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哀しい鳥は夢を見る
夢④
しおりを挟む「レイジ、ルイ、ただ今参りました!」
ミーティングルームに入り、教官に敬礼をする。
殺し屋なのに教官だの敬礼とかおかしいと思うだろうが、この会社は政府お抱えの便利屋みたいな物だと教えられた。
表向きは会社の会議室だが裏では、この広い部屋でオレたちアサシンは司令を受けターゲットを殺す相談をする。
四十がらみの頭が淋しくなった教官が、電話中らしく身振りで座る様に指示した時、ドアが開き二人連れが入って来た。
「クレア、ゼン、ただ今参りました!」
ゼンと聞いて、振り向いたオレとアイツの視線が絡む。先に目を反らしたのはオレ。
電話を切った教官に司令を受けたけど、オレの耳には入って来なかった。
「よろしくなレイ」
差し出された手を、そっと握り返して、にこやかに微笑もうとした筈なのに。実際は引きつった顔で。
「よろしく……」
か細い声しか出ない自分を呪いたくなる。泣かない様に我慢するだけで精一杯だ。
「レイジを泣かす、アンタなんか嫌いだ!」
ルイから激しい憎悪を感じて、オレは思わず叫んだ!
「違う、違うんだルイ! オレはコイツの事なんか、何とも思っていない!」
握っていた手がソッと離れ、ゼンは蒼白な顔でオレを見ている。
哀しい鳥は……夢をみる。
けっして叶わない夢なのに。
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