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第3章 特別任務

特別任務 23

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 トーブも駆けてくる。

「バケモンが近くにいるのか?」
「いや。ちゃんと水をかけ消してある。慌てて奴がでたから逃げたわけではないようだ。ただ、今は夜に商隊が入ってこれないように森の街道を封鎖している」
「……」

 しばらく思案したあと「どういうことだ?」とトーブが言うと同時に街道の向こうから轟くような咆哮が聞こえて来た。一斉に振り返ると闇と同化した塊が蠢いているのがわかった。

「レイ盾になれ、ノア後ろの木に登り、狙えそうな所を狙え」

 ディックが言うのが早いか、気がつくと闇の塊が咆哮あげながら突進してくるのがわかった。早い! そしてデカい! とても熊とは思えぬデカさだ。ディックは、嫌なポジションを取られたと思った。怪物のいる位置の方がわずかに高い。勢いをつけて上から襲い掛かられる形になる。それでも不幸中の幸はここが広場であったこと。化け物の存在に遠くから気づくことができた。これが街道でいきなり横から襲われたらと思うとゾッとした。

「止まれ!!」

 と叫びトーブがディック達の横から火炎放射を放ち動きを止めようとした。「まだ早い」とディックが言うのと同時に、怪物は横に回り込むような形で炎を避けながら怯まず突進して来た。

 炎に照らされたその巨体は、熊とも狼とも言えぬ異形をしており、血走った赤い目がギョロリとこちらを見据えていた。
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