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本編

強奪隠匿

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『マスター、ギルドマスターにスキルを説明しようとしているようですが、オススメしません』

「あいつだけにしかしない。もし、他の奴に流れていたらそいつごと抹消すれば良い話だ」

『忌み子と呼ばれる者が使うスキルは、存在が知られるだけで危険度が増していきます。マスターのスキルの場合、名前も相まって余計にそれが起こります。そうなると、余計に敵が多くなります』

「その時はその時だ」

『マスター』

「大丈夫だって」

『マスター、せめて範囲を決めて下さい』

「そうだなぁ…魔王が死んだことと、魔王が暴食だった事…それと、俺のスキルで殺したって所か」

『…では、マスター。俺のスキルでという部分を削り、とある手段を用いて消滅させたということにして下さい。そうすれば、一応スキル以外も使えます』

「そんなこと言ったって意味ねぇんじゃねぇのか?」

『いえ、この世界には過去に消滅の宝玉というAFが存在していました。そのため、そういった存在も考えられます』

「あー、なるほど?分かった」

『では、手筈通りにお願いします』

「はいはい」

さて…と、何人連れてくるだろうな。

『転移』

「うーん、ここら辺で良いか」

『マスター、森の中に転移してどうしました?』

「いやなに、折角招待するのに、椅子もないと不便だろ?だから、それ用の椅子でも作っておこうかと思ってな」

『なるほど』

「ま、簡単な物くらいしか作れないけどな」

━━んー、このあとはどうするか…

「ま、暇だし適当に色々と試しておくか」

『転移』

「はぁ…はぁ…」

「…走ってきたのですか?」

「それで、話ってなんだ?」

「いえ、貴方が来る時で良かったのですけど…まあ、良いでしょう。つい先日のことなんですけど、偶々とあるものが手に入りまして、それの実験をしていたのですけど、間違えて魔王に使用してしまったらしいのです」

「…それが?」

「いえ、ただその時に魔王が消滅してしまいまして…その時に頭に声が響いてきたんです」

「…消滅?」

「はい。そして、その声によると、新たに私が魔王になるか、それともまた新しい魔王を作り出すか…どちらかを選択するというもので、しかもどうやらその時倒してしまった魔王は暴食の忌み子だったらしいんですよね」

「つまり、暴食と魔王が同時に消えたと...?」

「はい、私の報告はこれで終わりですね」

「…なるほど、これは他の者に話しても大丈夫か?」

「誰に話すのかにもよりますが…基本秘密にして頂けると助かります」

「…なるほど。んじゃ、次は俺だ。つい先日、お前の事をとある方に報告したんだが…興味を持ったのかここまで来るって言ってな」

「…嫌な予感しかしませんが」

「国王だ」

「…バカですか?」

「すまん」

…はぁ、仕方ない。

「…はぁ、分かりました。お待ちしてます」

「ああ、明日来る予定だから頼むぞ」

「…1発殴っても良いですか?」

「…すまん」

最悪だ…

「はぁ…ここにはお茶もないので、買いに行かなければいけませんね」

「すまん、その分の金は払う」

「はい。では、今から買いに行きましょう」

『転移』
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