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15.執事はイケメン・モード
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妻の「何故自分を妻にしたのか?」の問いに対する夫の答えが『自分でも、何故か分からない』――普通の妻なら、夫の答えに怒りや不安で顔を曇らせる所だろうに、我が妻ベナは、
「あぁ、それなら、分かりますわ! 得心が行きましたわ!」
と、本当に晴れやかに言うのだ。
何が“分かり”、“得心が行った”のだろう。
女が男に求める唯一の答えは“君を愛しているからだ”ではないのか?
戸惑う俺に気付き、ベナが言葉を継ぐ。 今度は、絞り出す様に。
「・・私も、何故かは分からないんですの・・・でも、ヤカフ様が幸せなら、相手が私じゃなくてもいい、と思えるのですわ・・・」
『・・嘘だっ!!』
自分でも驚くほど大声で怒鳴ってしまっていた。
心がわなわなと震え、自分を制することなど出来ない・・・
嘘だ、ベナ、君が今言った事は、前世、俺が麗華に抱いていた想いと同じ・・・ならば君は、俺を・・・いや、違う、俺は、俺は・・・っ!
俺は足早に食堂を出る。
「・・旦那様っ!?」 キヤギネが追って来るが、
『食事は要らない! もう、寝る!』と言い捨て、ズンズン部屋へ向かう。
だが、一輪の花の様に食堂に取り残されたベナの姿が脳裏に浮かび、最後に見た麗華の頼りなげな姿と重なる。 いつもの様に話し合いが言い合いになり、俺はもう諦め、麗華の側を去った・・・麗華を見捨てた・・・そのすぐ後に、麗華は・・・
『・・はっ・・!』 不意に強く腕を掴まれ、無理矢理足を止めさせられる。
『何をっ!? 無礼者・・』
俺よりも長身の執事を見上げ、動けなくなる・・! キ、キヤギネ・・・ッ!?
俺を見下ろすキヤギネの眼・・・複雑な、しかし、確かに怒りに満ちた・・・
「戻られないのなら・・・」 『はっ・・!(ギクリッ)』
俺は思わず乱暴にキヤギネの手を振り払う! 頭の中で、警告音が鳴っている!
この男に、これ以上を言わせてはいけないと・・!!
俺が、戻らなければ、お前が、ベナを・・・!?
黙って俺を見つめるキヤギネ・・・。
それが、お前の本当の貌なのか!? 普段の飄々とした風情とは真逆の、“男”・・
ベナか!? ベナが、お前にそんな貌をさせるのか・・・!?
俺は、何と恐ろしい男を執事にしてしまったのだろう・・・
何と恐ろしい男と妻を二人っきりにしてしまったのだろう・・・
完全イケメン・モードのキヤギネに勝てる気が全くしない・・何なら、抱かれても・・あ、いや、違う違う!! 危ね!ヤバい事思いそうになってた・・セーフ!
キヤギネの瞳に囚われた様に動けなくなっていた俺に、キヤギネがフワリと表情を柔らかくして、柔らかに言う。
「さ、奥様がお待ちでございます。」
ベナ・・・奥様・・・そうだ、ベナは、こんなイイ男を前にしても、妻として俺に色仕掛けをしようとしているのだ・・・俺を選んでいる、という事だ・・・
麗華・・・
ベナは、麗華とは違う・・・いや、バルコニーから落ちるまでは、麗華のようだった・・・突然、変わった・・・変わろうと、努力している・・
俺も・・・
前世の俺とは違う俺に・・・
前世の俺には出来なかった行動を・・・
報われようが、報われまいが・・・
カツッ!
俺は靴を鳴らして踵を返し、食堂へ戻る為、静かに歩き始めた。
決して俺を裏切る事は無いと信頼しているのに、最早脅威となった執事が静かについて来る・・・ゴクリ・・・今お前は、どんな貌をしている?
俺は振り返り、その表情を見・・・・・・る勇気は無かった・・・
「あぁ、それなら、分かりますわ! 得心が行きましたわ!」
と、本当に晴れやかに言うのだ。
何が“分かり”、“得心が行った”のだろう。
女が男に求める唯一の答えは“君を愛しているからだ”ではないのか?
戸惑う俺に気付き、ベナが言葉を継ぐ。 今度は、絞り出す様に。
「・・私も、何故かは分からないんですの・・・でも、ヤカフ様が幸せなら、相手が私じゃなくてもいい、と思えるのですわ・・・」
『・・嘘だっ!!』
自分でも驚くほど大声で怒鳴ってしまっていた。
心がわなわなと震え、自分を制することなど出来ない・・・
嘘だ、ベナ、君が今言った事は、前世、俺が麗華に抱いていた想いと同じ・・・ならば君は、俺を・・・いや、違う、俺は、俺は・・・っ!
俺は足早に食堂を出る。
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『食事は要らない! もう、寝る!』と言い捨て、ズンズン部屋へ向かう。
だが、一輪の花の様に食堂に取り残されたベナの姿が脳裏に浮かび、最後に見た麗華の頼りなげな姿と重なる。 いつもの様に話し合いが言い合いになり、俺はもう諦め、麗華の側を去った・・・麗華を見捨てた・・・そのすぐ後に、麗華は・・・
『・・はっ・・!』 不意に強く腕を掴まれ、無理矢理足を止めさせられる。
『何をっ!? 無礼者・・』
俺よりも長身の執事を見上げ、動けなくなる・・! キ、キヤギネ・・・ッ!?
俺を見下ろすキヤギネの眼・・・複雑な、しかし、確かに怒りに満ちた・・・
「戻られないのなら・・・」 『はっ・・!(ギクリッ)』
俺は思わず乱暴にキヤギネの手を振り払う! 頭の中で、警告音が鳴っている!
この男に、これ以上を言わせてはいけないと・・!!
俺が、戻らなければ、お前が、ベナを・・・!?
黙って俺を見つめるキヤギネ・・・。
それが、お前の本当の貌なのか!? 普段の飄々とした風情とは真逆の、“男”・・
ベナか!? ベナが、お前にそんな貌をさせるのか・・・!?
俺は、何と恐ろしい男を執事にしてしまったのだろう・・・
何と恐ろしい男と妻を二人っきりにしてしまったのだろう・・・
完全イケメン・モードのキヤギネに勝てる気が全くしない・・何なら、抱かれても・・あ、いや、違う違う!! 危ね!ヤバい事思いそうになってた・・セーフ!
キヤギネの瞳に囚われた様に動けなくなっていた俺に、キヤギネがフワリと表情を柔らかくして、柔らかに言う。
「さ、奥様がお待ちでございます。」
ベナ・・・奥様・・・そうだ、ベナは、こんなイイ男を前にしても、妻として俺に色仕掛けをしようとしているのだ・・・俺を選んでいる、という事だ・・・
麗華・・・
ベナは、麗華とは違う・・・いや、バルコニーから落ちるまでは、麗華のようだった・・・突然、変わった・・・変わろうと、努力している・・
俺も・・・
前世の俺とは違う俺に・・・
前世の俺には出来なかった行動を・・・
報われようが、報われまいが・・・
カツッ!
俺は靴を鳴らして踵を返し、食堂へ戻る為、静かに歩き始めた。
決して俺を裏切る事は無いと信頼しているのに、最早脅威となった執事が静かについて来る・・・ゴクリ・・・今お前は、どんな貌をしている?
俺は振り返り、その表情を見・・・・・・る勇気は無かった・・・
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