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4 戦い
80 古代人の力 1
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連行されていくテネブラエ公をボー―ッと見ているソルに皇帝は切り出す。
「君を殺そうという者は捕えた――これで君の『どうしても無視出来ない大きな問題』は解決だ」
「腑に落ちません」
「なのでプロポーズの返事を‥え?」
「テネブラエ公はわたくしの命を奪いたかっただけのはず――なのに何故誘拐だったのです?――誘拐団ではなく刺客を送れば、毒でフラフラだったわたくしの命を取るなど容易かったはず」
「ああ、30年前の‥うん、そう言われれば確かにそうだな‥」
『今はそんな事よりプロポーズの返事を』と言いたい皇帝だが、ソルから逆らってはいけないオーラが大量に出ていて、言いたい事をグッと飲み込む。
「…あの黒い靄何かしら?
――見えて?
テネブラエ公を覆っているあの禍々しい黒い靄」
「いや…俺には何も見えないが…」
「わたくしもさっきまでは見えていなかったのです…
テネブラエ公への怒りで目が濁っていたのかしら…とにかく、一度見えてしまうと凄く気になります‥あぁほら、濃くなったり薄くなったり…そう言えばテネブラエ公は何と言うか…変でした。
強気な時と不安げな時では別人の様な話し方で――別人?
もしかして…」
「‥ソル姫?」
「‥参りましょう!
本人に聞けば済む事です」
そう言って駆け出すソルを皇帝も追いかける。
『本人』とはテネブラエ公の事だろうと思った皇帝だが、ソルはテネブラエ公を追い抜く。
――と思ったら戻ってテネブラエ公の前に立ったので、やはりそうかと思っていると、ソルはテネブラエ公が口に銜えている首飾りの垂れ下がった端を持ち――
「離して下さい」
「‥ッ?」
テネブラエ公は『取り返されるのだ』とショックを受けた表情をしたが、諦めた様にソロリと口を外す。
――ハッ――
皇帝も、側近達と近衛騎士達も、誰よりもテネブラエ公が息を呑む。
「‥な‥な‥??」
「‥ソル姫、何を?」
皇帝とテネブラエ公が同時に戸惑いの声を上げた理由は、ソルが首飾りをテネブラエ公の首に丁寧に掛けてやったからだ。
「大切にして下さる御積もりなのでしょう?
わたくしはついさっきまで記憶を失くしていて…30年前ドレスの裏ポケットに入っていたこの首飾りが何なのか、この汚れが何なのか分からなかったのですが、どうしても拭き取る気になれなくてそのままにしていたのです。
…血液を拭きとった方がいいのなら後でわたくしが致しますわ」
「‥いやいい!‥拭き取られては困る!‥息子の血が‥こ、このままがいい‥」
焦るテネブラエ公にソルは手をかざす。
柔らかな光がテネブラエ公を包むと――
「‥!?‥痛みが消えた!?‥血も‥止まった‥」
腕を落とされ流血し続けていた傷が塞がり痛み・腫れ・変色まで消えている。
「時間はかかるでしょうが元通りになりますよ…ご自身の…古代人の力で。
テネブラエ公は古代人の血が濃い様です。
――当然ですわね、ルーナエ陛下の御父上なのですから」
「‥なッ!?‥わ、私には何の力も無いぞ」
「ソル姫、何をしている?‥何を言っている?――今のは何だ!?
まさか魔法――か?」
「…ルーナエ陛下やテネブラエ公も持っている力です」
しばらくシン‥‥とした後、
俺は持っていない!
私は持っていない!
父と子が練習でもしたかのように声を揃える。
その声は感心するほど似ている。
くすっ‥
ソルが笑うので、父子はハッとして互いに顔を見合わせ、赤面して目を逸らす。
――え?いや、違う!
今、この場は最悪の空気――何故なら現皇帝に対して謀反を起こしたのが父である前皇帝という最悪の事態で前皇帝は腕をぶった切られていて――
なのに何でほんわかしているんだ!?
――と混乱するのは、元々、他人よりも他人の様な二人の関係を知っている側近達と近衛騎士達である…
「君を殺そうという者は捕えた――これで君の『どうしても無視出来ない大きな問題』は解決だ」
「腑に落ちません」
「なのでプロポーズの返事を‥え?」
「テネブラエ公はわたくしの命を奪いたかっただけのはず――なのに何故誘拐だったのです?――誘拐団ではなく刺客を送れば、毒でフラフラだったわたくしの命を取るなど容易かったはず」
「ああ、30年前の‥うん、そう言われれば確かにそうだな‥」
『今はそんな事よりプロポーズの返事を』と言いたい皇帝だが、ソルから逆らってはいけないオーラが大量に出ていて、言いたい事をグッと飲み込む。
「…あの黒い靄何かしら?
――見えて?
テネブラエ公を覆っているあの禍々しい黒い靄」
「いや…俺には何も見えないが…」
「わたくしもさっきまでは見えていなかったのです…
テネブラエ公への怒りで目が濁っていたのかしら…とにかく、一度見えてしまうと凄く気になります‥あぁほら、濃くなったり薄くなったり…そう言えばテネブラエ公は何と言うか…変でした。
強気な時と不安げな時では別人の様な話し方で――別人?
もしかして…」
「‥ソル姫?」
「‥参りましょう!
本人に聞けば済む事です」
そう言って駆け出すソルを皇帝も追いかける。
『本人』とはテネブラエ公の事だろうと思った皇帝だが、ソルはテネブラエ公を追い抜く。
――と思ったら戻ってテネブラエ公の前に立ったので、やはりそうかと思っていると、ソルはテネブラエ公が口に銜えている首飾りの垂れ下がった端を持ち――
「離して下さい」
「‥ッ?」
テネブラエ公は『取り返されるのだ』とショックを受けた表情をしたが、諦めた様にソロリと口を外す。
――ハッ――
皇帝も、側近達と近衛騎士達も、誰よりもテネブラエ公が息を呑む。
「‥な‥な‥??」
「‥ソル姫、何を?」
皇帝とテネブラエ公が同時に戸惑いの声を上げた理由は、ソルが首飾りをテネブラエ公の首に丁寧に掛けてやったからだ。
「大切にして下さる御積もりなのでしょう?
わたくしはついさっきまで記憶を失くしていて…30年前ドレスの裏ポケットに入っていたこの首飾りが何なのか、この汚れが何なのか分からなかったのですが、どうしても拭き取る気になれなくてそのままにしていたのです。
…血液を拭きとった方がいいのなら後でわたくしが致しますわ」
「‥いやいい!‥拭き取られては困る!‥息子の血が‥こ、このままがいい‥」
焦るテネブラエ公にソルは手をかざす。
柔らかな光がテネブラエ公を包むと――
「‥!?‥痛みが消えた!?‥血も‥止まった‥」
腕を落とされ流血し続けていた傷が塞がり痛み・腫れ・変色まで消えている。
「時間はかかるでしょうが元通りになりますよ…ご自身の…古代人の力で。
テネブラエ公は古代人の血が濃い様です。
――当然ですわね、ルーナエ陛下の御父上なのですから」
「‥なッ!?‥わ、私には何の力も無いぞ」
「ソル姫、何をしている?‥何を言っている?――今のは何だ!?
まさか魔法――か?」
「…ルーナエ陛下やテネブラエ公も持っている力です」
しばらくシン‥‥とした後、
俺は持っていない!
私は持っていない!
父と子が練習でもしたかのように声を揃える。
その声は感心するほど似ている。
くすっ‥
ソルが笑うので、父子はハッとして互いに顔を見合わせ、赤面して目を逸らす。
――え?いや、違う!
今、この場は最悪の空気――何故なら現皇帝に対して謀反を起こしたのが父である前皇帝という最悪の事態で前皇帝は腕をぶった切られていて――
なのに何でほんわかしているんだ!?
――と混乱するのは、元々、他人よりも他人の様な二人の関係を知っている側近達と近衛騎士達である…
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