束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

第二章

21 ネムイ？

「‥‥エリダヌス卿ッ！」


デネブ様が切迫した顔をシリウス様に向けると！



「分かっている！
おい！
誰かいるか！？」


デネブ様にしっかりと頷き、シリウス様がドアに向かって声を張り上げます！

ドアがスッと開いて、従者が現れます！

あ、この人、β王国に付いて来ていた人だ！


「失礼いたします。
御用件を伺います」


「出来るだけ早く食堂に食事の準備を頼む！
何と、私達三人とも空腹状態に陥っている！
かつて経験した事の無い、未体験ゾーンだ！
料理長に量を多めに用意する様伝えてくれ！
だが、私達三人共一刻の猶予も無い状態だ！
ハッキリ言って、かなり切羽詰まっている！
早く、多く‥難しいとは思うが、頼んだぞ！」


「え‥‥あ、ハイッ！
すぐに用意させます！」


従者さん、何にポカンとしたんだろう‥‥

食事を要求しているとは思えない切迫感？

それともご主人様のまさかの空腹初体験？


両方かな‥‥


お二方は初めて体験する ”空腹状態 ”が辛くも嬉しいみたい。

どこか誇らしげにお腹に手を当て、もう一度鳴らないか待っている様子。


ッ、可愛過ぎるンですけどッ！！


そんなキラキラしているお二方に気になっている事を質問。


「あの、”眠い ”という感覚は知っていますか？
もしかして、それも知らないのでは‥‥？」


「「ネムイ？」」


や・っ・ぱ・り・ッ！

僕の中にフツフツと怒りがこみ上げてきます。


お二方の前世様は、酷いッ！


性欲だけじゃなく、食欲も、睡眠欲も‥‥

そんな根源的な欲望まで奪うなんて‥‥！

僕の前世様が仰った様に、僕を守る為だとしたら‥‥

今すぐ呪いを解いて欲しい！

僕の為にお二方が生物として欠落した状態にいるなんて耐えられないよっ！




‥‥ああそうか、本当なら今頃は呪いは解けていたはずなんだっけ‥‥



「‥‥クッ‥‥」