2 / 16
02
仮婚約者の友人と思しき声に思わず聞き耳を立ててしまう私。
「‥にしても羨ましいよ。国1番の美女と仮婚約出来るなんて!」
「公爵令嬢だしな!家柄、ルックス…全て最高の完璧令嬢をゲットするなんてお前は国1番の幸せ者だよ!」
ええッ!?私ってそんなに評価高いの?
て‥照れるけどメチャメチャ嬉しい!
でも…じゃあ何でずっと縁談話が無かったの?
「それにしても早業だよな」
「『解禁』になった途端動くなんてな」
「皆が『様子見』してた時にサッと婚約を申し込んだんだろ?」
「勇気の勝利だよな」
『解禁』?
何の事だろう?
後で聞いてみよう…
それより!
彼も仮婚約者が褒められたらさぞ誇らしいよね!
だが私の耳に意外なトーンの彼の声。
「…ああ…ん、まぁ…」
……何だ?
テンション低いな?
友人達もそう思った様で。
「何だよ?お前、嬉しくないのか?」
「いや、まぁ…
仮婚約を申し込んだのは私ではなく親だし。
私に相談なく勝手にね…
公爵令嬢とも仮婚約して初めて話したからね…」
――――――そりゃあ
コッチもそんなもんだけど。
だけどわざわざ言う?
『自分はこの仮婚約を望んでいない』と言わんばかり…
「……何だ?
もしかしてあの令嬢、何かあるのか?
…性格か?
実は性格悪いとか?」
――まぁあの言い方じゃそう勘繰るよな…
ほら、早く否定してくれ!
ところが彼。
「そういう訳じゃ‥
――まぁ、外からは見えない事もあるからね」
――はぁ!?
やんわり肯定したな!?
「…美しい女性だ…とは思ってる…」
おぉい!?
俯いて何かに耐えている風に顔を歪める理由は何だ!?
丁度そこへボウ侯爵家の執事が現れて。
「先程もお知らせしましたがアー公爵令嬢がガゼボでお待ちです。
もう随分お待ちいただいていますので出来るだけ早くガゼボにお向かい下さい」
「…はぁぁ…」
溜息!?
今特大の溜息つきやがった!?
「…だ、大丈夫か?」
「…あぁいや…はぁぁ…仮婚約してから毎週末来るんだけどさ…」
「…何か問題でもあるのか?」
「いやそういう訳じゃないんだけど…
何かお菓子を持ってくるんだよ…毎回」
「お菓子…俺なら嬉しいけどな」
「だよな。お菓子持って訪ねて来るなんて可愛いじゃないか」
だよなぁ!?
普通そうだよな!?
友人達、意見が合ったな!
「いやッ!私は甘い物が好きじゃないんだ!それなのに『手作りです』って言われたら食べない訳にいかないだろ?ほら、公爵令嬢だからプライドも高いだろうしさ、好きでもない菓子を美味そうに食べて大絶賛しないといけない辛さっていうかさ!重いんだよね、色々とさ!押しつけがましいっていうかさ!」
何なんだ?
さっきまでボソボソ声だったのに友人達の意見がこっち寄りになった途端随分と声張るじゃん?
言葉重ねるじゃん?
辛いアピールするじゃん?
『男のくせにって言われそうだから内緒なんですが甘い物に目が無いんです』
『すごく美味しい!あなたの作るお菓子は新しいのにどこか懐かしい…こんなに美味しいお菓子が食べられるなんて私は世界イチ幸せな男です…!』
とか言ってたの、全部嘘かい!?
グシャッ
…あ。
思わず手に持っていたお菓子の箱を潰してしまった。
クッキーは割れた。
――私は帰ろう。
友人達の同情が戻った奴はまたボソボソ声で不幸匂わせを始める。
もう聞いてられん。
ガゼボに戻ると先程彼に急ぐように伝えていた執事がキョロキョロしていて。
練習場方面から歩いて来る私を見てギョッとした顔をする。
あぁ、ハハ‥
もしかしなくても私、鬼みたいな顔してますかね?
「‥にしても羨ましいよ。国1番の美女と仮婚約出来るなんて!」
「公爵令嬢だしな!家柄、ルックス…全て最高の完璧令嬢をゲットするなんてお前は国1番の幸せ者だよ!」
ええッ!?私ってそんなに評価高いの?
て‥照れるけどメチャメチャ嬉しい!
でも…じゃあ何でずっと縁談話が無かったの?
「それにしても早業だよな」
「『解禁』になった途端動くなんてな」
「皆が『様子見』してた時にサッと婚約を申し込んだんだろ?」
「勇気の勝利だよな」
『解禁』?
何の事だろう?
後で聞いてみよう…
それより!
彼も仮婚約者が褒められたらさぞ誇らしいよね!
だが私の耳に意外なトーンの彼の声。
「…ああ…ん、まぁ…」
……何だ?
テンション低いな?
友人達もそう思った様で。
「何だよ?お前、嬉しくないのか?」
「いや、まぁ…
仮婚約を申し込んだのは私ではなく親だし。
私に相談なく勝手にね…
公爵令嬢とも仮婚約して初めて話したからね…」
――――――そりゃあ
コッチもそんなもんだけど。
だけどわざわざ言う?
『自分はこの仮婚約を望んでいない』と言わんばかり…
「……何だ?
もしかしてあの令嬢、何かあるのか?
…性格か?
実は性格悪いとか?」
――まぁあの言い方じゃそう勘繰るよな…
ほら、早く否定してくれ!
ところが彼。
「そういう訳じゃ‥
――まぁ、外からは見えない事もあるからね」
――はぁ!?
やんわり肯定したな!?
「…美しい女性だ…とは思ってる…」
おぉい!?
俯いて何かに耐えている風に顔を歪める理由は何だ!?
丁度そこへボウ侯爵家の執事が現れて。
「先程もお知らせしましたがアー公爵令嬢がガゼボでお待ちです。
もう随分お待ちいただいていますので出来るだけ早くガゼボにお向かい下さい」
「…はぁぁ…」
溜息!?
今特大の溜息つきやがった!?
「…だ、大丈夫か?」
「…あぁいや…はぁぁ…仮婚約してから毎週末来るんだけどさ…」
「…何か問題でもあるのか?」
「いやそういう訳じゃないんだけど…
何かお菓子を持ってくるんだよ…毎回」
「お菓子…俺なら嬉しいけどな」
「だよな。お菓子持って訪ねて来るなんて可愛いじゃないか」
だよなぁ!?
普通そうだよな!?
友人達、意見が合ったな!
「いやッ!私は甘い物が好きじゃないんだ!それなのに『手作りです』って言われたら食べない訳にいかないだろ?ほら、公爵令嬢だからプライドも高いだろうしさ、好きでもない菓子を美味そうに食べて大絶賛しないといけない辛さっていうかさ!重いんだよね、色々とさ!押しつけがましいっていうかさ!」
何なんだ?
さっきまでボソボソ声だったのに友人達の意見がこっち寄りになった途端随分と声張るじゃん?
言葉重ねるじゃん?
辛いアピールするじゃん?
『男のくせにって言われそうだから内緒なんですが甘い物に目が無いんです』
『すごく美味しい!あなたの作るお菓子は新しいのにどこか懐かしい…こんなに美味しいお菓子が食べられるなんて私は世界イチ幸せな男です…!』
とか言ってたの、全部嘘かい!?
グシャッ
…あ。
思わず手に持っていたお菓子の箱を潰してしまった。
クッキーは割れた。
――私は帰ろう。
友人達の同情が戻った奴はまたボソボソ声で不幸匂わせを始める。
もう聞いてられん。
ガゼボに戻ると先程彼に急ぐように伝えていた執事がキョロキョロしていて。
練習場方面から歩いて来る私を見てギョッとした顔をする。
あぁ、ハハ‥
もしかしなくても私、鬼みたいな顔してますかね?
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
真実の愛の裏側
藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。
男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――?
※ 他サイトにも投稿しています。
【完結】帳簿係の地味令嬢、商会の不正を見抜いて王宮に見出されました。
夏灯みかん
恋愛
王都の商工会議所で働く、地味な帳簿係エミリー。
真面目に記録をつけることだけが取り柄の彼女は、同僚から軽く扱われ、雑用を押しつけられる日々を送っていた。
そんなある日――エミリーは、孤児院への配給物資の記録に、わずかな“ズレ”があることに気づく。
数量は合っている。
だが、なぜか中身の重量だけが減っている。
違和感を覚えたエミリーは、自ら倉庫へ足を運び、現物を確認する。
そこで見つけたのは、帳簿では見えない“静かな不正”だった。
しかしその矢先――不正の責任を押しつけられ、職場から追い出されそうになってしまう。
それでもエミリーは諦めない。ただ一つ、自分が積み上げてきた“記録”を信じて。
「では、正式な監査をお願いいたします」
やがてその記録は、王宮の政務監査官リオンの目に留まり――
隠されていた不正はすべて暴かれる。
そして、彼女を軽んじていた者たちは、その代償を支払うことになる。
これは、地味で目立たなかった一人の帳簿係が、
“正しく記録した”ことで不正を暴き、王宮に見出されるまでの物語。
必要とされなくても、私はここにいます
あう
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスのもとへ嫁ぐことになったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、理想の妻になろうとも、誰かの上に立とうともしなかった。
口出ししない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
ただ静かに、そこにいるだけ。
そんな彼女の在り方は、少しずつ屋敷の空気を変えていく。
張りつめていた人々の距離はやわらぎ、日々の営みは穏やかに整いはじめる。
何かを勝ち取る物語ではない。
誰かを打ち負かす物語でもない。
それでも確かに、彼女がいることで守られていくものがある。
これは、
声高に愛を叫ばなくても伝わる想いと、
何も奪わないからこそ育っていく信頼を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
後妻の条件を出したら……
しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。
格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。
だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。
しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。