84 / 92
紅
鉄の味からはじまる
しおりを挟む
ゼメリカが、雄たけびをあげた。両腕を何度も振り、突進してくる。合わせて、ラトスも駆けだした。振りおろされるゼメリカの腕に、剣を突き立てていく。がちんと幾度も音が鳴り、ラトスの肩ががくりとゆれた。硬い。まるで、岩に刃を当てているかのようだった。剣はとおらず、黒い塵もわずかにしかにじまない。
「そんなものかあ!?」
連撃を打ち返すラトスを見て、ゼメリカが笑った。今まで力を押さえていたのだろうか。ゼメリカの紅い眼はラトスをにらんだまま、またたきひとつしなくなった。
「お前も、もう余裕がなさそうだな」
「お前はあ、一撃を受けただけで死ぬう! いつまで耐えられるう!?」
言いながらゼメリカが腕を横に薙ぐ。ラトスは伸びる短剣で受け流し、黒い剣先をゼメリカの首に向けた。突きだすと同時に、ゼメリカが身体をゆらして剣をはじく。
連撃を交わしているうちに、ラトスは強く奥歯を噛み締めた。
瞬間、周囲の空気が脈動した。
何度目かの、時間が止まったような感覚が、ラトスをおそう。
ゼメリカの動きが、ゆっくりと流れるように見えた。手首から先がつぶれた右腕を振りおろしてきている。ゆるやかな時間の流れの中で、ラトスはゼメリカの右腕に左手を合わせた。黒い短剣を一気に突きあげる。
再度、周囲の空気が脈動した。
ラトスの左手から、黒い靄があふれだす。靄は、脈動しながら広がっていった。ゼメリカから流れでた黒い塵を吸いあげ、飲みこんでいく。やがて、ゼメリカの右腕の先から流れでる黒い塵も吸いだし、さらに大きく脈動しはじめた。
周囲から塵を吸い取った黒い靄が、ラトスに振り返る。目はないが、のぞきこんできていると分かった。
黒い靄はしばらくラトスを見ていたが、突然ふるえだした。そのふるえは、自らのものではないようだった。靄はあわてるようにして、広がっていた黒い身体を小さくまとめた。ラトスの左腕に集まると、這うように絡みつく。次第に黒い靄は肌に浸みこんでいって、ラトスの左腕を黒く染めた。
瞬間、時間の流れが元にもどった。
ゼメリカの右腕が振りおろされていた。合わせるように、黒い短剣を突きあげている。剣先がゼメリカの腕に当たった直後、破裂するような音がひびきわたった。
「ぐがっ!? ああああ!?」
ゼメリカの右腕が跳ねあがる。見ると、右腕の肘から先が吹き飛んでいた。骨のようなものだけを残し、肉は黒い塵となって霧散している。
「なぜだあ!? お前え、人間に従っているのかああ!?」
ゼメリカは顔をゆがめて、ラトスの左手を指差した。その表情は、笑っているようなゆがみかたではない。初めて見せた、焦りを含んだ表情だった。
ラトスはゼメリカを見据えたまま、目端で自身の左手を見た。黒い変色が広がっていた。手の甲まで黒く染まっている。手の形も人のものではなくなっていた。魔物の手のように、奇妙な形に変化している。
「なぜだあ!? 話があ、違うではないかああ!!」
紅い眼を見開き、大きな口をぶるりとふるわせた。一歩下がりながら、左腕を無造作に大きく振りだす。当たらないよう、ラトスは後方へ飛びのいた。着地したすぐそばに、メリーとセウラザが立っていた。二人の足元には、未だに座りこんでいるフィノアもいた。
「ラトス」
「なんだ」
「左手の夢魔が成長している。あまり、理性を飛ばさないほうがいい」
「怒るなと? できると思うのか」
「いや。だが、早く終わらせよう」
そう言うとセウラザは、大剣をかまえ直した。
ラトスも二振りの短剣をにぎり直す。荒れ狂うゼメリカに黒い剣先を向けた。剣身が、チリリと鳴る。剣をにぎる左手も黒いので、一体化しているように見えた。
「そうだな。終わらせよう」
