身体を吹き飛ばす。その瞬間を俺は見逃さない。すぐに間合いを詰める
「何だと──」
「さあ、俺達の想い。受け取りやがれ!!」
人が希望を抱く時、語り継がれる光が現れる
<光属性・ホープ・ライト・スラッシュ>
ズバァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!
初めて届いたハイドへの有効打、防ぐことができず彼の体が後方に吹き飛び民家の壁に叩きつけられる。
(とりあえず、一撃は与えたか──)
俺とルシフェルはアイコンタクトを取る。そしてルシフェルが「ヒュドラ」へ向かっていく。
すると──。
ハイドはすでに立ち上がり「ヒュドラ」へ向かっていったルシフェルに黒い球状の攻撃を繰り出す。
(えっ──)
突然の攻撃にルシフェルはとっさに身を後方に投げて攻撃をかわす。
困惑するルシフェル、俺も驚いた。確かにあの一撃はかなり強力なものだった。倒しきれてはいないかもしれないがすぐに立ち上がることは出来ないはずだ。
そしてハイドはフラフラと定まらない足取りで、ゆっくりと俺達の方へ向かってくる。
(何かがおかしい──)
よく見るとまがまがしい漆黒の光がさっきより何倍も強くなっている。
ハイドを包んでいる闇属性の力が嘲笑っているかのようにカタカタと震えていた。
ぐったりとうなだれ、体から生気が失われている。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
その叫び声が聞こえた瞬間、彼はこっちを睨みつける。
ギロッ──!!
その視線を突き付けられた俺、だけじゃない、恐らくルシフェルも感じているだろう。
まがまがしく邪悪なオーラ。殺気と破滅への衝動を痛いほどつきつけている。
だがさっきとは明らかに違う。さっきまでのハイドは立場こそ違えど、大切な立った一人の家族を守るため、なりふり構わず戦っている。そんな印象を持っていた。
しかし今はそんな状態ではない。俺だって勇者としてずっと戦ってきた、そういうのは相対すればなんとなくわかる。
(そういうことか──)
俺は今彼に起こっている現象を理解した。
これが闇属性の魔術を使った時の代償だ。
闇属性の力の特徴、それは力そのものに意思を持っているということだ。
それは破壊や滅亡への意思。
そして使用者が精神的、体力的に消耗しているとその精神が闇の力に飲まれてしまうのだ。
闇属性の力を使った代償。
コッ──、コッ──。
ハイドがゆっくりと一歩一歩近づいてくる。彼自身の意思を感じない、まるでゾンビのように。
もはや今のハイドに意思はない。
今はただ闇の力を供給するだけの存在になってしまっている。
そして恐らく彼の魔力が果てれば使い捨てのられるのだろう。
「ハイド、目を覚ませ。お前の大切な物は何だ!!」
俺は精一杯の感情を込めて叫ぶ。しかしハイドは俺の言葉にピクリとも反応しない。そりゃそうだ、今まで戦っていた敵同士、信頼関係なんてない。
「まったくもう、それでも私の幹部? もっとしっかりしなさいよ!!」
ボロボロになりながらルシフェルが叫ぶ。そりゃそうだ、いくら強くても本能のままに戦うだけなんてそこいらにいる魔獣とかわらない。
そう心の中で叫んだ瞬間ハイドがこっちに向かって突っ込んでくる。
そして再びその剣を振り上げ攻撃してくる。
俺はその攻撃を受けて感じる。
(何だこのパワー、さっきとは格段に違う)
さっきより格段に力が上がっている。力任せで猪のような攻撃。
ガードしようにも魔力が強すぎてガードしきれない。
漆黒の光よ、死の力宿して闇夜に轟け!!
ジェノサイド・サイクロン・スレイシング!!
まずい、強力なのが来る!!
ただならぬ力の気配を感じ後方に身を投げ直撃を防ぐが──。
ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──!!
この術式は強力な斬撃であると同時に風属性の攻撃を周囲に轟かせる術式でもある。
斬撃をかわすのに精いっぱいな俺にはどうする事も出来ない。
攻撃が俺に直撃、肉体は吹き飛び受け身なしで壁に叩きつけられる。
全身が軋むような痛み。体が悲鳴を上げているのが分かる。久しぶりだぜ、この感覚──。
足に力が入らない中、痛みに耐えながら剣を土に突き刺し腕に力を込め強引に立ちあがる。
すぐに次が来るとわかっているからだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
そしてハイドが一気に突っ込んで来た。勝負を決めると言う強い気持ちが見ているだけで伝わってくる。
何とか体の感覚が戻り俺も奴の懐へ突っ込んでいく、接近戦なら俺にだって勝機がある。
だが──。
(そういう戦い方なら、俺にだって考えがある!!)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる