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4 戦い
92 テネブラエ公、別れと覚悟
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赤い‥‥全てが‥‥
頭に強い衝撃‥‥
床…に倒れて?‥はッ
そうだ‥テネブラエ公が足を私の頭に振り下ろしたのだ…
スート王はここへ来て自分がテネブラエ公を見誤っていた事に気付く。
見目だけは麗しく威厳に満ちているがその中身は繊細で心の弱い見掛け倒しの男――
ではなかったのか?
「‥父上‥」
「剣が使えないからな…だがこの男は私にやらせてくれ。
アクワ姫、皇后、息子、ジョーカー王…私利私欲の為に尊い命を奪いルーメンの命を狙い続け、ソル姫には口にするのもおぞましい暴力を企てていた――私も操られそれに加担してきたッ」
区別がつかないほどそっくりな声の親子の会話に、スート王は我に返り、我に返った事でパニックになる。
「ッ、ま、待ってくれ!…そうだ…新ジョーカー王国が攻めてくるぞッ!…ヒャハッ、新ジョーカー王に伝えてやったんだ、カード皇帝が新ジョーカー王の命を狙っていると!…そ、そのカード皇帝は宮殿で花嫁探しをするから隙だらけになると…新ジョーカー王が攻めてくる!…のこのこ攻めて来る新ジョーカー王を殺してやるのだ…ヒャハ‥」
「ジョーカー王には親書を送り怪しげな情報に惑わされないようにと注意を促した。
その後、感謝を伝える親書が送られてきた。
まだ会えてはいないがジョーカー王とは良好な関係を築いている」
皇帝の落ち着いた声にスート王は歯ぎしりする。
「クソッ‥そ、そうだ、妃候補の姫を持つ4公国は今君主が不在…留守番の王太子達にも誘いをかけてやった…父を廃し国を獲れと…4公国が力を合わせればカード帝国など倒せると!…も、もうすぐ4公国の跡継ぎ達が連合軍を率いてカード帝国となかなか君主の座を譲らない邪魔な父親を攻め滅ぼしに来‥」
「4公国全ての君主から報告を受けている。
4公国の跡継ぎ達は誘いを受けてすぐに君主である父にその事を話した。
残念だな…誘いに乗る愚か者は一人もいなかったぞ」
再び皇帝の声に自分の企みが全て失敗に終わったことを告げられたスート王はギャアギャアと騒ぎ出す。
「間違ってる!‥私こそが世界の王に相応しいのに!‥おのれ、殺す!‥ジョーカー王もカード皇帝も全員殺してや‥」
〈ガスッ〉
「グブッ‥ウゥ、…」
再びの衝撃の後、話すことが出来なくなったスート王。
もう目も見えない。
何故だ‥
私は侮っていたテネブラエ公に頭を潰されて死ぬのか?
目を伏せる姿…
神々しいと誰からも讃えられたそれはただ自信がなくて目を上げられないだけの情けない男のくせに‥
〈ガスッ〉
『ドゥルケ、そうか、なるほど』
3才児だってもっと疑うところを簡単に騙される愚か者‥
〈ガスッ〉
『私の様な凡人に皇帝など務まるわけがない…』
古代人の力を発現していながら気づきもしない間抜け‥
〈ガスッ〉
私の駒‥
〈ガスッ〉
私が‥唯一‥
〈ガスッ〉
‥心許せた‥友‥
≪裏切ったのはお前だ≫
‥ッ‥
潰れた頭部でもう見ることも聞くことも考えることも出来なくなっていたスート王が最期に感知したのは侮り裏切り続けた親友の声―‥
怒りに満ちたその声に何故か喜びを感じた刹那全てが消えた。
スート王が死んだ。
「――父上、」
「‥ん、うむ」
声を掛けて来た息子に向き直り跪くテネブラエ公。
「私の事はお前がやってくれ」
「‥父上?」
「足を汚す必要はない…剣が使えるだろう」
「父上…俺は知らなかった――父上が騙され操られていた事を…
真実を知った以上、父上を極刑に処する事は出来ません」
「私の立場で騙され操られた事自体が大罪だ――皇太子時代から皇帝時代、そして今回またも――」
「わたくしは『許します』と申し上げました…それは母アクワ妃と父ジョーカー王も許したことを意味します。
