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赤髪の魔女と男の子
しおりを挟む満月の晩。月明かりの下、箒を持って歩いている女がいた。
女の髪は赤色で、持っている箒の様にバサバサ。緑眼に長い鼻。
黒い帽子に黒い服を身に着けて歩いている。
彼女は魔女と呼ばれる者の姿形をしていた。
彼女は他の人間にはなるだけ接触しないで森の奥で過ごしているが、夜になると箒を持って外に食料や薬草を探しに出かけ、日が昇る前に森にある自分の棲み処に帰って来る。それが魔女の日常だった。
「ちょっと、なんだいアンタは?」
魔女は草むらの中で小さな男の子を見つけた。こんな人里離れた真夜中の野原で、小さな男の子は涙でグシャグシャの顔で魔女と見つめ合っていた。魔女は思った。
なんでこんな真夜中にこんな小さな男の子がいるんだ?
だいたいここいらは私の縄張りなんだから。
もしかしたら親が探しにきたりして。私の安息の棲み処が見つけられたりして…
あー、そりゃあたまったもんじゃないよ!
「この向こうの森には魔女がいるんだって。」
男の子は涙を拭いながら言った。
「僕のお母さんは殺されたの。お母さんは魔女じゃなかったのに。」
ああ、魔女狩りにあったのかい。そりゃあ残念だったね。
「それで、魔女のいる森に行って本物の魔女を捕まえてくるとでもアンタは言ったのかい。何しに来たね…」
魔女は男の子が自分の事を人里に行って知らせようとしているんだなと思い、そうなら男の子を今ここで殺しておこうかと考えた。
「人間は嫌だ。でも、僕のお母さんは好きだった。お母さんは魔女じゃないのに、人間だって言ってるのに、みんなに殺された。もう、あそこには戻りたくないの。」
泣きながら話す男の子。この子はみなしご。
魔女は男の子を無視して家路に帰ろうとしたが、男の子は魔女の後ろからついてくる。魔女が振り返ると止まる。
歩くとまたヒタヒタと小さな足音がついてくる。
「ついて来るんじゃないよ!」
「あなたは、魔女じゃないでしょ?」
魔女は怒って男の子に言った。
「私は魔女さ。アンタの言ってたこの森に棲む魔女!これ以上ついてきたらアンタを食っちまうよ。」
男の子は言った。
「あなたが魔女なら、僕はあなたのそばにいたい。」
「だって、もう他に行く所がなんだもの。食べたっていいよ。でも、最後に子守歌をうたってね。」
男の子の涙はもう止まっていた。
綺麗な笑顔、と魔女は思った。
「子守歌なんか知らないんだよ私ゃ。」
魔女は夜空を見上げてため息をついた。
「満月の晩は明るすぎて、ろくなもんが見つかりゃしない。」
男の子は嬉しそうに魔女の手をとって言った。
「あなたの髪の色、あったかい暖炉の色だよね。」
魔女はちらと男の子を見て目をそらし、
「あんまり馴れ馴れしいと食っちまうよ。」と夜道を早足で歩きだした。昔の事を思い出しながら。
私も、子供の頃にこの森にやって来たんだよなぁ。
人間に殺されそうになったんだ。この髪の色のおかげで。
昔私は人の子だった。髪の色がちょっと違う、みなしごだっていうだけで、周りの人が騒ぎ出して、いつの間にか、私は魔女にされてしまった。
人間と言うのは恐ろしい。仲間と違う、たったそれだけで魔女裁判にかけて殺そうとする。
捕まったら最後、私は殺される。そう思って私は逃げた。
逃げて逃げて、この森にたどり着いた時、森に棲んでいた本当の魔女、私の先代の魔女に出会ったんだ。
先代の魔女は言ったんだ。人間に殺されたくなかったら、本物の魔女になりなってさ。
私は先代の魔女の元で修業して本物の魔女になったんだ。
本物の魔女になったのに、さっき男の子は私の事を魔女じゃないでしょ?と言った時にはドキッとしたけどね。
本物さ。だって先代の魔女が免許皆伝だよって言ってくれたんだからね。
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