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84話 海の怪物[1]

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「…っと、あそこだ」

«むぅ…厄介な相手だ。すまないが主、此度は我はあまり戦力にならぬ»

「え?敵が誰だか分かるのか?」

«う、うむ…此度の敵は…»

〖相棒!ようやく来たか!見ろ、あれを!〗

「…?しょ、触手?」

〖ああ。あれはクラーケンの触手だ〗

「クラーケン…って言ったら、確か…」

«あれは我と同様、遺跡の守護者なのだが…»

「ああ、なるほど…だから不利なのか。てか、あれは別に倒さなくても良いんじゃねぇのか?」

«ああ、言い忘れていたが…遺跡には秘宝があるのだが、それによっては様々な恩恵があるのだ。
我が遺跡ならば…今は主が所有権を持ってはいるが、"聖光の秘宝"と呼ばれる物がある»

「効果は?」

«光属性の強化、闇属性の耐性、1日3回のみ再使用できる守護の光…
そして最後に、戦闘に付き、1度のみ復活できるという能力だ»

「そ、蘇生アイテム!?秘宝ってのはそんなに強いのか!?」

«うむ。そして、彼奴が守護している遺跡は水…現状、水龍の恩恵を持つ主にとって、水刻の秘宝は持っていて損は無いはずだ»

「なるほどね…それじゃ、こいつは倒さねぇと!」

«試練を始めよう…遺跡の解放者よ»

「さぁて…イフリートは他のボスを探してきてくれ。セイレーン達も一緒にな。あ、倒せるならそのまま倒してくれても良いぞ。
シルフは…今回は有利属性だし残ってくれ」

〖は~い!〗

「〘龍魂共鳴〙
んで、海の水は…〘慈雨の恩恵〙」

〖わぁ~凄い!これどうやってるの?〗

彼は、クラーケンの居るであろうその場の海水を全て消去し、周囲の水も支配してせき止めた。

「慈雨の恩恵は、自分が支配している水に限りだが、自由に操作できるんだ。
んでもって、水龍は全ての水に干渉できるから…こういうのも出来るようになる。
んじゃ、シルフ」

〖はーい!〗
「〖〘同化〙〗」

「〖〖さて…それじゃあ、始めよう。
まずは触手から…〘絶風の乱斬〙〗」

そう言って直ぐ、そのフィールドには無数の竜巻が出現し、触手を次々と呑み込んでは刻んでいった。

「〖いいね、あとは本体だけだ。
〘晴天の風〙〗」

『海底遺跡の守護者からの試練を達成致しました。
これにより、海底遺跡の所有権が譲渡されました。
また、水刻の秘宝を獲得致しました。
遺跡の所有権を世界に主張することが可能です』

「んー…遺跡の所有権、ねぇ…だが、遺跡自体誰かに取られたらそれはそれで厄介だよなぁ…」

«そう取られはせん。
遺跡の所有者となるのは1人だけだ。
そして、その試練を受けられるのも1度に付き1人のみ…さらに、一度試練を攻略できなかった者は、再度挑戦するということが出来ぬのだ»

「なるほど?てことは、ソロでお前らを攻略…あれ、無理じゃね?」

«まぁ、主は精霊の力もあるのでな»

「なるほど?それなら…Yes」
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