自身の左手をにらみながら、ラトスは言った。そばにいたメリーが、唾を飲みこむ。彼女もまた、ラトスの左手を見ていた。心配そうな表情をしていたが、声はかけてこない。四人の前でゼメリカが荒れ狂っているのだから、言葉を選ぶ余裕がないのだろう。
『ちょっとー!?』
突然、ペルゥの声がひびいた。
あわててメリーが腕輪を見る。
『そろそろ退散した方が良いと思うよー!?』
「どうしたんですか?」
『急に岩山が風化しはじめたんだ。そっちで何かあった?』
「えっと、夢魔がいて。今戦ってます」
『それだけ? うーん?』
ペルゥのうなり声が腕輪からとどく。
夢魔がいることをそれだけと言えるのかと、ラトスは思った。ある程度予想していたことなのだろうか。
「あと……ラトスさんの左手が、また少し黒くなりました」
『あー。それだー。それ、ダメー』
軽い声でペルゥが言った。
メリーが首をかしげて、ラトスの左手を見る。
『夢魔は成長するときに、周囲から力を吸うんだ。かなり多めに。だからダメー』
「先に言えよ」
『えー。今回はボク、悪くなくなーい?』
「そうですね。今回はラトスさんが悪いです」
「……わかった。すぐにケリを付ける。それでいいだろう」
『それでよろしくー!』
明るい声がひびくと、ペルゥの声は聞こえなくなった。
ラトスは息をつく。肩の力がだらりと抜けていた。無理やりに気をそらされ、行き場を失った感情がたたずんでいる。左手ににぎる黒い短剣も、静かになっていた。
「……ラトスさん」
「もう大丈夫だ。何も言うな」
「言いますよ」
「強情なことだな。なんだ?」
ラトスはメリーのほうを向かずに、小さく言った。
メリーは少し考えたようだったが、意を決するかのようにラトスの顔をのぞきこんだ。
「ラトスさんが、夢魔に乗っ取られたら……困ります」
「なんでだ」
「ラトスさんは、私とフィノアだけで現の世界に帰れると思います?」
「思わない」
「でしょう?」
メリーは、ラトスの顔をのぞきこみながら言う。
わずかに口の端を持ちあげ、意地悪そうな表情を作ってみせた。
「随分勝手な理由だ」
メリーの顔を見て、ラトスは息を吐く。彼女の言い分は、間違いない。ラトスが夢魔に支配されれば、セウラザは無力化するだろう。となれば、メリーとフィノアだけが取り残される。もしもフィノアが立ち直らなければ、メリーの独力で、夢の世界を彷徨うことになるのだ。
「仕方ない。貸しを作っておくとしよう」
「そうしてください」
メリーがうなずく。
ラトスが困った表情を作ると、彼女は小さく笑った。
直後、大きな音と共に、床がふるえた。
ぐらりと、足がゆれる。倒れないよう、三人は両足に力をこめた。座りこんでいるフィノアは、上半身をゆらして肘をついた。メリーは少女が床に伏せてしまわないよう、腰を下ろして、かぼそい身体をだきとめた。
ゼメリカが、地鳴りのような雄たけびをあげている。
見ると、ゼメリカの足が、大理石の床を踏み砕いていた。衝撃は、玉座の間全体に伝わる。床だけでなく、壁も柱も、天井にも大きな亀裂が走った。
「く、崩れる!?」
フィノアを抱きかかえていたメリーが、亀裂の入った天井を見て叫んだ。彼女の声に、ラトスも天井を見上げた。亀裂が大きく入ったところから、塵と石の欠片が落ちてきている。今すぐに崩れるかは分からないが、長くは持ちそうになかった。
「ゼメリカの攻撃は、俺が押さえる。メリーさんとセウラザは、あいつの頭を吹っ飛ばせ」
「剣が通らないのに!?」
「通るようにする」
メリーの言葉に、ラトスは短く返した。短剣をにぎり直し、上体を低くする。黒い剣身が、小刻みにふるえていた。にぎる黒い左手もかすかにふるえている。どちらがふるえているのかと、ラトスは目をほそめた。
ラトスの左手をにらむように、ゼメリカの紅い眼もほそくなる。大きな左腕がラトスに向かって伸び、拳を固めていた。身体を低くして、突進の構えを取っている。
