ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ

文字の大きさ
17 / 36

17 遺伝情報消去魔法

「母上、『遺伝情報消去魔法』とは?」
「ザックリ言うと
血の繋がりを消す事。
ほら、ルフスちゃんから元父に光が当てられているでしょ?
見えないだろうけど超極細の光の糸の集まりなのよ。
あの1本1本が親子の繋がり要素を特定して消していくのよ」

(元父って私の事か…
前アルゲンテウス辺境伯夫人、声は美しいが
随分と雑な御方の様…
いや、そんな事より
血の繋がりを消す!?
どういう事だッ!?
そんな事出来る訳‥)

動けず話せずのカーマイン子爵だが
辺境伯家の会話に心の中は大騒ぎだ。

「そんな事出来るんですか?」
「今目の前で起こっているわ。
消去が済めば光の糸が消える。
ほら、頭頂部から順に光が消えて行って…」

(た、確かに光が消えていくほどに喪失感が増していく!)

「確かにそうだな。
見事なものだ。
話に聞いた事はあるが
私も初めて見る」
「そうねあなた。
殆どの妖精族も見た事無いでしょうね。
それ程に凄い大魔法だもの」
「恐ろしい量の魔力が使われています…
ッ、ルフス嬢は大丈夫なのだろうか」
「…命懸けよね。
それでも切りたいのね
元父との血縁を」

(ッ!!)

「その通りです」
「ルフス嬢!
話して大丈夫なのか」
「はい。
魔法の組み立ては済みましたから。
後は自動で‥
私は待つだけです」
「痛みや苦しみは‥」
「私の方はあります。
父方の遺伝情報が消えた分母方の遺伝情報が前面に‥
その変化には当然痛みが伴います」
「ッ‥ルフス嬢ッ!」
「大丈夫です。
解放感が勝ちます」
「よっぽどね…
ところでルフスちゃんは母親のコピーになるという事かしら?」
「違います。
母のコピーなど御免です。
人間に殺される様なお花畑になどなりたくありません」

(!?なに!?
プルプラは殺されたと言うのか!?
人間用の薬が体に合わず拒絶反応で死に至ったと医術師は言っていたぞ!?
くッ、くそッ、
聞きたいが私の方は声すら出せない)

カーマイン子爵は動揺する。

「そう‥
プルプラ様は殺された様なものよね…
可哀想にね…
でも彼女は魔力が無かったのでしょう?
人間と変わらない女性だったのだもの、
お花畑は言い過ぎでは?」
「母上、ルフス嬢は熟考の末で話します。
ルフス嬢がそう言うのなら相応の理由があるのです」
「あ‥アラソウ‥」

今まで誰にも何にも興味を示さなかった息子の前のめり過ぎるフォロー…
真剣過ぎる表情が間抜けにすら見える…
本当に一体これは誰?
そう思わずにいられない程に面食らう前辺境伯夫人。

「ありがとうございます、辺境伯閣下」
「むッ!?私の事は名前で呼んでくれるはずじゃ‥」
「コホン説明します!
母にも魔力はあったはずですが目覚めさせられなかったのです。
私には母の人生の記憶があります。
幼い頃は母の記憶が自分のものの様に見えましたから。
母は妖精界の立派な城で育ちました。
それはそれは過保護に。
母の両親も相当な過保護親でしたが
母の兄が異常な過保護兄で…
母は兄に宝物の様に育てられ危険な場面では何時でも兄が助けてくれました。
だから死に瀕した時も自力で生き抜こうと思えなかった。
きっと兄が助けてくれるはずと期待してしまった。
だから魔力が目覚めなかった。
ちなみに私の魔力が目覚めたのは10才の時です。
冒険者として薬草取りしていた時に魔獣に襲われ瀕死の怪我を負いました。
その時魔力が目覚めたのです。
人間として生きる積りでしたので魔力は極力使わない様に封印しましたが…」

(な、魔獣に襲われただと!?
そんな話聞いてな‥
あぁそうか…
私はルフスが10才の頃は全く家に帰っていなかった…)

