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聖女の魔法?
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目が覚めると、広いベッドで一人眠っていた。
隣で眠っていただろう人の姿はなく、シーツもすでに冷えている。
おはようございますとニーアに挨拶され、おはようと言葉を返した。
魔力が枯渇して3日目の朝。私は、まだ、鳥籠へ帰れずにいた。
「セプトは、意外と心配症だよね?」
ニーアに言ったつもりが、当の本人が意外とに反応してぼやいた。
「殿下、お戻りでしたか?」
「あぁ、そろそろ寝坊助が起きてくるころだと思って帰ってきた」
「寝坊助って、私のこと?」
「ビアンカ以外、他にいないだろう?ニーアも早起きだし。ほら」
確かに今の今まで寝てはいたが……寝坊助と言われる時間ではない。
「セプトが早起きすぎるんじゃない?」
「まぁな。今だけな」
「今だけ?」
「この間、誰かさんが倒れたりしたから……その日の政務が終わってなくて、立て込んでるんだ」
「……あぁ、私のせいね。ごめんなさい」
「いや、他にも案件があるからいいんだが……そういえば、聖女のお披露目の日取りが決まったぞ」
「いつ?」
「ひと月半後だ。そのあと、日を改めて婚約式をする」
「あっ、どっちもするんだ?まとめてしたらいいのに……」
めんどくさそうに言うと、苦笑いされた。王族の方が忙しいはずなのに、私のために儀式を2回も立て続けにしてくれるのだ。
それだけで、ありがたいとお礼を言うことはあれど、文句をいうことはない。そして、文句を言うのは、他の誰でもなく、当事者である私であった。
「一応、王子の妃になるんだが?物事には、順番があるだろ?」
「まぁ、そうよね。でも、この状況で、順番も何もない気がするわ!」
ゴソコゾとベッドから降りると、確かにとニヤつく。
「ニヤついても、何もないんだからね!」
「あぁ、そうだった。ビアンカとは、ベッドでおててつないで、ねんねしてるだけだもんな」
「その言い方っ!」
くくっと笑うセプトに、怒っていると、あの……と、ニーアが言いにくいそうに会話に割り込んできた。
一応、ニーアには、この前のことも話してあるから、誤解は解けた。誤解から本当になるのも時間のうちだと思ってはいるが、とにかく、今は何もないのだから!とニーアとカインにだけは、知ってもらっておいた。
子どもがーっと、騒ぎ立てる貴族がチラホラ出てきたもんだから、そういうのから避けられるようにと言うことだ。
ワイルズ公爵令嬢であるアリーシャが婚約できなかったことに諸侯が騒いだ結果、別のものと婚約したとは発表されていた。
まずは、聖女として、国に認めてもらわないといけない。それがお披露目になる。
「朝ごはんでも、食べながら話すか」
「着替えていくから、待っていて」
セプトは寝室から出ていき、ニーアが私を整えていく。
小さくため息をつくと、どうかされましたか?とニーアが聞いてきた。
「いいえ、何も。ただ、迷惑をかけたなと思って……」
「ビアンカ様はそう思っているでしょうけど、殿下はそうじゃなさそうですよ。ビアンカ様の寝顔を見ながら、幸せそうに微笑んでいましたから。一緒にいられるのが、嬉しいようですね!」
「……そ、そうなの?寝顔を見られてるって、恥ずかしいわね」
「はい、それはそれは。ニンマリされてました。愛されてるってことですね!」
満面の笑みを私に向けてくるニーアだが、そんなふうに言われても、未だ、グズグズしている私はなんだろうか。貴族令嬢として、教養もあるのだ。この先もわかってはいても、心身ともに追いついていなかった。
寝室から出て席につく。セプトは、すでに席に座り、先に飲み物を頼んでいた。
私も同じものでといえば、ニーアが用意してくれた。
「それで、聖女さん」
「なんでふか……?」
手元にあったパンの匂いを嗅いでいたら!話しかけられた。
「なんだ?そのおもしろいの」
「うるさいですよ!それで、聖女さんは今後、何をしたらいいのです?」
「まずは、ドレスを作る。あと、聖女が使えたとされる魔法があるんだが……それが、使えるかどうかの確認。残りは、宝飾品への魔力供給だな。準備があるから、しばらく、こっちで、生活してくれ」
「えっ、帰れないんですか?」
「そんなに、鳥籠へ帰りたいのか?」
「えぇ、まぁ……鳥籠は楽ですから……」