床のふるえが、増した。わずかに、かたむきはじめている。
天井が崩れると共に、城全体が崩れるかもしれない。ラトスはゼメリカを凝視し、奥歯を噛み締めた。
乱暴に見えるが、ゼメリカの戦い方は理性的だった。
城を崩してしまえば、肉薄した戦いを制さずともゼメリカが勝つからだ。瓦礫に埋もれようとも、ゼメリカだけはおそらく生き残れる。対してラトスたちが死を回避するためには、ゼメリカを祓ったうえで、城が崩れる前に脱出までしなければならない。もう一撃床を踏み砕けば、さらに崩れる速度は増すだろう。戦いの主導権は、もはや取り返せない。
「いくぞ!」
「来いいい!!」
ラトスが駆けだす。
同時に、ゼメリカも飛びだした。
伸びる短剣を右上に振りあげる。剣身を伸ばし、左下に振りおろした。
ゼメリカが小さく飛びあがる。振り下ろされた剣身を踏みつけ、ラトスをにらんだ。ラトスは体勢を崩さないよう、瞬時に伸びた短剣から手をはなした。それを見て、ゼメリカの紅い眼がまたたいた。大きな口をゆがませ、左腕を振りあげる。
「笑ってんじゃねえ!」
黒い短剣をにぎる手に、力をこめる。
ゼメリカの左腕が、振りおろされた。合わせるように、黒い短剣を突きあげる。ラトスの頭ほどあるゼメリカの拳に、黒い剣先が触れた。
はじける音と共に、ゼメリカの拳が黒い塵と化す。爆ぜるように広がった黒い塵が、両者の視界をうばった。感じるのは、互いの左腕の先のみとなった。
ラトスは黒い短剣を突きあげながら、わずかに上体を下げた。右腕を低くかまえ、ゼメリカの方へ向ける。彼の右腕には、小さな弩が装着されていた。
弩から、矢が弾はじきだされる。
矢は低く飛び、黒い塵の先にいるゼメリカの足に当たった。つらぬくほどの威力はないが、ゼメリカの身体をわずかにかたむけさせることはできた。
「セウラザ! メリーさん! 来い!」
ラトスは叫ぶと同時に、飛びあがった。
突きだされたゼメリカの左腕よりも、高く飛ぶ。黒い短剣の押さえを失ったゼメリカの大きな左腕は、ラトスの足の下をいきおいよく通過した。
ラトスの眼下。
ゼメリカの頭が、無防備に映る。
ラトスは黒い短剣をかまえ直した。ゼメリカの眼を見据える。紅い眼だけが、ラトスの動きをおいかけていた。大きく見開いていて、またたきひとつしていない。その眼に、ラトスは黒い短剣を突きだした。
剣身から、はじけるような音が鳴る。左手を染めている夢魔が、どくりと脈動した気がした。痛みを生みだし、押し殺していたはずの感情を貪ろうとしているのが分かる。さらに成長しようとして、指先から肩まで痛みを走らせた。ラトスは苦痛に顔をゆがめたが、歯を食いしばった。今、剣のいきおいを止めるわけにはいかないのだ。
剣が、紅い眼をつらぬく。
つらぬいた感触が、左手に伝わる。奥歯を噛み締め、ラトスは剣を薙いだ。
「がああああああああ!?」
ゼメリカのゆがんだ口から、苦痛の声が吐きだされた。
大きく切り開かれた頭部は、腕や拳のようにはじけ飛ぶにはいたらなかった。突き立った部分の周囲が、煮崩れるように溶けるに止まっている。だが十分だと、ラトスはゼメリカの頭部から飛びのいた。
ラトスが飛びのくと同時に、セウラザの無数の刃の音がひびく。
無数のこまかな刃は、切り開かれた傷へ吸いこまれるように鋭く飛んだ。次々と突き刺さり、ゼメリカの頭が前後にゆれる。そこへ、メリーが声をあげながら飛びこんできた。
細剣が、ゼメリカの頭部に深く刺さる。
黒い塵が、破裂するように噴きだした。
「わあああああ!」
メリーは大きく口を開け、剣をさらに突きだした。
直後、小さな破裂音が鳴った。ゼメリカの身体が崩れ落ちる。巻きこまれないよう、メリーは剣を引きぬいて後方へ飛んだ。飛びあがる際に蹴った力で、ゼメリカの頭ががくりと横に曲がった。
