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第5章 メテオストライク

メテオストライク 3

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「いや、え、えっと」

 狼狽えるレイに向かって、トーブが「許せねえな」と詰め寄った。

「あの戦いの最中に、アルマーマ班長が死力を尽くしていた最中に、そんな班長をガン見していたなんて許せねえ」
「トーブ、誤解だ。俺は何も」
「見てたわ。なんか心配そうな顔して、相当見てたわ」
「いや」と怯むレイ。
「なに~!」怒るトーブ。
「ねえ、どうなの? 何か使ったんでしょ?」
「いや、何も」
「じゃ、なにか、何もないのに見てたのか?」
「トーブ、そうじゃない」
「じゃ、なんだよ!」
「……」

 ノアは、アルマーマとトーブに詰め寄られているレイを気の毒そうに思いながら、少し離れて馬を走らせた。

「いいわ、別に、言いたくないんなら。何か理由があるんでしょ。でもね、私の眼はごまかせなくてよ」

 アルマーマが馬の歩速を早め、引きつるレイから距離を取った。
 結局、レイの魔法も、ノアの魔法もバレることはなかったが、その後レイはトーブにネチネチと攻められた。
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