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05 サンド父の思惑
上機嫌でカーマイン家を出るサンド子爵。
馬車の対面に座る娘エクリュは不機嫌だ。
「お父様困ります!
私はそりゃあ美人ですけどアルゲンテウス辺境伯は別格の美丈夫…
次元が違うんです!
だから少しでもよく見せないと…
あのブスが隣に居れば
私の美貌が引き立‥」
「心配するな。
ちゃんと考えてる」
「だって!
お父様の言いなりのアンバー叔父様の娘だから好きに出来るのよ?
他人になったら
逃げられちゃうわ!」
「考えてごらん?
除籍されたらルフスは平民だ」
「!
‥でも…平民だからって好きに出来る?」
「見たばかりだろう?
あの生意気ブスは相手が伯父様だろうが従姉様だろうがポンポン言ってくる。
性分なんだ、
平民になったからって急に変えられまいよ。
で、質問だ。
平民が貴族にあんな口を利いたらどうだ?」
「………………………
あ!
不敬!不敬罪だわ!」
「うん、ご名答だ。
さすが私の娘。
…だが少し答えるのが遅いかな…
さっきルフスと話していた時も少し反応が鈍い時があったが…」
「………はぁ!?
私は鈍かった事など1度もありません!」
「いや、ほら、何だ、
『夫を満足させる自信が無いからって他人を頼るな』とか言われた時?」
「………………………
違います!
あれはあまりにもあり得ない事を言われて!
驚き過ぎて頭真っ白になったせいで!
決して私が鈍いわけではありません!」
「あ、ああそうか、
そうだな!ハハッ‥」
「もう…変なお父様」
「うん…話の続きだが
ルフスに不敬罪を犯させて罰として閨勤侍女を課すんだ。
平民ルフスに異議申し立ては出来ない。
どうだ?」
「素ッ晴らしいわ!
さすが私のお父様!」
エクリュは父の対面から横に移動して
ギュッと腕を組む。
(痛ッ!‥む、
胸を押し付けるな!)
硬過ぎる胸が…
そう、作り物の胸がサンド子爵の腕を圧迫する。
以前は胸に詰め物を入れていた様だが
気付くと背中に移動していた等の不都合が発生し、対策を講じて行く内にエスカレートして今の形…
硬く決して型崩れしない胸の形の何かを装着する様になった。
遠目に見れば立派な胸だが近くではやはり違和感が酷い。
ましてや押し付けられた日には――
(よく悲鳴を上げなかったな、
偉いぞ、私)
多分貧乳なのだろう。
だからスタイルを良く見せようと工夫を始めた。
若い娘なのだ。
当然の努力だ。
だが明らかに失敗している!
とは言えそれを指摘するのは危険過ぎる。
以前、顔について――
エクリュは顔も誤魔化そうと数年前からメイクに力を入れ出した。
性分なのだろう、
やはりドンドンエスカレートして…
今、エクリュはメイクしていると言うよりお面を着けている状態だ。
(その事を指摘した時のエクリュの怒りは凄まじかった…
その上『私は普通にメイクしているだけ』と言い張り改めようとしない。
『白粉の塗り過ぎで顔と首の色が違う』と指摘しても私の目が変なんだと言いがかり…
機嫌を直してくれるまで1か月以上口を利いてくれなかった…)
もうあんな気まずい時間を過ごしたくない。
先輩女性とかが忠告してくれるといいのだが…
父の話すら聞かないエクリュが他人の意見に耳を傾けるはずがない。
唯一エクリュが話を聞くであろう存在はエクリュの母。
だが私に愛想をつかしたらしく何年も前に出て行ったきり音沙汰無し。
年頃の娘のメイクやバストにアドバイスしないなんて何て冷たい母親だ!
(お面メイクも違和感バストも私には手の打ちようが無い。
――エクリュは遠目に見ればスタイル抜群の美人だが
近付けば珍妙な生き物…
だがあの圧倒的不細工のルフスが横に並べばエクリュは随分マシに見えるはずだ!
奇妙なメイクやバストに気付かないかもしれない…
だから絶対ルフスをエクリュに帯同させなければ!
侍女として連れて行くのは相手方を信頼していないと取られかねないからダメだ。
花嫁側が用意して違和感が無い者…
となれば閨勤侍女しかない!
少々古い慣習だが田舎ではまだ普通に行っている所もあると聞く。
国境にあるアルゲンテウス辺境伯領は田舎中の田舎…
歓迎されるだろう。
いくら不細工でも好きに楽しんでいい体だ。
やりすぎて殺してしまっても罪にならない。
これを喜ばない男がいるはずない!)
ご機嫌で対面の椅子に戻るエクリュ。
やっと解放された腕をさり気なくさすり血流を促すサンド子爵。
腕が壊死する危険が去った彼は愛娘を優しく見つめ強く決意する。
可愛いエクリュの幸せの為に――
ルフス、お前には絶対閨勤侍女になってもらうぞ!