「た、倒しました……?」
黒い塵を噴きだしつづけるゼメリカを見下ろし、メリーは怯えるような声で言った。
ゼメリカの身体は、動かなかった。紅い眼の光は消えていて、口はだらりと半開きになっている。身体全体、脈打つ様子もない。
「ラトス! メリー!」
セウラザの声が、大きくひびいた。
メリーが振り返ると、彼はフィノアの身体を抱きあげて、彼女とラトスを見ていた。
「時間がない! すぐにでも脱出しなくては!」
「で、でも、夢魔は!?」
「もう、起き上がれまい。じきに祓われる」
そう言うとセウラザは、ひるがえって玉座の間の扉に向かい走りだした。あわててメリーも彼の後を追った。彼女の隣を、いつの間にかラトスが並走していた。
「いいのですか、ラトスさん!?」
「……仕方がない」
短く応えたラトスの顔はゆがんでいたが、振り返ろうとはしなかった。
彼の顔を見て、メリーは唇を強く結んだ。きっとここにいる誰よりも、確実に止めを刺して祓いきりたかったはずだ。だが、ここで終わりではない。理性にしたがうならば、心が引き裂かれるほど苦しくとも、今は逃げる他なかった。
ラトスが振り返らないので、メリーも振り返らなかった。
先を行くセウラザは、玉座の間の扉を開けて、二人を待っていた。彼がかかえているフィノアの目は、まだ虚ろだった。ぼんやりと、駆け寄ってくるメリーたちに視線を送っている。
「フィノアは、大丈夫ですか?」
「怪我はない」
セウラザが言うと、彼の腕の内にいるフィノアの目が、わずかにほそくなった。
少女の瞳は、玉座の間の中心に向けられていた。振り返らなかったが、なにを見ているかは分かる。砕けた人形の頭を見ているのだ。
合流した四人は、扉をぬけていく。
ラトスとメリーが先に扉をくぐり、最後にフィノアを抱えたセウラザがひるがえった。
ひるがえる直前、フィノアの瞳に、砕けた人形の頭が映った。
国王の人形の頭は、どこか、優しい笑顔になっていた気がした。
「そんなものかあ!?」
連撃を打ち返すラトスを見て、ゼメリカが笑った。今まで力を押さえていたのだろうか。ゼメリカの紅い眼はラトスをにらんだまま、またたきひとつしなくなった。
「お前も、もう余裕がなさそうだな」
「お前はあ、一撃を受けただけで死ぬう! いつまで耐えられるう!?」
言いながらゼメリカが腕を横に薙ぐ。ラトスは伸びる短剣で受け流し、黒い剣先をゼメリカの首に向けた。突きだすと同時に、ゼメリカが身体をゆらして剣をはじく。
連撃を交わしているうちに、ラトスは強く奥歯を噛み締めた。
瞬間、周囲の空気が脈動した。
何度目かの、時間が止まったような感覚が、ラトスをおそう。
ゼメリカの動きが、ゆっくりと流れるように見えた。手首から先がつぶれた右腕を振りおろしてきている。ゆるやかな時間の流れの中で、ラトスはゼメリカの右腕に左手を合わせた。黒い短剣を一気に突きあげる。
再度、周囲の空気が脈動した。
ラトスの左手から、黒い靄があふれだす。靄は、脈動しながら広がっていった。ゼメリカから流れでた黒い塵を吸いあげ、飲みこんでいく。やがて、ゼメリカの右腕の先から流れでる黒い塵も吸いだし、さらに大きく脈動しはじめた。
周囲から塵を吸い取った黒い靄が、ラトスに振り返る。目はないが、のぞきこんできていると分かった。
黒い靄はしばらくラトスを見ていたが、突然ふるえだした。そのふるえは、自らのものではないようだった。靄はあわてるようにして、広がっていた黒い身体を小さくまとめた。ラトスの左腕に集まると、這うように絡みつく。次第に黒い靄は肌に浸みこんでいって、ラトスの左腕を黒く染めた。
瞬間、時間の流れが元にもどった。