大叔父は誰かの助けがなくてもいずれ戦を仕掛けて来たでしょう――時期が少し早まっただけの事です」
「‥ソル姫‥」
「‥ソル姫‥だが、私は自分が許せない」
「わたくしは、テネブラエ公が母と兄の形見の首飾りを大切そうに銜えている姿を見た瞬間、許さずにはいられませんでした――それに…お二人には視えていないのかしら?」
「「え?‥何が?」」
「ステレオすぎる…」
「「…え?」」
「あ、いえ…ほほ…
母と兄が来てますの…
二人ともテネブラエ公が心配であちらの世界から出張して来ている様です」
「何ッ‥アクワ姫と息子が‥」
「俺には何も視えないが‥」
「そうなのですね‥結構ハッキリ視えていますけど‥」
「…皇后は?」
「え?‥あ、来られましたわ…で、でも本当に皇后陛下かしら…わたくしの知っている皇后陛下ではないわ…腕組みして口を尖らせて左足の踵を固定してつま先を上下させてカツカツカツカツ音を立てていらっしゃいますけど…」
「母上だ…間違いない」
「ああ懐かしい…皇后にはよくそうやって叱られたのだ…『しっかりしろ』と…
‥あ、む、息子に謝りたい…気付いてもやれずに悲しい思いをさせてしまった…あの頃は何故か何も目に入らなかった――ああ…操られていたのだな…3人皆に謝りたい…私にもその姿が視えればいいのに…」
「父上…姿が視えなくても母上には速攻謝った方が良いかと‥」
「‥はッ!‥そ、そうだな!‥いや、皆に、皆に謝る!‥すまなかった!」
不思議でどこかほのぼのとした会話を繰り広げるソル、皇帝、テネブラエ公だが。
「‥た、大変ですッ!‥ジョーカー王がッ‥」
男が慌てた様子で駈け込んで来てその会話は中断されることとなる。
頭に強い衝撃‥‥
床…に倒れて?‥はッ
そうだ‥テネブラエ公が足を私の頭に振り下ろしたのだ…
スート王はここへ来て自分がテネブラエ公を見誤っていた事に気付く。
見目だけは麗しく威厳に満ちているがその中身は繊細で心の弱い見掛け倒しの男――
ではなかったのか?
「‥父上‥」
「剣が使えないからな…だがこの男は私にやらせてくれ。
アクワ姫、皇后、息子、ジョーカー王…私利私欲の為に尊い命を奪いルーメンの命を狙い続け、ソル姫には口にするのもおぞましい暴力を企てていた――私も操られそれに加担してきたッ」
区別がつかないほどそっくりな声の親子の会話に、スート王は我に返り、我に返った事でパニックになる。
「ッ、ま、待ってくれ!…そうだ…新ジョーカー王国が攻めてくるぞッ!…ヒャハッ、新ジョーカー王に伝えてやったんだ、カード皇帝が新ジョーカー王の命を狙っていると!…そ、そのカード皇帝は宮殿で花嫁探しをするから隙だらけになると…新ジョーカー王が攻めてくる!…のこのこ攻めて来る新ジョーカー王を殺してやるのだ…ヒャハ‥」
「ジョーカー王には親書を送り怪しげな情報に惑わされないようにと注意を促した。
その後、感謝を伝える親書が送られてきた。
まだ会えてはいないがジョーカー王とは良好な関係を築いている」
皇帝の落ち着いた声にスート王は歯ぎしりする。
「クソッ‥そ、そうだ、妃候補の姫を持つ4公国は今君主が不在…留守番の王太子達にも誘いをかけてやった…父を廃し国を獲れと…4公国が力を合わせればカード帝国など倒せると!…も、もうすぐ4公国の跡継ぎ達が連合軍を率いてカード帝国となかなか君主の座を譲らない邪魔な父親を攻め滅ぼしに来‥」
「4公国全ての君主から報告を受けている。
4公国の跡継ぎ達は誘いを受けてすぐに君主である父にその事を話した。
残念だな…誘いに乗る愚か者は一人もいなかったぞ」
再び皇帝の声に自分の企みが全て失敗に終わったことを告げられたスート王はギャアギャアと騒ぎ出す。
「間違ってる!‥私こそが世界の王に相応しいのに!‥おのれ、殺す!‥ジョーカー王もカード皇帝も全員殺してや‥」
〈ガスッ〉
「グブッ‥ウゥ、…」
再びの衝撃の後、話すことが出来なくなったスート王。
もう目も見えない。
何故だ‥
私は侮っていたテネブラエ公に頭を潰されて死ぬのか?
