冒険者育成学園の日常 

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(もしも本当に異世界転生者なら……)
 安倍晴実は廊下を歩きながら考えていた。
(必ずこちら側に引き入れなくては!たとえどんな手を使ってでも!!)


 時を少し遡り下校時間。
 一年Z組の教室で二人の男子生徒が言い争っていた。
「お前、今……俺を嘲笑ったな?」
 片方の生徒は金髪で整った顔立ちをしている。いわゆるイケメンだ。
「は?何言ってんの?そんなわけないじゃん」
 もう片方は茶髪で軽薄そうな笑みを浮かべている。
「嘘をつくんじゃねえ!俺はお前が俺を嘲笑したところを俺が見ているぞ!」
 突然机を叩き立ち上がるとそのまま殴りかかった。
「おっと危ない。暴力は良くないと思うぜ」
 だが、拳が届くことはなかった。
「なっ!?」
「はい、捕まえたー」
「くそッ離せ!!」
「おや?さっきまでの威勢はどうしたんだい?急におとなしくなって」
「うるさい!黙れ!」
「はいはい。静かにしようね~」
 茶髪はまるで赤子をあやすように言う。
「クソォオオオ!!!」
 それから数分後――。
「ふぅ~。ようやく落ち着いたか」
「うぐっ……ひっく……」
「それじゃあ聞かせてもらおうかな。どうしてあんな真似をしたのか」
「……」
「だんまりかい?まあいいか。さて、どうしてくれよう」
「ちくしょう……なんでこんなことに……」

(にぎやか過ぎだろ。ここって最高の教育機関じゃなかったのかよ)
 ゆうすけは帰り支度をしながら、光景を眺めていた。
(さてと……帰るか……)
 荷物をまとめて席を立とうとしたその時、
「おい、そこの!」
 組み伏せられている金髪イケメンに声をかけられた。
「えっと……僕ですか?」
「俺を助けろ!こいつをぶっ殺してやるんだ」
 茶髪が笑いながら言った。
「おお怖い。だが無理だね。なぜなら君はもう負けてしまったんだから」
「なんだと!?」
「君にはこれから罰を受けてもらう。それは……」
 茶髪が言葉を続けようとした瞬間、ゆうすけは鞄を持って走り出した。巻き込まれてたまるものか。光の速さで明日にダッシュだ!
 ギュミュッ!「ぐえっ!」
 なんか踏んだような気がしたけど振り向かない。だってそれが若さってものだから!

 そして階段までたどり着いたところで、息を整える。
(なんだよここ。やべえところじゃん)
 とりあえず一階に降りるか。
「待ちなさい!」
 後ろを振り返るとそこにいたのは美少女だった。
 その少女は燃えるような紅い髪をしており、腰元には剣を携えている。
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