馬車の対面に座る娘エクリュは不機嫌だ。
「お父様困ります!
私はそりゃあ美人ですけどアルゲンテウス辺境伯は別格の美丈夫…
次元が違うんです!
だから少しでもよく見せないと…
あのブスが隣に居れば
私の美貌が引き立‥」
「心配するな。
ちゃんと考えてる」
「だって!
お父様の言いなりのアンバー叔父様の娘だから好きに出来るのよ?
他人になったら
逃げられちゃうわ!」
「考えてごらん?
除籍されたらルフスは平民だ」
「!
‥でも…平民だからって好きに出来る?」
「見たばかりだろう?
あの生意気ブスは相手が伯父様だろうが従姉様だろうがポンポン言ってくる。
性分なんだ、
平民になったからって急に変えられまいよ。
で、質問だ。
平民が貴族にあんな口を利いたらどうだ?」
「………………………
あ!
不敬!不敬罪だわ!」
「うん、ご名答だ。
さすが私の娘。
…だが少し答えるのが遅いかな…
さっきルフスと話していた時も少し反応が鈍い時があったが…」
「………はぁ!?
私は鈍かった事など1度もありません!」
「いや、ほら、何だ、
『夫を満足させる自信が無いからって他人を頼るな』とか言われた時?」
「………………………
違います!
あれはあまりにもあり得ない事を言われて!
驚き過ぎて頭真っ白になったせいで!
決して私が鈍いわけではありません!」
「あ、ああそうか、
そうだな!ハハッ‥」
「もう…変なお父様」
「うん…話の続きだが
ルフスに不敬罪を犯させて罰として閨勤侍女を課すんだ。
平民ルフスに異議申し立ては出来ない。
どうだ?」
「素ッ晴らしいわ!
さすが私のお父様!」
エクリュは父の対面から横に移動して
ギュッと腕を組む。
(痛ッ!‥む、
胸を押し付けるな!)
硬過ぎる胸が…
そう、作り物の胸がサンド子爵の腕を圧迫する。
以前は胸に詰め物を入れていた様だが
気付くと背中に移動していた等の不都合が発生し、対策を講じて行く内にエスカレートして今の形…
硬く決して型崩れしない胸の形の何かを装着する様になった。
遠目に見れば立派な胸だが近くではやはり違和感が酷い。
ましてや押し付けられた日には――
(よく悲鳴を上げなかったな、
偉いぞ、私)
多分貧乳なのだろう。
だからスタイルを良く見せようと工夫を始めた。
若い娘なのだ。
当然の努力だ。
だが明らかに失敗している!
とは言えそれを指摘するのは危険過ぎる。
以前、顔について――
エクリュは顔も誤魔化そうと数年前からメイクに力を入れ出した。
性分なのだろう、
やはりドンドンエスカレートして…
今、エクリュはメイクしていると言うよりお面を着けている状態だ。
(その事を指摘した時のエクリュの怒りは凄まじかった…
その上『私は普通にメイクしているだけ』と言い張り改めようとしない。
『白粉の塗り過ぎで顔と首の色が違う』と指摘しても私の目が変なんだと言いがかり…
機嫌を直してくれるまで1か月以上口を利いてくれなかった…)
もうあんな気まずい時間を過ごしたくない。
先輩女性とかが忠告してくれるといいのだが…
父の話すら聞かないエクリュが他人の意見に耳を傾けるはずがない。
唯一エクリュが話を聞くであろう存在はエクリュの母。
だが私に愛想をつかしたらしく何年も前に出て行ったきり音沙汰無し。
年頃の娘のメイクやバストにアドバイスしないなんて何て冷たい母親だ!
(お面メイクも違和感バストも私には手の打ちようが無い。
――エクリュは遠目に見ればスタイル抜群の美人だが
近付けば珍妙な生き物…
だがあの圧倒的不細工のルフスが横に並べばエクリュは随分マシに見えるはずだ!
奇妙なメイクやバストに気付かないかもしれない…
だから絶対ルフスをエクリュに帯同させなければ!
侍女として連れて行くのは相手方を信頼していないと取られかねないからダメだ。
花嫁側が用意して違和感が無い者…
となれば閨勤侍女しかない!
少々古い慣習だが田舎ではまだ普通に行っている所もあると聞く。
国境にあるアルゲンテウス辺境伯領は田舎中の田舎…
歓迎されるだろう。
いくら不細工でも好きに楽しんでいい体だ。
やりすぎて殺してしまっても罪にならない。
これを喜ばない男がいるはずない!)
ご機嫌で対面の椅子に戻るエクリュ。
やっと解放された腕をさり気なくさすり血流を促すサンド子爵。
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