ゼメリカの右腕が振りおろされていた。合わせるように、黒い短剣を突きあげている。剣先がゼメリカの腕に当たった直後、破裂するような音がひびきわたった。
「ぐがっ!? ああああ!?」
ゼメリカの右腕が跳ねあがる。見ると、右腕の肘から先が吹き飛んでいた。骨のようなものだけを残し、肉は黒い塵となって霧散している。
「なぜだあ!? お前え、人間に従っているのかああ!?」
ゼメリカは顔をゆがめて、ラトスの左手を指差した。その表情は、笑っているようなゆがみかたではない。初めて見せた、焦りを含んだ表情だった。
ラトスはゼメリカを見据えたまま、目端で自身の左手を見た。黒い変色が広がっていた。手の甲まで黒く染まっている。手の形も人のものではなくなっていた。魔物の手のように、奇妙な形に変化している。
「なぜだあ!? 話があ、違うではないかああ!!」
紅い眼を見開き、大きな口をぶるりとふるわせた。一歩下がりながら、左腕を無造作に大きく振りだす。当たらないよう、ラトスは後方へ飛びのいた。着地したすぐそばに、メリーとセウラザが立っていた。二人の足元には、未だに座りこんでいるフィノアもいた。
「ラトス」
「なんだ」
「左手の夢魔が成長している。あまり、理性を飛ばさないほうがいい」
「怒るなと? できると思うのか」
「いや。だが、早く終わらせよう」
そう言うとセウラザは、大剣をかまえ直した。
ラトスも二振りの短剣をにぎり直す。荒れ狂うゼメリカに黒い剣先を向けた。剣身が、チリリと鳴る。剣をにぎる左手も黒いので、一体化しているように見えた。
「そうだな。終わらせよう」
自身の左手をにらみながら、ラトスは言った。そばにいたメリーが、唾を飲みこむ。彼女もまた、ラトスの左手を見ていた。心配そうな表情をしていたが、声はかけてこない。四人の前でゼメリカが荒れ狂っているのだから、言葉を選ぶ余裕がないのだろう。
『ちょっとー!?』
突然、ペルゥの声がひびいた。
あわててメリーが腕輪を見る。
『そろそろ退散した方が良いと思うよー!?』
「どうしたんですか?」
『急に岩山が風化しはじめたんだ。そっちで何かあった?』
「えっと、夢魔がいて。今戦ってます」
『それだけ? うーん?』
ペルゥのうなり声が腕輪からとどく。
夢魔がいることをそれだけと言えるのかと、ラトスは思った。ある程度予想していたことなのだろうか。
「あと……ラトスさんの左手が、また少し黒くなりました」
『あー。それだー。それ、ダメー』
軽い声でペルゥが言った。
メリーが首をかしげて、ラトスの左手を見る。
『夢魔は成長するときに、周囲から力を吸うんだ。かなり多めに。だからダメー』
「先に言えよ」
『えー。今回はボク、悪くなくなーい?』
「そうですね。今回はラトスさんが悪いです」
「……わかった。すぐにケリを付ける。それでいいだろう」
『それでよろしくー!』
明るい声がひびくと、ペルゥの声は聞こえなくなった。
ラトスは息をつく。肩の力がだらりと抜けていた。無理やりに気をそらされ、行き場を失った感情がたたずんでいる。左手ににぎる黒い短剣も、静かになっていた。
「……ラトスさん」
「もう大丈夫だ。何も言うな」
「言いますよ」
「強情なことだな。なんだ?」
ラトスはメリーのほうを向かずに、小さく言った。
メリーは少し考えたようだったが、意を決するかのようにラトスの顔をのぞきこんだ。
「ラトスさんが、夢魔に乗っ取られたら……困ります」
「なんでだ」
「ラトスさんは、私とフィノアだけで現の世界に帰れると思います?」
「思わない」
「でしょう?」
メリーは、ラトスの顔をのぞきこみながら言う。
わずかに口の端を持ちあげ、意地悪そうな表情を作ってみせた。
「随分勝手な理由だ」
