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5 言霊と魔法

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「…精霊達、彼らの動向を見れるかしら」

《ああ、モニターで見せよう。水、風、光…合わせよ》



「ありがとう」

状況は…そうだね、かなり頭に来ているようだね…ま、いざとなったら公表してこっちが上だって気が付かせたら良いでしょ。

「クロノア、音声はどうしたのかしら」

《ああ、すまぬ。風よ》

「…ええ、それで良いわ。ありがとうね」

…ああ、やっぱり…自分で戦おうとはしないのね。まさか、魔法騎士団に救援を呼ぼうとするなんて…

「精霊、魔法を教えてくれるかしら」

《まずは、魔力感知からだ。今から姫の魔力を動かすから、それを感じ取ってほしい》

「分かったわ」

《…どうだ?》

「…なるほど、これね?なら、これを動かして…さっきやっていたのはこんな感じかしら」

《う、うむ。その後は、人間の魔法ならば…詠唱、想像、送出、この3つが重要だ。
想像したものを詠唱で魔法陣として纏め、それを精霊に魔力を送出してその属性を発動する…と言った感じだ。
だが、精霊姫は詠唱と送出がなく、想像、放出の2つしかない》

「なるほど…イメージしながら魔力を外に…こんな感じかしら」

《そうだ。だが、人間は通常英称が必要で、熟練の魔術師でも詠唱破棄が最低限だ。
そのため、極力技の名は作っておくように》

「ええ、そうするわ」

《次に、精霊と精霊姫が使える言霊を教えよう。
言霊は、少し特殊だが…声に魔力を伝わせて概念に命令をする。
そうすることで、言霊が使える様になる。
例えば…
隠れろ》

「…隠密…いえ、違うわね。姿を周囲の景色に浸透させ、かつ気配は影で隠しているのかしら」

《そうだ。だが、いくつか気をつけて欲しい。
1つ目、死に対する言霊は相手に抵抗されやすく、また自分への反動もある》

「そこら辺は気を付けるわ」

《2つ目、言霊は細かく、長くする程魔力の消費量と言霊の理解を低下させる。その為、言葉は極力少なく、簡潔に》

「分かったわ」

《3つ目、使用する際は明確な意志を付けること》

「ええ」

《とりあえずはこんな所だ。だが、今後もなにかあればまた注意しよう》

「分かったわ、それじゃあ…そうね。こういうのはどうかしら…支配しなさい」

《…む》

「…なるほど、私の意思によって効果が変わる…3つ目の注意はこれのせいね?」

《ああ。それと…生と死を支配するのはお勧めしない》

「何故かしら?」

《言霊は概念を使う。その為、生と死の支配は、創造と消滅を意味するのだ。
それらは、使用者の力と対象者の力、両方を使うため、物質等には構わないが、生物には極力使わないように》

なるほど…自身の力を他者の力へ…

「分かったわ」
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