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07 逃げ場なし
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一般男子高校生の静止画が1点200円、動画は1点600円――
そんな、金をドブに捨てるような行為をする人がいるとは思えない。
「‥‥売れるんですか?」
ユウトは一応聞いてみるが、桧木の返事は予想通り。
「売れない。
今まで一度も目標額に達した事は無い」
(だよね!)
「目標額があるんですか?」
「目標額は4~9月の半年間で30万円。
いいかい、30万円達成出来たら、秋の文化祭でライブを開けるんだ!
素晴らしいだろう?
僕は一年間アイドル部に携わって、不満を持ったんだ。
アイドルと言ったって、アイドルらしい事はほとんどしないんだ。
アイドルの身の安全を守る為に、ファンがアイドルと接触するようなシーンは禁止しているからね。
握手会やファンミーティングなど一切無い。
それじゃ推し甲斐が無いんだよ!
アイドルの身の安全が第一だから仕方ない――では済ませたくないんだ!
もしライブでパフォーマンスを披露できれば、ファンは喜んでくれるはずだ!
僕は最高に嬉しい!
客席から力いっぱいアイドルを応援したい!
だから僕は、何としても30万円かき集めたいんだ!
ユウト君、協力してくれるね!?
さぁ、早速写真を撮るから笑って!」
「――え、
イヤですよ!」
「ユウト君!?」
ヤバいヤバい、
先輩の熱量に圧倒されて乗せられるところだった、とユウトはゾクリとする。
「目標額に達してしまったら、僕がライブ演らなきゃいけないんでしょう?
そんなの絶対ムリ、
お断りです!
30万円なんて目標額、万が一にも達成するはず無いですが、それでも協力は拒否します!
と言うか、アイドル活動、随分曖昧じゃないですか。
僕には色々無理です!
なので暫定アイドル、お断りします!」
一年間笑って手を振ってればいいはずだったのに、写真撮影だの文化祭ライブだの、後から後から出て来る要求に胡散臭さしか感じない。
バカな自分が悪い大人に騙されようとしているとしか思えない、いやきっとそうだ!と、ユウトはアイドルになるのを断る事に決める。
顔を土気色に変えた桧木と微笑みを苦笑に変えた理事長。
「困ったね‥‥
校内アイドルを引き受けてもらえないなら、合格は取り消しとなる」
困ったと言うよりはどこか楽しそうに静かに告げる理事長。
ユウトは何だかそんな予感はしていたものの、それでも声を荒げ質問形の抗議を試みる。
「なッ!?
何故ですかッ!?
さっき合格は手違いじゃないと言ってくれたじゃないですか!」
「ああ‥‥だが‥‥
君は学力検査無しの『特別推薦枠』で合格となったんだ。
『一般入試枠』では合格点に達していないんだ。
君はね‥‥自分の名前さえ書き間違えていたんだよ」
「えッ!!」
15才の少年が高校受験本番で自分の名前を書き間違えるなどあるワケ無い!
――と言いきれないユウトである。
そんな、金をドブに捨てるような行為をする人がいるとは思えない。
「‥‥売れるんですか?」
ユウトは一応聞いてみるが、桧木の返事は予想通り。
「売れない。
今まで一度も目標額に達した事は無い」
(だよね!)
「目標額があるんですか?」
「目標額は4~9月の半年間で30万円。
いいかい、30万円達成出来たら、秋の文化祭でライブを開けるんだ!
素晴らしいだろう?
僕は一年間アイドル部に携わって、不満を持ったんだ。
アイドルと言ったって、アイドルらしい事はほとんどしないんだ。
アイドルの身の安全を守る為に、ファンがアイドルと接触するようなシーンは禁止しているからね。
握手会やファンミーティングなど一切無い。
それじゃ推し甲斐が無いんだよ!
アイドルの身の安全が第一だから仕方ない――では済ませたくないんだ!
もしライブでパフォーマンスを披露できれば、ファンは喜んでくれるはずだ!
僕は最高に嬉しい!
客席から力いっぱいアイドルを応援したい!
だから僕は、何としても30万円かき集めたいんだ!
ユウト君、協力してくれるね!?
さぁ、早速写真を撮るから笑って!」
「――え、
イヤですよ!」
「ユウト君!?」
ヤバいヤバい、
先輩の熱量に圧倒されて乗せられるところだった、とユウトはゾクリとする。
「目標額に達してしまったら、僕がライブ演らなきゃいけないんでしょう?
そんなの絶対ムリ、
お断りです!
30万円なんて目標額、万が一にも達成するはず無いですが、それでも協力は拒否します!
と言うか、アイドル活動、随分曖昧じゃないですか。
僕には色々無理です!
なので暫定アイドル、お断りします!」
一年間笑って手を振ってればいいはずだったのに、写真撮影だの文化祭ライブだの、後から後から出て来る要求に胡散臭さしか感じない。
バカな自分が悪い大人に騙されようとしているとしか思えない、いやきっとそうだ!と、ユウトはアイドルになるのを断る事に決める。
顔を土気色に変えた桧木と微笑みを苦笑に変えた理事長。
「困ったね‥‥
校内アイドルを引き受けてもらえないなら、合格は取り消しとなる」
困ったと言うよりはどこか楽しそうに静かに告げる理事長。
ユウトは何だかそんな予感はしていたものの、それでも声を荒げ質問形の抗議を試みる。
「なッ!?
何故ですかッ!?
さっき合格は手違いじゃないと言ってくれたじゃないですか!」
「ああ‥‥だが‥‥
君は学力検査無しの『特別推薦枠』で合格となったんだ。
『一般入試枠』では合格点に達していないんだ。
君はね‥‥自分の名前さえ書き間違えていたんだよ」
「えッ!!」
15才の少年が高校受験本番で自分の名前を書き間違えるなどあるワケ無い!
――と言いきれないユウトである。
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