メリーの顔を見て、ラトスは息を吐く。彼女の言い分は、間違いない。ラトスが夢魔に支配されれば、セウラザは無力化するだろう。となれば、メリーとフィノアだけが取り残される。もしもフィノアが立ち直らなければ、メリーの独力で、夢の世界を彷徨うことになるのだ。
「仕方ない。貸しを作っておくとしよう」
「そうしてください」
メリーがうなずく。
ラトスが困った表情を作ると、彼女は小さく笑った。
直後、大きな音と共に、床がふるえた。
ぐらりと、足がゆれる。倒れないよう、三人は両足に力をこめた。座りこんでいるフィノアは、上半身をゆらして肘をついた。メリーは少女が床に伏せてしまわないよう、腰を下ろして、かぼそい身体をだきとめた。
ゼメリカが、地鳴りのような雄たけびをあげている。
見ると、ゼメリカの足が、大理石の床を踏み砕いていた。衝撃は、玉座の間全体に伝わる。床だけでなく、壁も柱も、天井にも大きな亀裂が走った。
「く、崩れる!?」
フィノアを抱きかかえていたメリーが、亀裂の入った天井を見て叫んだ。彼女の声に、ラトスも天井を見上げた。亀裂が大きく入ったところから、塵と石の欠片が落ちてきている。今すぐに崩れるかは分からないが、長くは持ちそうになかった。
「ゼメリカの攻撃は、俺が押さえる。メリーさんとセウラザは、あいつの頭を吹っ飛ばせ」
「剣が通らないのに!?」
「通るようにする」
メリーの言葉に、ラトスは短く返した。短剣をにぎり直し、上体を低くする。黒い剣身が、小刻みにふるえていた。にぎる黒い左手もかすかにふるえている。どちらがふるえているのかと、ラトスは目をほそめた。
ラトスの左手をにらむように、ゼメリカの紅い眼もほそくなる。大きな左腕がラトスに向かって伸び、拳を固めていた。身体を低くして、突進の構えを取っている。
床のふるえが、増した。わずかに、かたむきはじめている。
天井が崩れると共に、城全体が崩れるかもしれない。ラトスはゼメリカを凝視し、奥歯を噛み締めた。
乱暴に見えるが、ゼメリカの戦い方は理性的だった。
城を崩してしまえば、肉薄した戦いを制さずともゼメリカが勝つからだ。瓦礫に埋もれようとも、ゼメリカだけはおそらく生き残れる。対してラトスたちが死を回避するためには、ゼメリカを祓ったうえで、城が崩れる前に脱出までしなければならない。もう一撃床を踏み砕けば、さらに崩れる速度は増すだろう。戦いの主導権は、もはや取り返せない。
「いくぞ!」
「来いいい!!」
ラトスが駆けだす。
同時に、ゼメリカも飛びだした。
伸びる短剣を右上に振りあげる。剣身を伸ばし、左下に振りおろした。
ゼメリカが小さく飛びあがる。振り下ろされた剣身を踏みつけ、ラトスをにらんだ。ラトスは体勢を崩さないよう、瞬時に伸びた短剣から手をはなした。それを見て、ゼメリカの紅い眼がまたたいた。大きな口をゆがませ、左腕を振りあげる。
「笑ってんじゃねえ!」
黒い短剣をにぎる手に、力をこめる。
ゼメリカの左腕が、振りおろされた。合わせるように、黒い短剣を突きあげる。ラトスの頭ほどあるゼメリカの拳に、黒い剣先が触れた。
はじける音と共に、ゼメリカの拳が黒い塵と化す。爆ぜるように広がった黒い塵が、両者の視界をうばった。感じるのは、互いの左腕の先のみとなった。
ラトスは黒い短剣を突きあげながら、わずかに上体を下げた。右腕を低くかまえ、ゼメリカの方へ向ける。彼の右腕には、小さな弩が装着されていた。
弩から、矢が弾はじきだされる。
矢は低く飛び、黒い塵の先にいるゼメリカの足に当たった。つらぬくほどの威力はないが、ゼメリカの身体をわずかにかたむけさせることはできた。
「セウラザ! メリーさん! 来い!」
ラトスは叫ぶと同時に、飛びあがった。
突きだされたゼメリカの左腕よりも、高く飛ぶ。黒い短剣の押さえを失ったゼメリカの大きな左腕は、ラトスの足の下をいきおいよく通過した。
ラトスの眼下。
ゼメリカの頭が、無防備に映る。
