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キラーチルドレン

籠の中の哀しい鳥⑦

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――あの日から、六年の月日が流れ――
 男の子は、十五歳になっていた。
「親父。俺、行くよ」

 父親は、坊主が大きくなった時、必ず捜しに行くと思ってたから、止めても無駄だと分かっていた。だから、振り向かずに。
「ああ、元気でな……」と言い、見送りにも来なかった。
 でも、男の子は分かっている、父が応援してくれている事を。


『アース 建設株式会社』
 その、名前だけで実際はスパイとコロシの養成、斡旋をしてる施設へと、男の子は来た。
 同期でこの会社に来た男と歩きながら、話していると、通路の向かい側から、一際にぎやかな集団がやって来た。
 摺れ違う時、集団の中心に居た、綺麗な懐かしい顔に男の子は足を止めた。

「レイ……」
 レイが居た。歳月が経っても、変わらぬ美しいあの子が。
 レイは聴こえなかったのか、今でも鈴を鳴らす様な声で笑って通り過ぎて行った。

「なあ、どうしたんだよゼン……おい、泣いているのか?」


 レイ、レイ、愛しいレイやっと逢えたね。
 いつまでも、おまえの事を愛しているよ。



籠の中の哀しい鳥 06.4.1
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