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17 家族の死と悪魔の代償

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「わかったわ、悪い情報からいくわね。
まず、悪い情報の内の1つ目、貴方のこの行為は未来では無駄になるわ」

「…どういうことだ?」

「“自身の保身を得たいが為に取った行動であり、我々帝国を裏切った者”
それが未来の貴方の肩書きよ」

「な…なんだそれは!」

「仕方ないでしょ、実際に起こりうる未来なんだもの」

「…待て、1つ目ってどういうことだ?」

「それじゃあ2つ目。貴方の家族、貴方のこの行動のせいで非難され始めるわ」

「…」

「はい、それじゃあ3つ目。国が貴方を裏切り者として貴方の家族全員を公開処刑するわ」

「…助からない、のか?」

「さぁ、どうかしら。でもまあ、このまま何もしなければ間違いなくその未来が現実となるのは確定しているわよ?」

「…頼む、俺を解放してくれ」

「嫌よ、それじゃああっちを見逃した意味がないじゃない」

「…頼む」

「はい、それじゃあ次に良い情報ね。
まず、良い情報はさっきいった未来はまだ先のことだということよ。そうねぇ…あの未来は大体1ヶ月後位かしら」

「なっ…もう直ぐじゃねぇか!」

「それじゃあ2つ目よ。悪魔の代償は知っているかしら」

「あ、ああ…確か、悪魔は願いを叶えてくれる代わりに寿命等を奪う代償があるという…」

「そうね。それをここでするのであれば、助けてあげるわ」

「…悪魔の召喚をか?」

「あら、悪魔なら既にここに居るじゃない」

「…ほんと、いい性格してやがる」

「さぁ、どうするのかしら。勿論、貴方を逃がすつもりはないからこの機会を逃せば家族の死は確定するわよ?」

「…悪魔あるじ、おれの家族を助けてくれ!代償は…俺が与えられる物全てだ!」

「…よく言ったわ、それでこそ誠実な男よ。さてと…どうせなら帝国を確実に潰せるようになるまでは待ってみようかしら」

「…どういうことだ?」

「非難され始める瞬間にあちらへ転移し、鮮血姫と呼ばれている私が登場、そこから助けてあちらの国の国王に直談判…といった感じかしら」

「…直談判?」

「ふふふ…もちろん拳よ!」

「お、おう…」

「さて、そうとなればまずは衣装から作らないといけないわね」

「衣装?」

「鮮血姫と呼ばれたのよ?それなら、その言葉に相応しい衣装を着て行けばもっと盛り上がるじゃない」

「お前…」

「もちろん、貴方は来れないけどね。ここで貴方が出れば本当に裏切り者となってしまうもの」

「…ああ」

さて…非難が始まるのは1週間後だから…それまでに衣装を用意しないと行けないわね。

《材料と服のイメージさえあれば1日で仕立てあげよう》

「…あら?」

《僕たち精霊のこの服とかはね~、全部ガイアが作ってくれているんだよ~》

「…そんな特技もあるのね」

《前回作ったのは精霊王の祈りの儀式の時に着る服だったかしら?》

《うむ、あれが1番最近な筈だ》

「それなら、お願いしようかしら」

《材料は…そうだな、装備にもなるようミスリルにでもしようか》

「ミスリル、ねぇ…どうせならオリハルコンにしないかしら」

《オリハルコンか…確かに、それならば世界で最も強い装備となるが、オリハルコンは人間が行ける地表にはないのだ》

「あら、それなら大丈夫よ?だって…こうすれば良いもの」
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