ラトスは黒い短剣をかまえ直した。ゼメリカの眼を見据える。紅い眼だけが、ラトスの動きをおいかけていた。大きく見開いていて、またたきひとつしていない。その眼に、ラトスは黒い短剣を突きだした。
剣身から、はじけるような音が鳴る。左手を染めている夢魔が、どくりと脈動した気がした。痛みを生みだし、押し殺していたはずの感情を貪ろうとしているのが分かる。さらに成長しようとして、指先から肩まで痛みを走らせた。ラトスは苦痛に顔をゆがめたが、歯を食いしばった。今、剣のいきおいを止めるわけにはいかないのだ。
剣が、紅い眼をつらぬく。
つらぬいた感触が、左手に伝わる。奥歯を噛み締め、ラトスは剣を薙いだ。
「がああああああああ!?」
ゼメリカのゆがんだ口から、苦痛の声が吐きだされた。
大きく切り開かれた頭部は、腕や拳のようにはじけ飛ぶにはいたらなかった。突き立った部分の周囲が、煮崩れるように溶けるに止まっている。だが十分だと、ラトスはゼメリカの頭部から飛びのいた。
ラトスが飛びのくと同時に、セウラザの無数の刃の音がひびく。
無数のこまかな刃は、切り開かれた傷へ吸いこまれるように鋭く飛んだ。次々と突き刺さり、ゼメリカの頭が前後にゆれる。そこへ、メリーが声をあげながら飛びこんできた。
細剣が、ゼメリカの頭部に深く刺さる。
黒い塵が、破裂するように噴きだした。
「わあああああ!」
メリーは大きく口を開け、剣をさらに突きだした。
直後、小さな破裂音が鳴った。ゼメリカの身体が崩れ落ちる。巻きこまれないよう、メリーは剣を引きぬいて後方へ飛んだ。飛びあがる際に蹴った力で、ゼメリカの頭ががくりと横に曲がった。
「た、倒しました……?」
黒い塵を噴きだしつづけるゼメリカを見下ろし、メリーは怯えるような声で言った。
ゼメリカの身体は、動かなかった。紅い眼の光は消えていて、口はだらりと半開きになっている。身体全体、脈打つ様子もない。
「ラトス! メリー!」
セウラザの声が、大きくひびいた。
メリーが振り返ると、彼はフィノアの身体を抱きあげて、彼女とラトスを見ていた。
「時間がない! すぐにでも脱出しなくては!」
「で、でも、夢魔は!?」
「もう、起き上がれまい。じきに祓われる」
そう言うとセウラザは、ひるがえって玉座の間の扉に向かい走りだした。あわててメリーも彼の後を追った。彼女の隣を、いつの間にかラトスが並走していた。
「いいのですか、ラトスさん!?」
「……仕方がない」
短く応えたラトスの顔はゆがんでいたが、振り返ろうとはしなかった。
彼の顔を見て、メリーは唇を強く結んだ。きっとここにいる誰よりも、確実に止めを刺して祓いきりたかったはずだ。だが、ここで終わりではない。理性にしたがうならば、心が引き裂かれるほど苦しくとも、今は逃げる他なかった。
ラトスが振り返らないので、メリーも振り返らなかった。
先を行くセウラザは、玉座の間の扉を開けて、二人を待っていた。彼がかかえているフィノアの目は、まだ虚ろだった。ぼんやりと、駆け寄ってくるメリーたちに視線を送っている。
「フィノアは、大丈夫ですか?」
「怪我はない」
セウラザが言うと、彼の腕の内にいるフィノアの目が、わずかにほそくなった。
少女の瞳は、玉座の間の中心に向けられていた。振り返らなかったが、なにを見ているかは分かる。砕けた人形の頭を見ているのだ。
合流した四人は、扉をぬけていく。
ラトスとメリーが先に扉をくぐり、最後にフィノアを抱えたセウラザがひるがえった。
ひるがえる直前、フィノアの瞳に、砕けた人形の頭が映った。
国王の人形の頭は、どこか、優しい笑顔になっていた気がした。
0
あなたにおすすめの小説
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる