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第1章 シエンナ騎士団
シエンナ騎士団 5
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衛兵の詰所には三人の騎士がいた。
レイが羊皮紙に書かれた形ばかりの身分証明を見せ、入団試験を受けに来た旨を伝える。
詰所の中でたぶん一番年配であろう白髪の老騎士が、その証明書を受け取りジロリとレイを見た。「ノースレオウィルだー。フンッ」と鼻で笑い、羊皮紙をレイに投げ返す。
レイはいつもの反応に表情を変えず、羊皮紙を綺麗に丸め皮袋に直した。
……どこでも一緒だな。
ノアも羊皮紙を差し出したが、黒ずみの汚れが激しくとても読めた物ではなかった。
老騎士は羊皮紙を摘む様に持ちながら「これ読めねーぞ」とノアに言った。
「それしか持ってない。何でもやる、だから私も試験を受けさせてくれ」
老騎士は怪訝な顔でノアを見ながら「出身はどこだ」と訊いた。
「マリニエール=シュル=メール」
「南の果ての果ての果てじゃねえか」
「そんなに遠くない」
「……確かに、ここに空押しされた印章の窪みはマリニエール=シュル=メール」
「だから言ってるでしょ。怪しくない、私」
レイは横目でノアを見ながら思った。
……いや怪しいよ。それにこいつ、俺より全然遠いじゃねえか。
レイが羊皮紙に書かれた形ばかりの身分証明を見せ、入団試験を受けに来た旨を伝える。
詰所の中でたぶん一番年配であろう白髪の老騎士が、その証明書を受け取りジロリとレイを見た。「ノースレオウィルだー。フンッ」と鼻で笑い、羊皮紙をレイに投げ返す。
レイはいつもの反応に表情を変えず、羊皮紙を綺麗に丸め皮袋に直した。
……どこでも一緒だな。
ノアも羊皮紙を差し出したが、黒ずみの汚れが激しくとても読めた物ではなかった。
老騎士は羊皮紙を摘む様に持ちながら「これ読めねーぞ」とノアに言った。
「それしか持ってない。何でもやる、だから私も試験を受けさせてくれ」
老騎士は怪訝な顔でノアを見ながら「出身はどこだ」と訊いた。
「マリニエール=シュル=メール」
「南の果ての果ての果てじゃねえか」
「そんなに遠くない」
「……確かに、ここに空押しされた印章の窪みはマリニエール=シュル=メール」
「だから言ってるでしょ。怪しくない、私」
レイは横目でノアを見ながら思った。
……いや怪しいよ。それにこいつ、俺より全然遠いじゃねえか。
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