恋愛模様、四季

白布 雪

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不倫、夏

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「ッ、あ、」



じとじと暑い夏の昼に、私の嬌声が響く。



「んッ…そこ、」



彼は欠片として喘がない。


彼の左手の薬指には指輪が。

私の左手の薬指にも指輪が。



彼は奥さんとセックスレスらしい。

私も夫とはセックスレスだ。



どんな始まりだったか。

酒の勢いに飲まれて、口説いた。


私は身体には自慢があったし、その魅力を存分に活かして、彼を口説いた。

私は夫と子供が出来てからはそんな雰囲気になることがなかった。


「もっと、もっとして」


そして、今目の前にいる彼も、そうだ。

子供が原因か。子供は悪くないのにな。


「あッ、甲斐田さん…!」


身体の中に溜まった熱が、一気に出る。

冷静に考えていても、このクセになる感覚がたまらなく好き。

そしてそれ以上に、


「…っ」


私と性行為で得る快楽で歪む彼の顔

奥さんと子供への罪悪感で歪む彼の顔

それが、好き



「次はいつにする?」


「甲斐田さんに任せますよ」


「早めがいいだろ、俺も、君も」


「うん、そうね、だったら───」
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