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33 イケメン、居酒屋飯にはまる

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『美味い』『美味しい』と次々と居酒屋飯を胃袋に収めて行くイケメン達。

朝から何も食べていなかったユウトは鍋焼きうどんを堪能した。



「ナイトもお昼抜いてるんでしょ?
そんなに食べて胃は大丈夫?」

「全然大丈夫」

「そう…よく噛むんだよ?
ああ、外はもう暗くなってるね」



窓から店の外を見ると、もうすっかり夜だ。

結局、入学式に出られなかったなぁとユウトは心の中で溜息する。

あ、そう言えばとユウトは感動しながら鶏の唐揚げを頬張るナイトに目を向ける。



「そう言えば、今日一日付き合わせちゃったけど大丈夫だった?
ナイトの入学式っていつ?」

「今日」

「‥ッッ!」



ユウトは総毛立つ。

そんなッ!?



「嘘!?
じゃ、僕のせいで出られなかったの!?
あ、ご、ごめん!!
ど、どーしよう、僕‥
ナイトの大切な日を台無しに‥」

「何も台無しになってない。
入学式なんてどうでもいい。
初めて居酒屋に来て美味い物をたくさん食べてる。
入学式にいくよりずっと大切な日になった」

「ナイト…ありがとう
そんな風に言ってくれて心が軽くなるよ」

「ユウト君!
本当に今日は素晴らしい日です!
3年前に来日して以来、いえそれ以前から食事は栄養を取る為だけのものと位置付けて生きて来ましたが、美味しい食事を楽しむ事がこれ程に元気をくれるものだと今日初めて知りました!」

「フィカスさん…ふっ
すっかり大将の料理の虜だね」

「はいっ私は大将の居酒屋飯の虜です!」



「嬉しい事言ってくれるねぇ、
パツキンの兄ちゃん!
焼き鳥行って見るか?
焼き鳥沼は底なし沼…
抜けられなくなる覚悟があるなら、焼いてやるぜ」

「わ、私はッ‥‥」



人生を狂わされるかもしれない決断を前に蒼白になるフィカスに、ユウトが軽い口調で言って来る。



「フィカスさん、いきなり内臓系いくより、普通に胸ネギとかからがお勧めだよ」

「む、胸ネギですか」

「うん、それとつくねは絶対食べて!
絶品だから!
ここのつくねは軟骨入ってないのが嬉しいんだ♪」

「‥あッ…あぁぁッ
もう、食べる事が決定してしまっている!?
私は、底なし沼に囚われるのか――」

「パツキンの兄ちゃん
おでんはどうよ?
味の滲みた大根、
コンニャク、がんも
そしてキング・オブ・おでんである玉子!
――の前に、フワッフワのはんぺん!
こっちの沼も底なしだぞ?」

「あぁあぁあぁ~~ッ
全部ッ頂きますッ
私は居酒屋飯の沼に沈みますッッ」



恍惚の表情で叫ぶフィカスさん。


あれ?フィカスさん、お酒飲んでたっけ?と思うユウトであった。
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