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転生

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俺は今暇だ。
そこの君。
そうそう。
この小説を読んでくれている君さ。
え? 小説のキャラが読者に話しかけるなって? 
大丈夫だ。
阿呆さくしゃの仕業だ。
後でしっかりと締め上げておくから気にするんじゃない。
唐突だが、自分語りをさせてくれ。
残念ながら隙を作ったお前が悪い。
名前は谷龍我たにりゅうが
今年で45のヒモニートなのだ。
まぁ、ヒモといってもつい最近まで仕事をしてもう一生遊んで暮らせる程はあるからどうかは知らないが。
ただ引きこもっているという真実はあって、持てると夢見た医者という職で、漫画家という職で彼女も出来ず童貞として順分満帆な人生を送っていたのさ。

今日はたまたまエナジードリンクの在庫が切れてコンビニダッシュをしている最中なのさ。
つまり俺は走っている。

「このまま……俺の道は続く。心臓が止まらない限り、俺はその先で生きている」

まさか、これが人生最後の言葉になるとは思いもしていなかった。

「危なーーい! 」

油断をしていた。
イヤホンを付けないで、しっかりと周りの音を聞いていたはずなのに……。

気が付けば、空を舞っていた。
いや……これは飛んでいる。
ってなるかっ!!

「ふんっ! 」

俺は右手封印されしゴットハンドで、トラックを捻り潰した。
大きな金属が一気に押しつぶされる音は爽快だ。
………。

という夢を見たのさ。
ホモは嘘つきというが……俺はそっち側だから関係ない! バーーーっグハッ!?!?!?

そのまま握りつぶされたトマトみたいになって俺はぽっくりと行ってしまったのだった。
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