束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

第二章

09 メイド達の狂乱 その2

これまで、この西の屋敷は静かで平穏なだけの職場だった。

メイド達の仕事は屋敷の環境維持の為の掃除などであった。

ところが、ある日突然旦那様が結婚した事から状況が一変。

なぜか旦那様だけが西の屋敷に居住するようになったのだ。



それまでマトモに旦那様の姿を見た事も無かったメイド達は震撼した。

あまりにもお美しく、神々しい程ご立派なお姿‥‥！

思わずひれ伏し、祈りを捧げたくなる様な尊さ‥‥！

これ程の美丈夫が、私達の旦那様だったなんて‥‥！

頬を伝う涙‥‥生まれて初めて知る”嬉し泣き”‥‥！


あぁッ、眼福、眼福ゥ～～～！！



思い起こせば去年の今頃、王太子殿下の女官選抜試験に落ちた時は落ち込んだわ。

優秀で見目麗しい令嬢の当たり年と言われ、それなら来年再挑戦しようと決意。

それまでのツナギとしてこちらでメイドをしていたけれど‥‥


願書は取り下げるわ！

今年度の王太子殿下の女官選抜試験なんて、もうどうだっていいの！

王太子殿下、普通にイケメンなだけで特に何のオーラも無かったし！

私はもう一生こちらで、エリダヌス伯爵様のお側でお仕えするわ！

女性ホルモンにも影響あるのかしら、髪もお肌もツヤツヤなのよ！


エリダヌス伯爵家の西の屋敷は、かつてない程に活気付いている‥‥



そして今夜。


主のあまりの美丈夫っぷりにいまだ慣れない彼女達は、更なる美に猛襲される。