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06 アルゲンテウス辺境伯邸
2週間後
アルゲンテウス辺境領。
王宮さながらの広大さと壮麗さを誇る辺境伯邸。
その敷地内に立つ公務邸1階。
本当に二男を連れて来たサンド子爵親子は震えている。
案内された部屋は思いの外広く
しかも大勢の文官がズラリ並んで
何やら物々しい雰囲気…
静かな怒りの空気を放っている者もいる?
大体、ここへ来るまでに見た光景に既に怖気づいている。
荒れたド田舎だと思っていたアルゲンテウス辺境領は実り豊かな小麦畑や果樹園が続き
領都は王都さながらの賑わいで。
大きな建物が立ち並ぶ町は綺麗に整備され
行き交う人々も垢抜けており
始めの頃ははしゃいでいたサンド子爵親子は段々口数が減り
すっかり元気が無くなったところで辺境伯邸敷地の入り口に到着し
そこから森だの湖だの抜けてやっと邸に辿り着き――
と思ったらその建物は公務邸だと言う。
何じゃそりゃ?
公務のみをする建物?
お城かと思った――
辺境伯の私的な邸は更に森を越えるらしい――
もしかしなくても王宮より凄い…
これはもう一国家なのではないか――
サンド子爵の顔色がどんどん悪くなる。
実はこの縁談、エクリュに来たものではなく
本当はカーマイン子爵令嬢ルフスに来たものなのである…
そう…
新事業を立ち上げては失敗ばかり
弟に尻拭いさせているサンド子爵家にまともな縁談など来るはずがないのだ。
娘エクリュは名門王都高校を卒業しているが淑女科。
『乙女科』と呼ばれている淑女科は貴族の『花嫁サークル』という位置付けで。
入学試験も卒業試験も無い。
学校というより高級サロンで。
王都高校とは名ばかりの別モノなのである。
真の王都高校はたとえ難しい入学試験を通っても
更に厳しい進級試験、卒業試験をパスしなければ在学していた記録さえ抹消されるシビアな学校で。
ルフスはまだ入学して数か月だが既に座学の方は卒業試験をパスしている。
後は騎士科の実践試験が8種あるのだが
ルフスは急ぐ積もりはない。
実践鍛錬に集中するため座学を早々に片付けたに過ぎない。
だがこの異例の少女が噂にならない訳はなく。
とんでもなく優秀な少女の出現に王家、貴族家は色めき立った。
――が、ルフスの外見に失望し縁談話を持ち掛けるに至らなかった。
そんな中でアルゲンテウス辺境伯家だけが縁談を結びたいと書簡を送った。
その書簡がサンド子爵家に届いた。
カーマイン子爵が商売で得た利益の入金先をサンド子爵家にしたりするせいか
ルフスとエクリュを取り違えたのだ。
中を改めその事に気付いたが
サンド子爵はこれ幸いとしれっと正式な承諾の書簡を返し
今に至るというわけ。
(‥べ、別に悪い事をした訳ではない!
弟の物は私の物…
ずっとそうして来たのだから…
だからこの縁談を貰っても当たり前の事…
だが、アルゲンテウス辺境伯家がこんなに大きな家だとは…
『辺境伯』は『侯爵』と同等。
我が家の近く…
王都付近には伯爵家より劣る侯爵家がザラにある…
だから軽く見ていた。
だがこんなに大きな家の嫁になど…
エクリュには荷が重すぎる…)
自分は余計な事をしてしまったのだろうか…
そんな気持ちで隣に立つエクリュに視線を向けると――
「‥ッ!?」
ギ、ギラギラしている!?
―――え??
「お父様、素晴らしい縁談をありがとうございます。
嬉しいわ、子供の頃からの夢が叶うなんて…
お姫様になれるなんて」
ええ~~~!?
何という事だ…
エクリュはやる気だ!
アルゲンテウス辺境領。
王宮さながらの広大さと壮麗さを誇る辺境伯邸。
その敷地内に立つ公務邸1階。
本当に二男を連れて来たサンド子爵親子は震えている。
案内された部屋は思いの外広く
しかも大勢の文官がズラリ並んで
何やら物々しい雰囲気…
静かな怒りの空気を放っている者もいる?
大体、ここへ来るまでに見た光景に既に怖気づいている。
荒れたド田舎だと思っていたアルゲンテウス辺境領は実り豊かな小麦畑や果樹園が続き
領都は王都さながらの賑わいで。
大きな建物が立ち並ぶ町は綺麗に整備され
行き交う人々も垢抜けており
始めの頃ははしゃいでいたサンド子爵親子は段々口数が減り
すっかり元気が無くなったところで辺境伯邸敷地の入り口に到着し
そこから森だの湖だの抜けてやっと邸に辿り着き――
と思ったらその建物は公務邸だと言う。
何じゃそりゃ?
公務のみをする建物?
お城かと思った――
辺境伯の私的な邸は更に森を越えるらしい――
もしかしなくても王宮より凄い…
これはもう一国家なのではないか――
サンド子爵の顔色がどんどん悪くなる。
実はこの縁談、エクリュに来たものではなく
本当はカーマイン子爵令嬢ルフスに来たものなのである…
そう…
新事業を立ち上げては失敗ばかり
弟に尻拭いさせているサンド子爵家にまともな縁談など来るはずがないのだ。
娘エクリュは名門王都高校を卒業しているが淑女科。
『乙女科』と呼ばれている淑女科は貴族の『花嫁サークル』という位置付けで。
入学試験も卒業試験も無い。
学校というより高級サロンで。
王都高校とは名ばかりの別モノなのである。
真の王都高校はたとえ難しい入学試験を通っても
更に厳しい進級試験、卒業試験をパスしなければ在学していた記録さえ抹消されるシビアな学校で。
ルフスはまだ入学して数か月だが既に座学の方は卒業試験をパスしている。
後は騎士科の実践試験が8種あるのだが
ルフスは急ぐ積もりはない。
実践鍛錬に集中するため座学を早々に片付けたに過ぎない。
だがこの異例の少女が噂にならない訳はなく。
とんでもなく優秀な少女の出現に王家、貴族家は色めき立った。
――が、ルフスの外見に失望し縁談話を持ち掛けるに至らなかった。
そんな中でアルゲンテウス辺境伯家だけが縁談を結びたいと書簡を送った。
その書簡がサンド子爵家に届いた。
カーマイン子爵が商売で得た利益の入金先をサンド子爵家にしたりするせいか
ルフスとエクリュを取り違えたのだ。
中を改めその事に気付いたが
サンド子爵はこれ幸いとしれっと正式な承諾の書簡を返し
今に至るというわけ。
(‥べ、別に悪い事をした訳ではない!
弟の物は私の物…
ずっとそうして来たのだから…
だからこの縁談を貰っても当たり前の事…
だが、アルゲンテウス辺境伯家がこんなに大きな家だとは…
『辺境伯』は『侯爵』と同等。
我が家の近く…
王都付近には伯爵家より劣る侯爵家がザラにある…
だから軽く見ていた。
だがこんなに大きな家の嫁になど…
エクリュには荷が重すぎる…)
自分は余計な事をしてしまったのだろうか…
そんな気持ちで隣に立つエクリュに視線を向けると――
「‥ッ!?」
ギ、ギラギラしている!?
―――え??
「お父様、素晴らしい縁談をありがとうございます。
嬉しいわ、子供の頃からの夢が叶うなんて…
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ええ~~~!?
何という事だ…
エクリュはやる気だ!
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