目を伏せる姿…
神々しいと誰からも讃えられたそれはただ自信がなくて目を上げられないだけの情けない男のくせに‥
〈ガスッ〉
『ドゥルケ、そうか、なるほど』
3才児だってもっと疑うところを簡単に騙される愚か者‥
〈ガスッ〉
『私の様な凡人に皇帝など務まるわけがない…』
古代人の力を発現していながら気づきもしない間抜け‥
〈ガスッ〉
私の駒‥
〈ガスッ〉
私が‥唯一‥
〈ガスッ〉
‥心許せた‥友‥
≪裏切ったのはお前だ≫
‥ッ‥
潰れた頭部でもう見ることも聞くことも考えることも出来なくなっていたスート王が最期に感知したのは侮り裏切り続けた親友の声―‥
怒りに満ちたその声に何故か喜びを感じた刹那全てが消えた。
スート王が死んだ。
「――父上、」
「‥ん、うむ」
声を掛けて来た息子に向き直り跪くテネブラエ公。
「私の事はお前がやってくれ」
「‥父上?」
「足を汚す必要はない…剣が使えるだろう」
「父上…俺は知らなかった――父上が騙され操られていた事を…
真実を知った以上、父上を極刑に処する事は出来ません」
「私の立場で騙され操られた事自体が大罪だ――皇太子時代から皇帝時代、そして今回またも――」
「わたくしは『許します』と申し上げました…それは母アクワ妃と父ジョーカー王も許したことを意味します。
大叔父は誰かの助けがなくてもいずれ戦を仕掛けて来たでしょう――時期が少し早まっただけの事です」
「‥ソル姫‥」
「‥ソル姫‥だが、私は自分が許せない」
「わたくしは、テネブラエ公が母と兄の形見の首飾りを大切そうに銜えている姿を見た瞬間、許さずにはいられませんでした――それに…お二人には視えていないのかしら?」
「「え?‥何が?」」
「ステレオすぎる…」
「「…え?」」
「あ、いえ…ほほ…
母と兄が来てますの…
二人ともテネブラエ公が心配であちらの世界から出張して来ている様です」
「何ッ‥アクワ姫と息子が‥」
「俺には何も視えないが‥」
「そうなのですね‥結構ハッキリ視えていますけど‥」
「…皇后は?」
「え?‥あ、来られましたわ…で、でも本当に皇后陛下かしら…わたくしの知っている皇后陛下ではないわ…腕組みして口を尖らせて左足の踵を固定してつま先を上下させてカツカツカツカツ音を立てていらっしゃいますけど…」
「母上だ…間違いない」
「ああ懐かしい…皇后にはよくそうやって叱られたのだ…『しっかりしろ』と…
‥あ、む、息子に謝りたい…気付いてもやれずに悲しい思いをさせてしまった…あの頃は何故か何も目に入らなかった――ああ…操られていたのだな…3人皆に謝りたい…私にもその姿が視えればいいのに…」
「父上…姿が視えなくても母上には速攻謝った方が良いかと‥」
「‥はッ!‥そ、そうだな!‥いや、皆に、皆に謝る!‥すまなかった!」
不思議でどこかほのぼのとした会話を繰り広げるソル、皇帝、テネブラエ公だが。
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男が慌てた様子で駈け込んで来てその会話は中断されることとなる。
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