百鬼怪異夜行

葛葉幸一

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第十九夜 付喪神─ツクモガミ─

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皆んなは大事にしてる物ってあるかな?
私はあるよ。
小さい頃欲しかった手鏡。
幼稚園の頃に買ってもらった安物だけど、今でもすごく大事にしてる。
それでね、今日は付喪神のお話。
物は100年間大切にすると、命が宿って妖怪になるの。
だから、99年たったら捨てちゃうんだって。
99年たって捨てられても妖怪になっちゃう物を九十九神って言うの。
付喪神と九十九神、同一視して考えるのが一般的なんだけど、私は違うと思うんだ。
100年使い続けるって、大変なことだと思わない?
子供か孫か、それくらいまで受け継がれないと100年なんて無理だと思う。
3代も続いて一つのも大切にするって凄いことだと思う。
多分それだけ愛されたら、物だって恩返ししたくなるよ。
でも、100年、200年大事にされて愛された物が99年で捨てられたらどう思うのかな?
──99年愛して使ってもらってありがとう。ゆっくり休むよ。
と思うのか。
──自分はまだできる。まだ役に立てる。もっと大切にしてほしい。
と思うのか。

お兄ちゃん曰く。
物によってももちろん変わってくるけど、やっぱり悔しいんじゃないかな?
100年経てば命が宿る。そうしたら恩返しもできる。
そう思っていたのに、捨てられる。
それって、すごく悲しいことだと思うんだ。

私もそう思う。
友達でお婆ちゃん、お母さんにもらった髪飾りを大切にしてた友達がいたの。
でも、その髪飾りが無くなってしまったの。
その子はとても悲しんだわ。
だって、お婆ちゃんの形見で、お母さんも大事にしていた物をなくしてしまったんだもの。
あちこち探し回ったけど、見つからない。
その子の落ち込み方があまりにも可哀想だったから、お兄ちゃんにもお願いして探してみたの。
そしたら、ある神社で見つかった。
神主さんにお話を聞いたら、いつのまにかこの神社にあったんだって。
それが、その髪飾りにとって99年目。
100年経って妖怪になった時、ずっと大切にしてくれたその子に仇を為すかもしれない。だから自分からこの神社に来たんだって。
そういう子もいるんだよね。
でも、100年経っても、200年経ってもまだまだ使いたい人がいる。
99年で捨てる人もいる。
100年以上経っても大切にしたい人がいる。
人の気持ちと物の気持ち。
私にはどちらがいいのかわからないけど、どちらの気持ちも大切だよね。
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