「えええちょッと!
ルフスが魔力持ち!?
凄いじゃないの!
さすが私の従妹ね!」

急に割り込んで来たのはエクリュだ。
サンド子爵や兄と共にこっそり部屋から逃げようとしていたのだが踵を返して。

「だけど何で?、
何で魔法で美人にならないのよ?」

近付きながらエクリュ的に1番気になる質問をする。

「…親から貰った体を変える気になどならなかった。
たとえ醜いと蔑まれようと私の容姿は私と親を繋ぐ証だった」

カーマイン子爵はハッとする。
そう、ルフスは顔も体付きもカーマイン子爵の母によく似ているのだ。
それに赤い髪と茶色い瞳は自分と全く同じ…
前サンド子爵と同じでもある…
隔世遺伝だったか?
親よりも祖父母に似る子供はたまにいる。
ルフスは私の方に…
父方の祖父母によく似た子供なのだ。
醜いと侮られ蔑まれる残念な容姿…
魔法で変える事も出来たのに大切にしてくれたのか――

不意にカーマイン子爵の頬を涙が伝う。
自分は容姿を理由に目を逸らした。
だがその容姿を自分との繋がりとして大切にしてくれていた事への愛しさか
繭となったルフスからの光が全て消え血縁消去が終了した喪失感からか
その理由は本人にも分からないが
胸が締め付けられ涙が止まらないのだ…

「はぁ?
ルフスってホント変わってるよね!
まぁいいわ。
ねえ、私の事世界一の美女にしてよ!
魔法でチャチャっと!
出来るでしょ?」
「世界一の美女になってどうする。
お前は死罪だぞ」
「………………………
えぇ!?
ラル‥辺境伯閣下!
何で私が死罪‥」
「妖精族に対する不敬罪その他諸々だ。
この者を捕らえよ」
「待ってよ!
ルフス助けなさいッ」
「何故私が縁もゆかりもない罪人を助ける?」
「罪‥いッ従姉妹でしょうよ私達!」
「はぁ…聞いても理解出来なかったか?
私はカーマイン子爵と完全に縁が切れた。
つまりサンド子爵家とも何の関わりも無い」
「ッ兎に角今は理屈はいいから!
魔法で何とかして!」
「見苦しい愚女めが!
ルフスちゃんがお前の為に魔法を使う事など絶対に無いわ!」

その美しい声は前辺境伯夫人だ。
やっと体が自由になったカーマイン子爵はその姿を目にし美しさに驚くが

「それだけじゃない。
お前達は大きなものを失ったのよ」

前辺境伯夫人は皺一つない口元にクッと口角を上げる。

あなたにおすすめの小説

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。

モブなので思いっきり場外で暴れてみました

雪那 由多
恋愛
やっと卒業だと言うのに婚約破棄だとかそう言うのはもっと人の目のないところでお三方だけでやってくださいませ。 そしてよろしければ私を巻き来ないようにご注意くださいませ。 一応自衛はさせていただきますが悪しからず? そんなささやかな防衛をして何か問題ありましょうか? ※衝動的に書いたのであげてみました四話完結です。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

完結 女性に興味が無い侯爵様、私は自由に生きます

ヴァンドール
恋愛
私は絵を描いて暮らせるならそれだけで幸せ! そんな私に好都合な相手が。 女性に興味が無く仕事一筋で冷徹と噂の侯爵様との縁談が。 ただ面倒くさい従妹という令嬢がもれなく付いてきました。

完結·婚約破棄された氷の令嬢は、嫁がされた枯れおじのもとで花開く

恋愛
ティリアは辺境にある伯爵の娘であり、第三王子ガフタの婚約者であった。 だが、この婚約が気に入らないガフタは学園生活でティリアを冷遇し、卒業パーティーで婚約破棄をする。 しかも、このまま実家に帰ろうとするティリアにガフタは一回り以上年上の冴えないおっさん男爵のところへ嫁ぐように命令する。 こうしてティリアは男爵の屋敷へと向かうのだが、そこにいたのは…… ※完結まで毎日投稿します ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿中

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?