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第一章

1の22 ノリノリ通訳、止めを刺す!

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スゥと息を吸い込み、ブルーフィン王国第二王子随行の優秀な通訳が口を開く。

もう誰にも‥‥

私ですら彼等を止められないと、第二王子フラットは口を真一文字に引き結ぶ。



【『お父様』‥‥ねぇ?
あなたは幼少の頃は母親ソックリだったそうですが、今は『叔父』にソックリだそうですねぇ?】

【はッ? ええ。
だから何よ?
別に、血が繋がってるんだから、叔父様に似ていても不思議じゃないでしょう?】

【実際はあなたの母とその『叔父』は姉弟ではなく赤の他人、恋人同士です。
狭い島国でそれがバレなかったのは、あなたの母が外国で生まれ育ったからです。
仕事を求めて島を出て、そのまま外国に移り住むラメール人は多い。
あなたの母の実家もそのケースですな。
あなたの母は、旅行で恋人と共にラメールを訪れた際に国王陛下に見初められ、姉弟のフリをして王家に寄生する事にした。
その時既に妊娠していたが、幸い恋人もラメール人だから、生まれ来る子の髪も目も肌もラメール人の特徴そのもの。
国王陛下の子供と偽り、生まれたのがあなた、第二王女だ。
つまり、あなたが『叔父』に似ているのは、『叔父』があなたの父親だから】

【はぁ!?
何言ってんのよ!
1カ月前まではこの国の存在すら知らなかった遠い外国の人間に何が分かるって言うのよ!?
いくら大国の人間だからって、そんなデタラメ、許さないわよッ!】

【そう。
我が国は大国ブルーフィン。
ブルーフィンの諜報能力を侮ってもらっては困りますな】

「‥‥おかしいと思っていた‥‥」

「‥‥ハッ!?
お、お父様ッ!?
あんなデタラメ、信じないで下さいッ!
お兄様ッ!
そんな目で見ないでッ
あぁ、あぁ~~~ッ」



通訳達、長々と何の話をしたのだ?

まぁ、煩い第二王女が連行されて行っているし、国王と王太子も蒼白で俯き静かになったのでいいとするか。

ボニート王国語が解らない為、会話内容は一切不明の第二王子フラット。

シレーヌ姫にしか興味が無い為、客観的に事実だけを見て、結果オーライとする。
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