束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

デネブ・プロキオン

04 問題ない事ないだろう

「何から何までありがとうございます。
では、お言葉に甘えて、お湯を使わせて頂きます。
あ、一人で大丈夫です」


少年がシャツを脱ぐ時見えてしまった。

背中側も同じように傷だらけだった。

きっとズボンの中‥‥下半身もそうなんだろう。


‥‥ダメだッ

震えが止まらない！

これは‥‥怒りだ！

体の芯から怒りの炎が燃え狂っているような‥‥


クソッ！　誰があんな酷い事を！？

まだ幼い少年‥‥‥子供ではないか！

執拗で陰湿な暴力を続けた奴が許せない！！


「あの、とてもさっぱりしました。
ありがとうございます」


少年が風呂から出て来た。

青白かった顔色も随分良くなった様だ。


着替えは何がいいか考え、一番肌に優しいバスローブを置いておいた。

少年はそのバスローブを首下の肌‥‥傷が見えない様キッチリと着込んでいる。

着衣の際に傷を隠すよう習慣づいているのだろう。


‥‥本来、もっとゆったりと着るものなのにな‥‥



「ああ。　それは良かった。
体調はどうだ？
とにかく、横になった方がいい。
船内で快適とは言えないが‥‥」


「ああ、いえ、大丈夫です。
体調に特に問題はありません。
治癒魔法をかけて頂き、ありがとうございました。」


「（特に問題ない事ないだろう‥‥体の傷痕、大問題だろう！）
‥‥じゃあ、何か飲み物でも‥‥
あ‥‥ごめん、ミルクとかジュースとかあれば良かったんだが‥‥
酒しかない‥‥
さ、白湯でいいか？」


自分が飲まない物は船に積んでいない。

まさかこんな事が起こるなんてな‥‥


「はい、白湯がいいです。
お気遣い、ありがとうございます」


「‥‥あ、その前に髪を乾かそうか。
私はちゃんと勉強した事が無いので自己流で下手なんだが‥‥」


そう言い訳をしながら風魔法で少年の長い髪を乾かし始める。

‥‥本当に、こんな事ならちゃんと魔法の勉強をしておけば良かった。

まぁ、私に教えてくれようという人を探すのは困難であるが。

特に魔法がらみでは魔力暴走を恐れて誰も私に近付かないから。


少年の髪は白銀髪で所々色の違う髪が筋の様になっている。

しかも色は一色ではなく水色、黄色、オレンジ、エメラルド、紫、薄赤色‥‥‥

艶めく白銀髪にそれらは美しく映える。

瞳同様、これ程美しく不思議な髪は初めて見る。

その美しい髪が腰のあたりまで伸びている。


「‥‥はッ‥‥」