ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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大洗港奪還作戦

109体目 港宴の中の少女達2

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「自分を卑下する必要はありませんよ。強くて可愛らしいヴァルキリーである事に変わりはありません」

「……ほんと?」

(な、何でたったこれだけで態度を変えるんだ。私の時はそんなに優しくないぞ……)

 への字に曲がっていた口は菜々から取れ、変わりに緑の顔にへばりつく。

「ええ、三瓶さんがおっしゃられるように、着飾らなくても十分魅力的ですよ」

「そ、そーお? お世辞でも嬉しいわ」

(な、な、そんな風に照れるなど……く、ぬぬぬ……解せぬ……それに凄いムカつく……)

 ポッと頬を赤らめた菜々に、緑は更なる嫉妬心を抱いた。

「世辞などではありません。私達は、声をかけられた事に驚いているくらいですよ」

「やだ、恥ずかしいわ……」

 真摯な態度と言葉に思わずにやけてしまう菜々。頬に手を当てて肩を揺らし喜ぶ。
 それが気に食わず、拳を握り締めて目を閉じ歯ぎしりするのが一人。

「ちょーっと菜々こっちこい」

「きゃ……なにすんのよ」

 どことなく良くなってきてしまった雰囲気に危機感を感じた緑が菜々の腕を引っ張り、自分の膝の上に座らせた。
 両手は菜々の腹部をガッチリと押さえ、絶対離さないという意思が見て取れる。

「菜々は私のだ」

「緑? いい加減にしなさいよ」

 緑は男を睨むが、菜々も菜々で心地よい会話を邪魔され怒っている。
 だがそのくらいで怯む緑ではない。

「菜々こそいい加減にしろ! なんださっきの顔は!」

「顔? 別に普通よ」

「気持ち悪いくらいニヤけてたぞ」

「はあ? そんなわけないでしょ」

 あくまでも否定を貫く菜々に、緑は抑えていた手を離して自分の唇を指で釣り上げる。

「いーや、口の端がこーんなになって笑ってた。私だって最近見てない顔してた!」

「だからって駄々こねるんじゃないわよ!」

「やーだー! 菜々は私のー!」

 そう言って聞かない緑に、あきづき乗組員の面々は苦笑する。
 その中でもハンターに詳しい一人が場を取り持とうとする。

「ええと……確か、お二人は恋仲なんですよね?」

「当たらずとも遠から……」

「そうだ! ペプシッ!」

 菜々が言い終わるより先に、自信満々に緑が答えてみせる。
 そしてキリッとした顔に、当たり前のように裏拳が飛んだ。

「違います」

「菜々ぁっ!?」

「勝手に決めつける緑は嫌いよ」

「な……菜々ぁ~……」

 引き締まった表情はどこへやら、嫉妬心やら嫌いと言われて悲しいやらで涙を目に浮かべる緑。
 そっぽを向いてしまう菜々だったが、あきづきの乗組員にはバッチリと見られていた。

 ……どうしてもニヤケが止まらない顔を。




「……陸佐、一つ疑問が」

「なんだい?」

 百合百合しい席から少し離れたところに刀也が腰掛け、陸佐に迫る。

「あれが……エアロゾルが高位である理由は、本体が中位レベルでかつ分身を生み出せるから、という事でしょうか」

「ほぼ当たりだ。が、理由の本質はもう少し深い」

「と言うと」

「あれは分身を自由に動かせる。組織的な動きが可能だ。これまでの荒獣は、数はいても個別に動いていたため、行動の予測はしにくいものの対処自体は簡単だった。しかしエアロゾルが生み出すのは……そう、軍だ。規模は小さいが、獣の軍隊だ。これまで以上に注意せねばならん」

 陸佐は険しい顔になる。その目には小さいながらも黒い炎が灯っているように見えた。

 軍、と自分で呟いて思い出すのはエアロゾル以外にも二つ。ワイバーンと女王だ。
 最近のデイビーズが強くなっているのには女王が絡んでいるのではないかと、彼は一人疑いを強めていた。

 そもそも、荒獣は人類が気づいていなかっただけである程度集団でも動けるのではないのかとも。
 人との戦争という、対組織的な戦闘に明け暮れていた人類が獣の戦い方を理解できなかっただけでは、と。

「なるほど……」

「君たちも気をつけてくれたまえ……まあ、今は飲もう」

「はい」

 陸佐は自分に言い聞かせるようにして頭を振る。そして、ひとまず今後の事は忘れようとワインの甘い香りとビールの芳醇な香りが交わされた。




「うぉー! あれは!」

 もう太陽も海の向こうへ消えようかという頃。
 エアロゾルが倒され霧が消えたことで入港できた輸送船から出てきた一台の車をガラス越しに、というかガラスに顔を押し付けて見た奈津美が興奮して叫ぶ。

「びー! えむ! だぶりゅー!」

 叫びながら身体を使って自動車会社のBMWを全力で表していくが、周囲にはものすごく変な目で見られた。
 その叫びを聞きつけ、後ろから寄ってくる男が一人。

「お、来た来た!」

 少しテンション高めな声に気づいて振り向く奈津美に、西は笑顔を向けた。

「にっしー! 来たって、もしかしてあれ……!」

 いつの間にか考えていた愛称をここぞと叫ぶ。西はそれを流し、質問に頷いた。

「うん、僕のだよ。M4GTS」

「ふぉー! M4GTSって言うと、世界限定700台の、あれ?」

 車の名前を聞いて思わず変な声を出す奈津美。荒獣侵攻で全てがガラクタになり果てたと思われていた車が目の前に現れたのだから無理もない。

 その上、様々な改造が施されているとなればマニアとして興奮を禁じ得ないだろう。

「そうそう」

「やっべええええかっけぇぇぇぇえ! 青と白のストライプ! ゴールデンホイール! どでかいエアロ! 車体下面に青色LEDも付いてるし! すげー……確かあの車、ノーマルでも500馬力くらいあったよね!?」

「くらいっていうか、丁度だね」

「で、にっしーの車はなん馬力で?」

 ふと我に返る奈津美。まさかこれだけ外見を変えておいて中身はそのまま、なんてことはないだろうと質問する。
 予想は大当たり、想像の上を行く回答が返ってきた。

「1000」

 西はさもありなんという口調で答えるが、1000馬力と言えば有名なスーパーカー製造会社で知られるフェラーリの最新鋭車両すらも大きく上回るモンスターマシンということになる。

「1000!? ちょちょ、どこをどうやったらそんな風になるの!?」

「ええっと……」

 奈津美は西と車談義をしながらその後の夜を過ごしたのだった。
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