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第2章 訓練の日々

訓練の日々 13

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「コソコソ動いてたのは分かってたんだ、誰をつけてるのか分からなかったから、一人になる時間を作ったんだが、やっぱり俺か」
「……」
「ディックとか言ったか?」

 人影が動く、そこにはレイと初戦に戦った男ディックがいた。

「何か俺に恨みでもあんのか?」
「……」
「どこの者だお前? どうせ復讐だろ」

 ディックは何も答えず、ただラクフを凝視していた。

「フッ、恨まれる覚えがありすぎて、お前が誰か分からねえが、俺の素性を知っちまっちゃんじゃ生かしておけねえな。まったく、面倒くさい事になったもんだ、お前ぐらい殺すのは訳ないが、さて死体をどうするか?」

 ラクフは腰のベルトから蛇腹状の刃物を抜き出すと、ヒュッと素早く振って1本のナイフにした。
 ディックも背中、腰の鞘からダガーナイフを抜いて身構えた。

「やるきかい? 入団試験の時の太刀筋を見たが、まるでなってねえ。良くそれで復讐しに来れたもんだな」

 ラクフは浮くような足捌きでふわりと間合いを詰めたかと思うと、今度は一転鋭い刺突を繰り出した。ディックのチュニックが裂け、突き刺さったかと思われた一撃だったが、ディックはすんでの所で身を躱し、逆にダガーナイフの刺突を繰り出して来た。

 ラクフは身を逸らして避けると同時に、今度はナイフを振ってディックの首筋を狙った。しかし、またすんでの所で躱され腕を巻き取られ関節を極められた。

 痛みに「クッ」と声が漏れたが、そのまま関節を人とは思えぬ方向に方向に曲げ、拘束を逃れると、離れぎわにナイフの一撃を放った。掠ったディックの頬から血が滲み出ていた。

 相手の力量、動きに驚いたのは互いにだった。牽制し合うように間合いを取る。

「お前に恨みはない」とディックが言った。
「なに?」
「予定外だがしょうがない、ラクフ、今お前を拘束する」
「な、何だお前!?」
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