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06 失礼兄妹
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カッチーーーン!(ッ、やっぱり来た!)
母の掟≪男子完全禁制≫により男と関わってはならないルミエ。
子供の頃はのどかな田舎の領地に住んでいたし活発だった。
母の目を掻い潜っては男の子達と遊んでいたが、やがてそれは無くなり、8才の頃王都に住まいを移してからは男子と関わる事は一切無くなった。
ルミエも避けるし、ルミエが避けるまでもなく田舎の大らかな人々と違う都会の人達はルミエの外見を気味悪がり男女問わず避けられて来たからというのもある。
最近、ヤンディ公爵令嬢が謎の敵意を丸出しにして攻撃して来る様になったのが王都に来てからの唯一の同世代との関わりと言っていい。
なので至近距離に4人もの若い男性がいる状況はルミエにとってピンチで間違いない。
ピンチに陥れば金縛り状態になってしまうのである。
(…それにしても誰かしら?お兄様のお友達かしら?)
不自然な登場をしやっと呼吸が整って来た4人に対して当たり前の疑問を感じている金縛り中の妹に兄リーが説明する。
「こいつ等とはバイト先…魔獣討伐の現場で一緒になったんだ。腰抜け騎士崩れが多い中でこいつ等はいい働きをしてくれて随分助かったんだ」
(仕事仲間という訳ね…体格の良い3人組は分かるけどザートという人は魔獣討伐現場で戦うイメージ無いわね)
「ま、ザートはスケット達3人に命令出すだけだったけどな」
(やっぱり)
「でもその命令が的確だから3人は素晴らしい動きが出来ていた。優秀な司令塔だ」
「‥ハハ、お褒めに与りどうも。リーこそ現場では『魔王』と呼ばれるほどに見事な働きっぷりで皆信頼し感謝しているんだ。…初めまして、お嬢さん。私はザート」
「………」
「「「‥ッ!?」」」
ザートの自己紹介にも当然ながら無反応なルミエに体の大きな3人組が目を剥くが…
「ああ、済まない。妹は体調が悪くて‥」
リーがルミエを背中に隠し謝罪する。
「‥そうだね。ソレでよく立っていられると思うよ」
「‥え?どういう‥」
「とりあえず馬車に乗って。詳しい事は中で話すよ」
(え、馬車に知らない男性と?お兄様が一緒とはいえそんなの許されな‥ハッ!)
ルミエは兄のブーツが酷く汚れている事に気付く。
(…お兄様はバイトから家に帰って荷物を置いてからここまで徒歩でいらっしゃったのだわ…交通費を浮かす為に…いくら健脚のお兄様でもバイト終わりに長距離の徒歩移動で足はガクガクくたくたのはず…)
ルミエは愛する兄の為に必死に重い口を動かす。
「あ、あの、馬車に乗るついでに家まで送って頂けますか?」
体はまだ動かせないが何とか口だけは動いてくれた。
自己紹介をシカトした相手に頼み事をしている図々しさには気付いていない。
「‥姫ッ!?」
リーは思いもよらない妹の言に驚く。
母上の掟を忘れてしまったのかと。
ザートは鷹揚に笑って
「もちろん、その積もりだよ。さぁ、お手をどうぞ‥」
「それは遠慮する!姫は母上の掟により男性と関わらないし兄としても関わらせない!…馬車には俺が乗せる」
「「「‥ッ!?」」」
失礼を重ねる兄妹に対し3人組が目を剥くがリーはそれどころじゃない。
「姫、その状態では馬車に乗れないだろうから少し触れますね?これは連絡事項を話すのと同じ事だから母上の掟に背いた事にはなりませんから、ね?さ、力を抜いて…って抜けないのですね…可哀想に」
(えっ?えっ?お、)
お兄様~~~~~!
母の掟≪男子完全禁制≫により男と関わってはならないルミエ。
子供の頃はのどかな田舎の領地に住んでいたし活発だった。
母の目を掻い潜っては男の子達と遊んでいたが、やがてそれは無くなり、8才の頃王都に住まいを移してからは男子と関わる事は一切無くなった。
ルミエも避けるし、ルミエが避けるまでもなく田舎の大らかな人々と違う都会の人達はルミエの外見を気味悪がり男女問わず避けられて来たからというのもある。
最近、ヤンディ公爵令嬢が謎の敵意を丸出しにして攻撃して来る様になったのが王都に来てからの唯一の同世代との関わりと言っていい。
なので至近距離に4人もの若い男性がいる状況はルミエにとってピンチで間違いない。
ピンチに陥れば金縛り状態になってしまうのである。
(…それにしても誰かしら?お兄様のお友達かしら?)
不自然な登場をしやっと呼吸が整って来た4人に対して当たり前の疑問を感じている金縛り中の妹に兄リーが説明する。
「こいつ等とはバイト先…魔獣討伐の現場で一緒になったんだ。腰抜け騎士崩れが多い中でこいつ等はいい働きをしてくれて随分助かったんだ」
(仕事仲間という訳ね…体格の良い3人組は分かるけどザートという人は魔獣討伐現場で戦うイメージ無いわね)
「ま、ザートはスケット達3人に命令出すだけだったけどな」
(やっぱり)
「でもその命令が的確だから3人は素晴らしい動きが出来ていた。優秀な司令塔だ」
「‥ハハ、お褒めに与りどうも。リーこそ現場では『魔王』と呼ばれるほどに見事な働きっぷりで皆信頼し感謝しているんだ。…初めまして、お嬢さん。私はザート」
「………」
「「「‥ッ!?」」」
ザートの自己紹介にも当然ながら無反応なルミエに体の大きな3人組が目を剥くが…
「ああ、済まない。妹は体調が悪くて‥」
リーがルミエを背中に隠し謝罪する。
「‥そうだね。ソレでよく立っていられると思うよ」
「‥え?どういう‥」
「とりあえず馬車に乗って。詳しい事は中で話すよ」
(え、馬車に知らない男性と?お兄様が一緒とはいえそんなの許されな‥ハッ!)
ルミエは兄のブーツが酷く汚れている事に気付く。
(…お兄様はバイトから家に帰って荷物を置いてからここまで徒歩でいらっしゃったのだわ…交通費を浮かす為に…いくら健脚のお兄様でもバイト終わりに長距離の徒歩移動で足はガクガクくたくたのはず…)
ルミエは愛する兄の為に必死に重い口を動かす。
「あ、あの、馬車に乗るついでに家まで送って頂けますか?」
体はまだ動かせないが何とか口だけは動いてくれた。
自己紹介をシカトした相手に頼み事をしている図々しさには気付いていない。
「‥姫ッ!?」
リーは思いもよらない妹の言に驚く。
母上の掟を忘れてしまったのかと。
ザートは鷹揚に笑って
「もちろん、その積もりだよ。さぁ、お手をどうぞ‥」
「それは遠慮する!姫は母上の掟により男性と関わらないし兄としても関わらせない!…馬車には俺が乗せる」
「「「‥ッ!?」」」
失礼を重ねる兄妹に対し3人組が目を剥くがリーはそれどころじゃない。
「姫、その状態では馬車に乗れないだろうから少し触れますね?これは連絡事項を話すのと同じ事だから母上の掟に背いた事にはなりませんから、ね?さ、力を抜いて…って抜けないのですね…可哀想に」
(えっ?えっ?お、)
お兄様~~~~~!
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