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15 騎士団長

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「さ、それじゃあ見逃すからさっさとここを去りなさい」

「くっ…」

「…言っとくけど、私だってそんなに甘いわけじゃないのよ。ここを立ち去らないのであれば、問答無用で殲滅させてもらうわ」

「団長…必ず…必ず迎えに行きます!」

「次来るならば死を覚悟しなさい?」

さてと…もう良いかな。

「確かここら辺に…ああ、あったあった。もうちょっと時間が経ってたら見つかってたから危なかったわ」

「…?なぁ、なんだその魔道具は?」

「ああこれ?これはね、ここに眠っている古代機を呼び起こす為のものよ」

「古代機…?なんだそれは?」

「んー、そうね。簡単に言えば…神器すら凌駕する程の圧倒的な力が眠っている魔道具…みたいな感じかしら?」

「そ…そんなのがここに…」

「元の未来では貴方が1人で見つけてこの全てを獲得する筈だったものよ。
その力で帝国は大陸一となったのだけれど…まあ、今は関係ないわね」

「…待て、どういうことだ?」

「精霊姫は知ってるかしら?」

「あ、ああ…【別名:精霊の愛し子】と呼ばれている者で、その者が望むものは全て現実となる…だったか」

「私が精霊姫なのよ。もうひとつ言うと、精霊姫って覚醒すると色んな力が順に獲得していけるのよ。今回使ったのであれば、未来や過去を見通す瞳ね」

「そ、そんな…なら、俺たちに勝率は…」

「勿論、私がこの国に居る時点でそんなものはないわよ。まあでも…この領地から入ってこなければ勝率はあったかもしれないわね」

「…どういうことだ?」

「…実はね、今って絶賛王族と敵対中なのよね」

「そ、それは…絶賛はされてないだろうな…」

「まあ、そういう訳だから、私のいる領地以外を攻めてたら招集にも乗らないから勝てていたかもしれないわね。
あ、でも…その時はこの領地は独立させるつもりだからどっちみち意味なかったかもしれないわね。それじゃあ、雑談もこの位にしてさっさと回収しましょ」

「だが、どうやって回収するんだ?」

「こうするのよ…
遺跡を我が別空間へ」

…危ない、ギリギリ10文字…

「土地よ、元に戻れ」

これで地盤の崩れも心配いらないかな。さてと、お父さんの方は…うん、大丈夫そうかな。それじゃ、帰ろっかな…

「家まで帰しなさい」

…やっぱり、言霊を使う時って魔力を使っていないわね。

「転移も成功…かしらね」

「お嬢様!どこへ行っていたのですか!?」

「あら、少し休憩していただけよ。ちょっと暑かったから日陰まで行っていたのだけれど…心配かけたわね」

「…あら?そちらの方は?」

「この犬なら、さっき拾ったのよ。木陰に居たから連れてきたのだけれど…

「は、はぁ…一応公爵様に聞いてみます」

「犬じゃねぇ」

「あら、私の忠犬なんだから犬でしょう?」

「…いい性格してやがるな」

「褒め言葉として受け取っておくわね」
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