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俺が御旗を持って本陣に戻ると同時にギルドバトル終了のアナウンスが流れた。
『ギルド尾張が勝利条件を満たしました!バトル終了です!選手たちは直ちに戦闘をやめてください!繰り返します――――』
自動音声が第一闘技場の隅隅まで響く。同時に闘技場に張られていた結界の機能が発動する。辺りが緑色の光に包まれると敵味方問わずこのバトルで怪我をした人たちの全てを完全治癒した。
俺たちはギルドバトルに勝利した。だが、終わってない。安部晴実を止めなければ学園が支配されてしまう!
勝利に喜ぶ周囲に俺は怒号を響かせる。
「皆の者、よく聞け!奴らは学園を乗っ取るつもりだ!今一度隊を組み校舎に出陣するぞ!」
俺の声に周囲はざわつく。無理もない、たった今勝ったばかりなのだ。それなのにまた戦いに行こうとしているのだから当然の反応だ。しかし、今は時間が惜しい。早くしなければ取り返しがつかないことになるかもしれないのだ。俺は声を張り上げる。
「これは学園の存亡に関わることだ!ここで食い止めねば我らの居場所が無くなってしまう!それでもよいのか!?」その声に呼応するように周囲の者たちは次々と声を上げる。
―――
目を開けると僕は第一闘技場の尾張陣営にいた。河童と織田さん、それに火野くん(服部さん)が卓の周りで話している。
「安部晴実は学園を乗っ取るつもりだ。ならば校長室を狙うはずだ。あの部屋の奥に学園の制御室がある」
「一か所から突入するより分けるべきです。校長室なら西側から行くのが最短距離になるので、お屋形様の隊はここから押し入って我らが正面口から入り陽動しながら行くというのは如何でしょう?」
「そうだな。ならば影は正面から押し入るがいい。俺は西側に行く」「はっ!」
……違う。安部晴実は屋上で儀式をしている。校長室に行ってしまうと間に合わなくなる。
僕は河童の前まで駆け込み、さも校舎に偵察に行って帰ってきた配下の人のていで話す。
「お屋形様!ご報告です!」片膝をつき頭を下げて言う僕に対して河童は聞く姿勢をとった。
「屋上にて怪しい人影を発見しました。恐らく安部晴実かと……」本来ならば知る由もない情報。まだ誰も屋上の様子を見ていないのだから。だけど今の僕は重要な情報を主人公に伝えるモブだ。誰も僕の言葉を疑わない。
「なんだと?何故屋上に?」「何やら儀式のようなものをしています。遠目ゆえ詳しくはわかりませんが……」
僕の言葉を聞き河童は決断を下した。
「……陰陽の術で鬼どもを制御しているのか?ならば俺は東の非常階段から屋上に向かうとしよう。狭い場所ゆえ少人数で行ったほうがいいな。影は予定通り正面から。服部は残りを連れて西側から校長室に向かえ!」その言葉に全員が了解の意を示すと彼は立ち上がった。そして皆に告げる。
「では各々方、武運を祈る!」河童の言葉と共に彼らは散開した――
僕は目を瞑り次の場所へと移動した。
『ギルド尾張が勝利条件を満たしました!バトル終了です!選手たちは直ちに戦闘をやめてください!繰り返します――――』
自動音声が第一闘技場の隅隅まで響く。同時に闘技場に張られていた結界の機能が発動する。辺りが緑色の光に包まれると敵味方問わずこのバトルで怪我をした人たちの全てを完全治癒した。
俺たちはギルドバトルに勝利した。だが、終わってない。安部晴実を止めなければ学園が支配されてしまう!
勝利に喜ぶ周囲に俺は怒号を響かせる。
「皆の者、よく聞け!奴らは学園を乗っ取るつもりだ!今一度隊を組み校舎に出陣するぞ!」
俺の声に周囲はざわつく。無理もない、たった今勝ったばかりなのだ。それなのにまた戦いに行こうとしているのだから当然の反応だ。しかし、今は時間が惜しい。早くしなければ取り返しがつかないことになるかもしれないのだ。俺は声を張り上げる。
「これは学園の存亡に関わることだ!ここで食い止めねば我らの居場所が無くなってしまう!それでもよいのか!?」その声に呼応するように周囲の者たちは次々と声を上げる。
―――
目を開けると僕は第一闘技場の尾張陣営にいた。河童と織田さん、それに火野くん(服部さん)が卓の周りで話している。
「安部晴実は学園を乗っ取るつもりだ。ならば校長室を狙うはずだ。あの部屋の奥に学園の制御室がある」
「一か所から突入するより分けるべきです。校長室なら西側から行くのが最短距離になるので、お屋形様の隊はここから押し入って我らが正面口から入り陽動しながら行くというのは如何でしょう?」
「そうだな。ならば影は正面から押し入るがいい。俺は西側に行く」「はっ!」
……違う。安部晴実は屋上で儀式をしている。校長室に行ってしまうと間に合わなくなる。
僕は河童の前まで駆け込み、さも校舎に偵察に行って帰ってきた配下の人のていで話す。
「お屋形様!ご報告です!」片膝をつき頭を下げて言う僕に対して河童は聞く姿勢をとった。
「屋上にて怪しい人影を発見しました。恐らく安部晴実かと……」本来ならば知る由もない情報。まだ誰も屋上の様子を見ていないのだから。だけど今の僕は重要な情報を主人公に伝えるモブだ。誰も僕の言葉を疑わない。
「なんだと?何故屋上に?」「何やら儀式のようなものをしています。遠目ゆえ詳しくはわかりませんが……」
僕の言葉を聞き河童は決断を下した。
「……陰陽の術で鬼どもを制御しているのか?ならば俺は東の非常階段から屋上に向かうとしよう。狭い場所ゆえ少人数で行ったほうがいいな。影は予定通り正面から。服部は残りを連れて西側から校長室に向かえ!」その言葉に全員が了解の意を示すと彼は立ち上がった。そして皆に告げる。
「では各々方、武運を祈る!」河童の言葉と共に彼らは散開した――
僕は目を瞑り次の場所へと移動した。
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