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82 ルフェ到着
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そうだった!
ルミエはハッと思い出す。
今はバロア王との戦いに集中しなければ!
モヤモヤしているリーを置き去りにルミエのスイッチが切り替わる。
「本日お願いに上がったのは――」
3日後。
「お姉様!」
「ルフェ!よく来てくれたわね!ありがとう!」
「当たり前の事です!またお姉様と一緒に戦いたいです!」
「そうね!この戦い、ルフェが1番大切な役割を担っているのよ!」
「私が?」
「そうよ!王女達を解放する事がバロア王に勝つ鍵なの!任せていい?」
「は、はいッッ!頑張りますッ」
とっても眩しい美少女姉妹に男達はホンワカ…
していない!
ここはティスリー王国王太子宮…つまりザート宮だ。
『祈りの塔』に近い為、ルフェ達は先ずはそこに入る。
知らせを受けてルミエ、リー、そしてディングがザート宮を訪れ美少女姉妹のやり取りとなったのだが。
「――何故ロングラッセ侯爵令息がラマンジェ嬢と行動を共に?」
ザートが抑揚の無い声で尋ねる。
「もう『ディー兄さん』とは呼んで頂けないのは寂しい限りです――勿論、ラマンジェ嬢と協力し魔獣を一掃する為行動を共にしている次第」
ディングもアルカイックスマイル&棒読み調で対応する。
2人はハトコ同士。
現王の息子であるザート18才と現王の従妹の息子ディング19才。
子供の頃の天邪鬼少年ディングとアンニュイ少年ザートは気が合いよく一緒に遊んだし今でも会えば親しく会話する仲であるのだが…
今に限ってはギスギスしている。
「それに私とラマンジェ嬢は幼い時期に一緒に過ごした事もある――そう、幼馴染と言ってもいい仲ですので。一緒に居る事は自然な事なのですよ、殿下」
「‥なッ!?‥ラマンジェ嬢、本当‥あ」
ルミエに真偽を確かめようとするザートだがそこに居たはずのルミエがいない。
部屋の隅の方でルフェと何やら内緒話をしている。
その内容は…
「ルフェ、ザート殿下が好きなのね?」
「ええッ!お姉様どうしてそれを!?」
「ルフェがザート殿下を見る眼差しで分かるわ。とっても熱いのだもの」
「‥あぅぅ‥」
「1つ確かめたいのだけど、確かロマージュで会った時『せんせい』に恋をしてしまったみたいに言ってたけどその人とはどうなの?」
「あぅ、『せんせい』というのはお芝居に出て来る登場人物なのです」
「お芝居?じゃあ実在の人物じゃないの?」
「『それはせんせい』というタイトルのお芝居に出て来た『せんせい』で主人公の初恋の相手で私も感化されて…でも実際その役者さんに会ったらちょっとアレだったのです」
「ええ…役者に会えたの?」
「はい、王女なので。えへへ」
「…はぁ」
「遠目にはキリッとしていて素敵だったのですが近くで見ると…アレでした。お化粧が凄くて…恋心は消え失せました」
「そ…そう…ならいいわ」
「いいのですか?」
「恋は人生を1番輝かせるし1番パワーになるもの。ルフェが素敵な恋を見つけて嬉しいわ。ザート殿下は…多分素敵な人よ。私もそんなに親しくはないので‥でも、そうね。いい人なのは間違いないわ。ただ…彼には婚約者候補がいて…行方不明中らしいのよね…」
ルフェの瞳がキラリと光る。
「ソレでしたら問題ありませんわ、お姉様」
突如空気を変えたルフェにルミエはポカンとして。
「え?ルフェ、何か知っているの?」
「ロマージュの影は優秀ですから…」
そう言ってアルカイックスマイルを浮かべるルフェは大国の強かな王女の顔を覗かせる。
「アレはもう婚約者候補から外れていますし、今後姿を見る事はありません。――お姉様を階段の1番上から突き落としたのですよね…それ相応の報いを受けた様です…それでも許せませんけどもう手の出しようがありませんので良しとするしかありません…チッ」
(…こ、怖…)と思うルミエである…
ルミエはハッと思い出す。
今はバロア王との戦いに集中しなければ!
