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第3章 特別任務
特別任務 2
しおりを挟むまだ小さなレイが、暖炉の前の椅子に座っていた祖母に寄りかかっていた。暖炉では暖かい火がパチパチとおどり、床にはふかふかの絨毯が敷かれていた。
「ねえ、おばあちゃん。魔法使いウィルの話をしてよ」
「レイは本当に好きね」
「だって、その話をしている時のおばあちゃん。何だか嬉しそうなんだもの。どうして?」
祖母は一瞬おどろた顔をしたあと、優しく笑うとレイを見つめた。
「そうね。なんででしょうね。フフ。……きっと、私のおばあちゃんも、そのまたおばあちゃんも、ずっとずっと、優しくウィルのお話を伝えてくれたからかしらね」
「ふーん。……ねえ、じゃあ、ぼく、ウィルみたいな魔法使いになるよ。そうしたら、おばあちゃん嬉しい?」
祖母は静かにレイの頭を撫でた。
「レイはレイのままで十分。おばあちゃんは、それだけで嬉しいわ」
「えー、僕も、魔法で星を降らせて悪い奴をやっつけるんだ」
祖母は驚いた顔で、レイを見つめた。
「そんなことに魔法を使っちゃダメよ」
「えー、どうして? だってウィルは魔法を使ってみんなを救ったんでしょ? メテオストライクって魔法でしょ?」
「そうね。でも、使わなかったのよ」
「え、どういうこと?」
「本当に強い人はね。そんなことに魔法を使ったりしないのよ。ウィルは本当に強い人だったのよ」
「うーん。分かんないな」
「そうね、ちょっと難しいわね」
「でも、僕、ウィルのように強くなるよ。そしてみんなを救うんだ」
祖母はそっとレイを引き寄せ抱きしめた。
× × ×
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