どうするべきかは心の叫び(前世の後悔)が教えてくれる

ハートリオ

文字の大きさ
1 / 16

01

「‥ハッ!
――ああ、夢か…」

ボウ侯爵家の庭園のガゼボで目を瞬き。

こんな所で居眠りなんて――
張り切って早起きし過ぎた自分をちょっと嗤う。

それにしても何て夢だ…
縁起でもない…

悪夢にまだ心臓がバクバクしている私はチェリー・アー公爵令嬢。
約1ヶ月前リング・ボウ侯爵令息と仮婚約を結んだ。
ボウ侯爵令息には何のトキメキも感じないが結婚とはそんなもの。
『恋』なんて現実世界とは別のお話の中だけの夢だもの。

【本当にそれで後悔しない?】
(!?)

頭の中で声がした?
けど、遠すぎて聞こえない…
何だろう?
何か大切な事言われた様な…

時折こんな事がある。
私が何か間違っていて、それを誰かが指摘してくれてるみたいな――
『勘』というやつなのかな?
勘なんて曖昧なものに振り回されるなんて愚かよね…

ティーカップに落としていた視線を宙に浮かせて。
瞳には庭園の花々ではなく心が映る。

実は…
心トキメク人はいたりする。

時々見掛ける騎士…
小さい頃1度会った事があって。
その時も今も
見掛ける度に胸がときめいて

あんな人と結婚出来たら…

――バカだわ!
私は公爵令嬢!
結婚は家同士の――
ビジネスみたいなもの!

第一あんなにカッコイイのだからもう結婚しているか婚約者がいるに決まってる!
公爵令嬢でありながらやっと舞い込んで来た縁談に飛びつかなきゃならない残念令嬢なんて近付く事も出来ないわ…

そう、だからいつも遠くから垣間見るだけ。
彼は私に見られているなんて気づいてもいないでしょう。
というか私の存在自体知らないわよね。

‥バカな夢を見ていないで現実を見ましょう。
現実は…決して悪くないわよ。

そうよ喜ばなきゃ!
やっと仮婚約が整って幸せいっぱい状態なんだから!
残念令嬢から普通令嬢に昇格したんだから!

と、無理矢理浮かれようとする私。
けどなぁ…
どうしても心が浮き立たないのよね。

焦ってるせいかな。
スタートが遅い分頑張って早く仮婚約者と良好な関係を築かなきゃと。

なので仮婚約後、毎週日曜日に手作りお菓子持参で彼を訪問している。
今日は5回目の訪問。

だが仮婚約者ボウ侯爵令息は友人達と剣の練習中という事で?
ボウ侯爵家の庭園のガゼボで待たされ居眠りする事に。

自分では既に習慣化していると認識している週末の『愛のお菓子配達人』
先触れもちゃんと出している。
それなのに待たせるか…

こっちは早起きして菓子を焼き上げ選別し箱詰めしラッピングして。
その後目一杯お洒落して…
この為には昨日の夜から準備している訳で。

勝手にやっている事とは言え
こちらの努力に対してのリターンが『待たせる』か…

ふぅ…

どうやら良好な関係を築こうと焦っているのは自分だけらしい…

空のティーカップを見るのも飽きた。
縁起でもない夢のせいでもう眠気もない。
…なにこの時間?
公爵令嬢として生きて来た私は幼い頃から時間を無駄にする習慣が無いのだが…

暇に疲れ果てた私にふと悪戯っ気が起こる。

アレをやってみようか。

練習場は庭園からちょっと歩けば行ける(侯爵邸の見取り図は既に頭にインプット済み)
今日のドレスは若草色を中心に濃淡のあるグリーン系で意図せず迷彩効果バッチリ。
庭園の外周の木々も目隠しになって気付かれずに近付けるはず。

そう。
私はこっそり練習場に行き…
サプラ~イズ!
と突然現れ驚かせるアレをしようと目論んだのである。

心にモヤモヤはあるものの。
せっかくの仮婚約期間、楽しまなければ♪

そして上手い事近付けば既に練習は終わっていた様で?
彼は6人程の友人達と冷茶を飲みながら談笑している…

…ん?
私の事話してる!?

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

【完結】帳簿係の地味令嬢、商会の不正を見抜いて王宮に見出されました。

夏灯みかん
恋愛
王都の商工会議所で働く、地味な帳簿係エミリー。 真面目に記録をつけることだけが取り柄の彼女は、同僚から軽く扱われ、雑用を押しつけられる日々を送っていた。 そんなある日――エミリーは、孤児院への配給物資の記録に、わずかな“ズレ”があることに気づく。 数量は合っている。 だが、なぜか中身の重量だけが減っている。 違和感を覚えたエミリーは、自ら倉庫へ足を運び、現物を確認する。 そこで見つけたのは、帳簿では見えない“静かな不正”だった。 しかしその矢先――不正の責任を押しつけられ、職場から追い出されそうになってしまう。 それでもエミリーは諦めない。ただ一つ、自分が積み上げてきた“記録”を信じて。 「では、正式な監査をお願いいたします」 やがてその記録は、王宮の政務監査官リオンの目に留まり―― 隠されていた不正はすべて暴かれる。 そして、彼女を軽んじていた者たちは、その代償を支払うことになる。 これは、地味で目立たなかった一人の帳簿係が、 “正しく記録した”ことで不正を暴き、王宮に見出されるまでの物語。

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

必要とされなくても、私はここにいます

あう
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスのもとへ嫁ぐことになったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、理想の妻になろうとも、誰かの上に立とうともしなかった。 口出ししない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 ただ静かに、そこにいるだけ。 そんな彼女の在り方は、少しずつ屋敷の空気を変えていく。 張りつめていた人々の距離はやわらぎ、日々の営みは穏やかに整いはじめる。 何かを勝ち取る物語ではない。 誰かを打ち負かす物語でもない。 それでも確かに、彼女がいることで守られていくものがある。 これは、 声高に愛を叫ばなくても伝わる想いと、 何も奪わないからこそ育っていく信頼を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

後妻の条件を出したら……

しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。 格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。 だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。 しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。