そっか、帰れないのかと呟いていると、苦笑いされた。
「鳥籠でなくとも、もうビアンカの家でもある。自由にしてくれて構わないけど?」
「ここは、人の目がありすぎます!」
「それなら、寝室にこもっていればいいだろ?」
「それもそうですが……」
「まぁ、言いたいことはわかるが、これからはこういう生活になるんだ。慣れてくれ」
お願いされれば仕方がない。ここ数ヶ月、自由にしすぎて、城での生活が窮屈に感じてしまっていたのだ。
早々にこちらの生活に慣れないといけないなと反省をする。
「ドレスは仕立て屋が来てからになりますから、私の目下の仕事は、宝飾品への魔力供給ですね」
「もう、いいのか?」
「えぇ、おかげさまで、満タンです!なので、今日から始めたいと思うのですが、いいですか?」
「あぁ、ビアンカの体調さえ整えば、構わない。ドレスは、近いうちに仕立て屋が来ると言っていたから、その時間帯だけあけておいてくれたらいい。何かしたいことはあるか?」
「お忍び……」
「あぁ、忘れていた。それは来週あたりで時間を取るつもりだ。それで、構わないか?」
「もちろん!楽しみにしていますね!」
朝食を食べ終われば、セプトは政務に戻っていく。私はカインを待ち、宝物庫へと出かける。
宝物庫への道すがら、思い出したことがあり、カインに尋ねた。
「何でしょうか?」
「聖女の使える魔法って、どんなものか知っている?」
「いえ、全く。それが、どうかしたのですか?」
「セプトが、その魔法が使えるか確認をしてくれと言ってたんだけど……図書室へ行けば調べられるかしら?」
「あるいは、教会ですかね?」
「教会?」
「えぇ、この国の宗教に聖女教というものがあります。弱い立場の人を助けーって話ですが……」
「今は違うのね?人助けには、それなりのお金も必要になってくるものね……それで、その、聖女教に行けば、わかるかしら?」
「……おそらくは。ただ、魔法が使えなくなってから、何百年も経つので……明確なものがあるかどうかは、怪しいですね?」
「そんなことないでしょ?後世に書物を残すのは、重要な役割よ!」
確かに……とカインはいう。
ただ、聖女としてお披露目をするなら、もしかすると邪魔が入るかもしれないというカインに、首をひねる。
どうして、教会が、そんなことをするのか……いわゆる闇のお金がそうさせているようであった。
何はともあれ、今度のお忍びのときに寄ることになるだろうと、ぼんやり考えていた。
隣で眠っていただろう人の姿はなく、シーツもすでに冷えている。
おはようございますとニーアに挨拶され、おはようと言葉を返した。
魔力が枯渇して3日目の朝。私は、まだ、鳥籠へ帰れずにいた。
「セプトは、意外と心配症だよね?」
ニーアに言ったつもりが、当の本人が意外とに反応してぼやいた。
「殿下、お戻りでしたか?」
「あぁ、そろそろ寝坊助が起きてくるころだと思って帰ってきた」
「寝坊助って、私のこと?」
「ビアンカ以外、他にいないだろう?ニーアも早起きだし。ほら」
確かに今の今まで寝てはいたが……寝坊助と言われる時間ではない。
「セプトが早起きすぎるんじゃない?」
「まぁな。今だけな」
「今だけ?」
「この間、誰かさんが倒れたりしたから……その日の政務が終わってなくて、立て込んでるんだ」
「……あぁ、私のせいね。ごめんなさい」
「いや、他にも案件があるからいいんだが……そういえば、聖女のお披露目の日取りが決まったぞ」
「いつ?」
「ひと月半後だ。そのあと、日を改めて婚約式をする」
「あっ、どっちもするんだ?まとめてしたらいいのに……」
めんどくさそうに言うと、苦笑いされた。王族の方が忙しいはずなのに、私のために儀式を2回も立て続けにしてくれるのだ。
それだけで、ありがたいとお礼を言うことはあれど、文句をいうことはない。そして、文句を言うのは、他の誰でもなく、当事者である私であった。
「一応、王子の妃になるんだが?物事には、順番があるだろ?」
「まぁ、そうよね。でも、この状況で、順番も何もない気がするわ!」
ゴソコゾとベッドから降りると、確かにとニヤつく。
「ニヤついても、何もないんだからね!」
「あぁ、そうだった。ビアンカとは、ベッドでおててつないで、ねんねしてるだけだもんな」
「その言い方っ!」
くくっと笑うセプトに、怒っていると、あの……と、ニーアが言いにくいそうに会話に割り込んできた。
