掟に縛られたブキミ令嬢ですが3大国宝イケメンを翻弄してます

ハートリオ

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01 掟に縛られる少女

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ここはティスリー王立貴族女学園。
通称『王貴女』。

ティスリー王都の中心地にある優秀な貴族令嬢が通う女学園である。

王貴女は3年制で貴族令嬢なら試験にパスすれば何才から通ってもいい。

15才入学、18才卒業が普通だがルミエは13才で入学して現在16才。

今はお昼休みの時間で。

この時間をやり過ごす為にルミエは人気のない場所――王貴女名物超ロング渡り廊下に出て来た。

校舎と『祈りの塔』の間に広がる庭園。

渡り廊下はその庭園を突っ切り校舎と『祈りの塔』を結んでいる。

校舎から渡り廊下へ出てすぐの所には掲示板が設置されていて。

1週間前に行われた実力テストの結果が貼り出されている。

卒業間近の3年生であるルミエにとっては最後の実力テストであった。

その成績は――

「…はぁ…」

載っていない。

成績を貼り出されるのは上位30名まで。

優秀な生徒を褒め称える為に貼り出されるのだ。

ルミエはこの3年間、1度も貼り出された事が無い。

しかし――

(100点満点5教科で最高得点が357点か…今回は問題が難し過ぎたって先生達も仰ってたからそんなものなのだろうけど…実は私、全問分かってたのよね…)

それが溜息の理由。

実はルミエは1年生から3年生までの実力テスト、ちゃんと答えていれば前代未聞の完全満点成績を残せていたのだ。

では何故そうしなかったかと言えば『母の掟』に従ったからだ。

ルミエが遵守する母の掟、それは――


『ルミエ、よく聞くのだ』
カーンッ(謎の効果音)

ルミエの耳に今ここに居るかの様に母の声が聞こえて来る。

『勉強にしろ運動にしろ能力を隠しなさい。他人より秀でるという事はとても危険な事。努力の末身に付けた能力であっても他人は狡いと言って嫉妬する。平穏に暮らす為には、目立たないのが1番。大勢の中に紛れて存在を消せば理不尽な攻撃に晒される危険もグッと減る…』

ルミエが無邪気に誰かからの嫉妬を買ってしまわない様にと繰り返された母の掟。

《平凡が1番~~誰にも嫉妬されない生き方を~~》

ルミエを理不尽な嫉妬から守りたい、その一心で繰り返さずにいられなかった母の愛。


その掟に従ってテストの答案用紙が6割埋まった時点でルミエはペンを置きテスト終了として来た。

解答が分かっているのに敢えて書かないというのは存外モヤモヤしたがルミエは3年間掟を守り通した。

母の掟はルミエを思ってのこと。
母の愛そのものだから。

母の掟を守り通したお陰で成績面で大衆に埋もれる事が出来たのだから良かったのだ…シャカリキに頑張って一時注目されてそれが何になるだろう?

注目して来る目が好意的とは限らないのだ。

(だけど詰まらなかったのは間違いない…仕方ないと分かっているけど…ハッ!)

人声がする!
しかもこの声は――

ルミエは『しまった』と思い体を固くする。

いや、自然に固くなってしまうのだ。

「…ええそれでね、王太子殿下ったら…あら…」

間違いなく『世界は自分の為にある』と思っているだろう声の主は…
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