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64話 呪われた祝福[2]

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進化条件は自力で見つけなければならない、ねぇ…
そもそも、精霊ってのはなんなんだ?
この世界での公式MVの時に見た説明だと、精霊は

"自然を愛し、自然を司る神の眷属であり、この世を光たらしめる輝かしき存在である"

こう、種族説明に書いてあった筈だ。
なのに、本当は真逆?殺す為にって一体…
そもそも、本当にこいつらは人間を殺すためだけに生まれてきたのか?
なにか、なにか今までの言動にヒントがある筈なんだが…

「…あれ?いや、でも…うーん…
そんなはずは無い…筈なんだが」

火と土の精霊は鍛冶が得意で、よくドワーフの鍛冶の手伝いをしていた。
水の精霊は人族の元で救える命に力を行使していた。
風の精霊は、旅と自由を愛し、エルフの手伝いをしたり、風を辿って世界を巡っていた。
そして、MVの時に出てきた精霊は、精霊王と、少なくとも中級以上の精霊…そして、古代のドワーフやエルフたちだった…
その証拠に、ドワーフは確かに見た目があまり変わらないが、
古代エルフ…又の名をハイエルフ、彼らは風の精霊から翼を授けられている。
そして、古代人族、又の名をハイヒューマン。彼らは、今では悪魔とされているが、黒髪の姿をしており、それらは力の濃度を表しているとされていた。

「…死霊術師の記録に残ってたと思ったが…やっぱり、ここにあったか…
とりあえず、これらはなにか関係がありそうだが…」

ハッ…殺気!?

「キンッ!…なんだぁ?弓矢?敵だな?敵だよな?っしゃぶっ殺す!邪魔したんだ、それ相応の覚悟はあんだろうな!」

って、ん?アナウンスが流れない?先制攻撃をされた時は自己防衛のアナウンスがなる筈だが…

「ガルルル…」

「!?獣人!?まさか…」

「全員、そいつを捕まえろ!物資を多く持っている異邦人だ!」

〖おー、こりゃ獣人の盗賊だな。殺しても問題ない〗

「ふーん…獣人、ねぇ…確か、種族特有の力があるんだっけ?」

〖ああ。だが、魔法の身体強化と大して変わらねぇ。
その種の特徴が大きく強化される程度だ〗

「ふーん、てことは獅子の獣人であるこいつは…全体的な強化、か…」

この世界の魔法は、意外と自由度が高い。同じスキルでも、使用者によっては威力重視なのかスピード重視なのかと変化が出るし、なんなら改良も改造も、オリジナルを作り出すのも可能だ。
つまり、もしかしたら魔法でこいつらのをコピーできるかもしれないってことだが…

「グォォォ!」

〘看破〙…ふぅむ、確かに魔法とは別の力のようだな…だが、かと言って魔法より優れているとも劣っているとも言えない…
うん、でも部分的な強化は確かに使えるかもな。
あの気の流れを、魔力で代用して使って…

「獣気解放!…〘霊獣纏衣〙!」

「霊獣、ね…んじゃ、こっちも使わせてもらおうか…!改良がまだまだ必要だから正式な名はないが…
〘偽・霊獣纏衣〙」

「…なっ、なぜ貴様がそれを…!」
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