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10日はあっという間に過ぎ去った。
卒業式は平穏に終了し、サリエルとマリエットは、以前にも増して仲睦まじい姿で周囲を驚かせた。
ハリアベーヌとザリザンも無事にゴールイン出来た様子で、卒業式のハリアベーヌのエスコートをザリザンは見事に務めていた。
その間、サッシュベリー公爵家とマスカレード男爵家が潰れ、何人かの子息は修道院へと入れられ、修道女院に向かう男爵令嬢が乗った馬車が崖崩れに遭い、運良く馭者は木に引っ掛かり軽傷で助かったが、乗っていた男爵令嬢は消息不明となったーー。
「マリエット様、そのネックレスは、まさか噂のムーバ帝国の研磨技術でお作りになられているのでは?」
「良くご存じですね。ムーバ帝国との技術交流が軌道に乗りましたので、勉強を終えた我が国の研磨師に、サリエル様が頼んで下さりましたの。今後宝石店で、このカット技術が施された宝石も増えますわ」
令嬢達の一団に囲まれたマリエットは、サリエルの色を全身に纏ったコーディネートで会場を虜にしていた。
一方サリエルは、貴賓や大臣との会話が終わり、飲み物を飲んでいた所を、ハリアベーヌとザリザンに捕まった。
「マリエット、前にも増してキラキラしているわね」
「月の乙女が眩しい……」
「僕のお嫁さんが一番可愛いのは当たり前だろ」
「……貴方、性格が変わりすぎよ…」
「もうゲームの世界とか関係無いし。演技する必要もないからね」
「……羨ましいわ。あのネックレスに使われているチェーンって私達が持ってきたものよね? ユニコーンの角に巻き付いてたやつ」
「ああ、うん。あれは幻獣ユニコーンの霊力が込められたチェーンで、幸運を50上昇させる装備アイテムなんだ。宝石とかの装飾は勝手に着けさせてもらったけどね」
「ふぅん。ああ、だからサリエルは聖女と勇者のユニットが欲しかったのね」
「そゆこと。聖なる者しか幻獣は心を許さないからね。僕が知るゲーム知識では、卒業式後に、枢機卿が聖騎士ユニットを連れてくるんだけど、そのユニットがユニコーンを助けて、あのチェーンを王家に献上することで手に入るんだ。2週目限定アイテムってやつ。2週目でやっとマリエットを救えるなんて、意地悪なゲームだよね」
「……そうね。ここは、現実だもの。死んだらそこまでなのにね。ネックレス、私たちのおかげで最速で手に入れられて良かったわね」
「おかげでマリエットの運気が上昇して、エンディング前の危険なイベントは、全部回避できたよ。ありがとう」
「どういたしまして。マリエットも貴方も、幸せになりなさいよ」
「ああ、ありがとう。そう言えば、君たちのエンディングはいつなんだい?」
「三章で終わる。ハリアベーヌと俺は、現在第二章が幕を開けた。次の闇の帝王の陰謀はカンツォール国からやって来るぞ」
サリエルの問いにザリザンが答えた。全部で三章続くらしい……。
「カンツォール国か……」
「カンツォール国ね……」
ザリザンの言葉に苦々しい反応を同時に見せるサリエルとハリアベーヌ。
乙女ゲームの三馬鹿のやらかしの嫌な記憶が甦った。
「あれも勇者にまつわる予定調和なイベントだったのか…」
「脇役でも、聖女である私がマリエットの代理で参加する羽目になった事を、深く考えるべきだったわ」
頭を抱える2人とは裏腹に、パーティは和やかに幕を閉じた。
★
~半年後~
ウェディングドレスに身を纏ったマリエットは、涙ぐむ父親とヴァージンロードを進む。神父の前に立つのは、白いタキシード姿のサリエルだ。
天候は快晴。穏やかな春の日差しに、咲き乱れる花で飾られた王都。
大教会の聖堂で行われるのは、王太子サリエルとマリエットの結婚式だった。
「マリエット、とても綺麗だよ」
「サリエル様も、素敵ですわ」
神父姿の枢機卿に祝福の言葉を頂く。
「神の前で、汝、サリエル・アリアカーナは、マリエット・ヴィストンを妻とし、生涯愛し続けると誓うか?」
「誓います!」
「神の前で、汝、マリエット・ヴィストンは、サリエル・アリアカーナを夫とし、生涯愛し続けると誓うか?」
「誓います!」
「ーーーよろしい。最高神に代わり、いまここで、二人を夫婦と認める! 誓いの口付けを!」
マリエットの頭にかかる白いヴェールが捲られ、サリエルと見つめ合う。
愛しさと嬉しさが涙として込み上げて来るのを必死で耐えたマリエット。近づくサリエルの顔。サリエルの瞳も少し潤んでいた。
優しく重なる唇。祝福を告げる鐘が鳴り響き、サリエルとマリエットを祝福する歓声で周囲は包まれた。
甘く少し長めのキスが終わり、サリエルと手を繋いで外へと向かうマリエット。
枚散る花弁と、民衆の祝福の声。
「マリエット、ずっと愛している」
「わたくしも、サリエル様をずっと愛していますわ」
いつまでも、二人の幸せが続きますようにーーー。
【完】
~作者コメント~
最後までお付き合い下さりありがとうございました。日にち跨いでしまって申し訳無いです。
誤字脱字報告や、感想を頂けると嬉しいです! 励めます! できればお手柔らかに。
また別の作品で、お会いしましょう!
番外編として、ザリザンとハリアベーヌの話を、出来次第、投稿予定です。
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