掟に縛られたブキミ令嬢ですが3大国宝イケメンを翻弄してます

ハートリオ

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31 助けて!

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「逃がさないわよ!
あなたとディングのマッチング、上手くいく未来しか見えないもの!」

み、耳が痛い‥声がデカすぎ!
声量が迷惑って言われた事ないのね高位貴族だから!
高位貴族だからって何でも自分の思い通りにしようなんて絶対おかしい!

――って言いたいけど口が激重で開かないッ

「…アラ‥あなた、何て細い腕‥
ちょっと力を入れたら折れてしまいそうね?
なのに肉は柔らかくて、肌はしっとりスベスベ‥」
「‥ッ!?‥」

着て来た安ダサドレスは肌の露出を極力抑えた物だ。
着替えさせられた豪華ドレスは腕が露わになっている。
普段自分でもロクに見る事のない腕なのだが――

――侯爵夫人の眼はギラギラ光っている。
危ない光…
白目の淵が赤みを帯びて狂気を感じさせる。

ちょ、恐い恐い恐い!!
撫でまわさないで、揉みしだかないで、嗅がないで、
えぇぇ!?

分厚い舌で舐めようとしてくる侯爵夫人に嫌悪と恐怖が頂点に達する。

「‥ッご冗談を。どうぞ、腕をお放し下さい」

強ばる心と体‥上手く言葉が出ない。
この絶対的ピンチに体は金縛り状態を継続中。
それでも何とか拒絶の意思を伝えたのに‥

「ん?あら‥私が恐いの?可愛い子ね。
恐がらなくていいわ。やさしくしてあげる。
さ、私の部屋へ行きましょう」

そう言うと、腕を掴む力をさらに強め、ドアへ私を引きずって行く。
衣装部女子達に視線を向けるが、みな下を向いて石になっている。
え、やだやだやだ!絶対ヤバイ!
あ、ドアの外に家令様がいる!助けて!

「奥様、いけません‥!
本来の目的を思い出してください!
もうすぐディング様が到着されるはず‥≪バシッ!≫

侯爵夫人を止めようとする家令の必死な口元を夫人の扇が叩く。
家令は口元を手で押さえ俯き首を振る。

‥あ、諦めた!?こんなあっさり!?

家令弱すぎ!
思ってた家令と違う!
さっきの私達兄妹に対する圧は何だった!?
私達のビビりを返せ!

「予定変更!この子は私が貰うわ!
良かったわ、今日は夫がいなくて。
取り合いにならずに済んだわね、オッホホホ~!
私達しばらく部屋に籠るから、お客様は任せたわよ!
さ、こっちよ、ルミエちゃん、‥ん?」

「お許しを‥私は帰ります、手をお放し下さい‥!」

そう懇願しながら必死に足を踏ん張る。
掴まれた腕がメチャメチャ痛いけど、多少怪我してもいい!
何とかして逃げなくては!

「‥まァッ、この子ったら…
さらに燃えさせてくれるのね‥抵抗なんかして…
とっても悪いコ‥許さないわよ?
罰として、その白い極上の肌で償ってもらう‥
この欲望の炎が鎮まるまで、ホホッ、
あなたの全身に快楽を植え付けてあげる‥
逃れられない快楽にのたうち回るといいわ!
どんなに泣き喚いても許してあげない‥ッ
覚悟なさい!オッホホホ~!!」

侯爵夫人は恐ろしい呪いの様な言葉を口にしながら――
グイと私を引き寄せたかと思うと軽々と抱き上げて――
そのままスキップしながら豪華な廊下を進んでいく――


…詰んだ…


絶望に眩む頭でそう思った瞬間、凛とした声が廊下に響き渡る。

「‥母上?」
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