モヤモヤしているリーを置き去りにルミエのスイッチが切り替わる。
「本日お願いに上がったのは――」
3日後。
「お姉様!」
「ルフェ!よく来てくれたわね!ありがとう!」
「当たり前の事です!またお姉様と一緒に戦いたいです!」
「そうね!この戦い、ルフェが1番大切な役割を担っているのよ!」
「私が?」
「そうよ!王女達を解放する事がバロア王に勝つ鍵なの!任せていい?」
「は、はいッッ!頑張りますッ」
とっても眩しい美少女姉妹に男達はホンワカ…
していない!
ここはティスリー王国王太子宮…つまりザート宮だ。
『祈りの塔』に近い為、ルフェ達は先ずはそこに入る。
知らせを受けてルミエ、リー、そしてディングがザート宮を訪れ美少女姉妹のやり取りとなったのだが。
「――何故ロングラッセ侯爵令息がラマンジェ嬢と行動を共に?」
ザートが抑揚の無い声で尋ねる。
「もう『ディー兄さん』とは呼んで頂けないのは寂しい限りです――勿論、ラマンジェ嬢と協力し魔獣を一掃する為行動を共にしている次第」
ディングもアルカイックスマイル&棒読み調で対応する。
2人はハトコ同士。
現王の息子であるザート18才と現王の従妹の息子ディング19才。
子供の頃の天邪鬼少年ディングとアンニュイ少年ザートは気が合いよく一緒に遊んだし今でも会えば親しく会話する仲であるのだが…
今に限ってはギスギスしている。
「それに私とラマンジェ嬢は幼い時期に一緒に過ごした事もある――そう、幼馴染と言ってもいい仲ですので。一緒に居る事は自然な事なのですよ、殿下」
「‥なッ!?‥ラマンジェ嬢、本当‥あ」
ルミエに真偽を確かめようとするザートだがそこに居たはずのルミエがいない。
部屋の隅の方でルフェと何やら内緒話をしている。
その内容は…
「ルフェ、ザート殿下が好きなのね?」
「ええッ!お姉様どうしてそれを!?」
「ルフェがザート殿下を見る眼差しで分かるわ。とっても熱いのだもの」
「‥あぅぅ‥」
「1つ確かめたいのだけど、確かロマージュで会った時『せんせい』に恋をしてしまったみたいに言ってたけどその人とはどうなの?」
「あぅ、『せんせい』というのはお芝居に出て来る登場人物なのです」
「お芝居?じゃあ実在の人物じゃないの?」
「『それはせんせい』というタイトルのお芝居に出て来た『せんせい』で主人公の初恋の相手で私も感化されて…でも実際その役者さんに会ったらちょっとアレだったのです」
「ええ…役者に会えたの?」
「はい、王女なので。えへへ」
「…はぁ」
「遠目にはキリッとしていて素敵だったのですが近くで見ると…アレでした。お化粧が凄くて…恋心は消え失せました」
「そ…そう…ならいいわ」
「いいのですか?」
「恋は人生を1番輝かせるし1番パワーになるもの。ルフェが素敵な恋を見つけて嬉しいわ。ザート殿下は…多分素敵な人よ。私もそんなに親しくはないので‥でも、そうね。いい人なのは間違いないわ。ただ…彼には婚約者候補がいて…行方不明中らしいのよね…」
ルフェの瞳がキラリと光る。
「ソレでしたら問題ありませんわ、お姉様」
突如空気を変えたルフェにルミエはポカンとして。
「え?ルフェ、何か知っているの?」
「ロマージュの影は優秀ですから…」
そう言ってアルカイックスマイルを浮かべるルフェは大国の強かな王女の顔を覗かせる。
「アレはもう婚約者候補から外れていますし、今後姿を見る事はありません。――お姉様を階段の1番上から突き落としたのですよね…それ相応の報いを受けた様です…それでも許せませんけどもう手の出しようがありませんので良しとするしかありません…チッ」
(…こ、怖…)と思うルミエである…
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