一応、ニーアには、この前のことも話してあるから、誤解は解けた。誤解から本当になるのも時間のうちだと思ってはいるが、とにかく、今は何もないのだから!とニーアとカインにだけは、知ってもらっておいた。
子どもがーっと、騒ぎ立てる貴族がチラホラ出てきたもんだから、そういうのから避けられるようにと言うことだ。
ワイルズ公爵令嬢であるアリーシャが婚約できなかったことに諸侯が騒いだ結果、別のものと婚約したとは発表されていた。
まずは、聖女として、国に認めてもらわないといけない。それがお披露目になる。
「朝ごはんでも、食べながら話すか」
「着替えていくから、待っていて」
セプトは寝室から出ていき、ニーアが私を整えていく。
小さくため息をつくと、どうかされましたか?とニーアが聞いてきた。
「いいえ、何も。ただ、迷惑をかけたなと思って……」
「ビアンカ様はそう思っているでしょうけど、殿下はそうじゃなさそうですよ。ビアンカ様の寝顔を見ながら、幸せそうに微笑んでいましたから。一緒にいられるのが、嬉しいようですね!」
「……そ、そうなの?寝顔を見られてるって、恥ずかしいわね」
「はい、それはそれは。ニンマリされてました。愛されてるってことですね!」
満面の笑みを私に向けてくるニーアだが、そんなふうに言われても、未だ、グズグズしている私はなんだろうか。貴族令嬢として、教養もあるのだ。この先もわかってはいても、心身ともに追いついていなかった。
寝室から出て席につく。セプトは、すでに席に座り、先に飲み物を頼んでいた。
私も同じものでといえば、ニーアが用意してくれた。
「それで、聖女さん」
「なんでふか……?」
手元にあったパンの匂いを嗅いでいたら!話しかけられた。
「なんだ?そのおもしろいの」
「うるさいですよ!それで、聖女さんは今後、何をしたらいいのです?」
「まずは、ドレスを作る。あと、聖女が使えたとされる魔法があるんだが……それが、使えるかどうかの確認。残りは、宝飾品への魔力供給だな。準備があるから、しばらく、こっちで、生活してくれ」
「えっ、帰れないんですか?」
「そんなに、鳥籠へ帰りたいのか?」
「えぇ、まぁ……鳥籠は楽ですから……」
そっか、帰れないのかと呟いていると、苦笑いされた。
「鳥籠でなくとも、もうビアンカの家でもある。自由にしてくれて構わないけど?」
「ここは、人の目がありすぎます!」
「それなら、寝室にこもっていればいいだろ?」
「それもそうですが……」
「まぁ、言いたいことはわかるが、これからはこういう生活になるんだ。慣れてくれ」
お願いされれば仕方がない。ここ数ヶ月、自由にしすぎて、城での生活が窮屈に感じてしまっていたのだ。
早々にこちらの生活に慣れないといけないなと反省をする。
「ドレスは仕立て屋が来てからになりますから、私の目下の仕事は、宝飾品への魔力供給ですね」
「もう、いいのか?」
「えぇ、おかげさまで、満タンです!なので、今日から始めたいと思うのですが、いいですか?」
「あぁ、ビアンカの体調さえ整えば、構わない。ドレスは、近いうちに仕立て屋が来ると言っていたから、その時間帯だけあけておいてくれたらいい。何かしたいことはあるか?」
「お忍び……」
「あぁ、忘れていた。それは来週あたりで時間を取るつもりだ。それで、構わないか?」
「もちろん!楽しみにしていますね!」
朝食を食べ終われば、セプトは政務に戻っていく。私はカインを待ち、宝物庫へと出かける。
宝物庫への道すがら、思い出したことがあり、カインに尋ねた。
「何でしょうか?」
「聖女の使える魔法って、どんなものか知っている?」
「いえ、全く。それが、どうかしたのですか?」
「セプトが、その魔法が使えるか確認をしてくれと言ってたんだけど……図書室へ行けば調べられるかしら?」
「あるいは、教会ですかね?」
「教会?」
「えぇ、この国の宗教に聖女教というものがあります。弱い立場の人を助けーって話ですが……」
「今は違うのね?人助けには、それなりのお金も必要になってくるものね……それで、その、聖女教に行けば、わかるかしら?」
「……おそらくは。ただ、魔法が使えなくなってから、何百年も経つので……明確なものがあるかどうかは、怪しいですね?」
「そんなことないでしょ?後世に書物を残すのは、重要な役割よ!」
確かに……とカインはいう。
ただ、聖女としてお披露目をするなら、もしかすると邪魔が入るかもしれないというカインに、首をひねる。
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