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第1章 シエンナ騎士団

シエンナ騎士団 19

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 広間の中に「おおー」という騒めきが起きた。
 レイは転げる様に回転して間合いを取った。袖口が焦げはしたが直撃は免れた。
 トーブは左手を上に向けその上で炎を操っていた。そして次の瞬間、その手をレイに向けると直線上の炎がレイを襲って来た。レイは盾を構えると同時にサッと飛び退きその火炎放射を避けた。

「クソッ、すばしっこい奴だ。できれば最後の試合まで取っておきたかったんだがな」

 トーブが左手で炎を転がしながら呟いた。

「おい、魔法はいいのかよ」

 足の甲に包帯を巻いた巨軀の男が脇から声をかけた。

「構わん。武器の制限以外ルール無用だ」

 審査官グレーンが大きな声で答えた。

 周りで色んな騒めきが起きていた「魔法なんて初めて見たぜ」「あいつとはやりたくねえな」と言う声、「水だ水をもってこい」と言う老騎士ヴィベールの声、「うまいうまい」という声。
 ? レイがチラリと目をやると、腹に包帯を巻いたノアがバナナ貪る様に頬張っていた。レイの目線に気がついたのか、ノアはサムズアップをし「グッドラック」と呟いた。隣には巨軀の男がおりバナナの房を抱えながら、やはりバナナを頬張っていた。

 フッと笑いが込み上げて来たレイに向かって、トーブが再び火炎放射を浴びせかける。レイは走って避けながら「武器の変更はありか?」と問いかけた。「構わん。武器の制限以外ルール無用だ」とグレーンが再び答える。
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