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二章
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しおりを挟む解熱剤を飲んで、コップを置く。それを見ていた「トンボ」が、「風邪かい?」と聞いてきた。
「そうみたいです。熱が下がらなくて」
「夏風邪は長引くからね。養生しな」
「はは…明日、綾女さん退院なんです。落ち着くといいんですけど」
少しだけ開いていたカーテンを閉める。振り返ると、トンボが椅子に座る男に平手打ちを食らわせていた。
「トンボさん、乱暴なことはしないでください」
「こんなのは乱暴に入らない。ただの可愛がりさ」
「そうでなく、荒事は私がしますから」
トンボという闇医者は、目を細める。彼女は華奢な女性だった。四十代のような顔なのに、腰まで伸びた髪は真っ白だった。ノースリーブの黒に、スキニーを履いて、線の細さを際立たせている。
長い髪を払うと、トンボは男から離れてソファに座った。
「虫も殺せないようなアンタが、この男をどうやって懲らしめるんだい?」
「虫くらいは殺してますよ」
「コイツが、綾女にペンマークを打った張本人なんだろ?」
男の肩が、びくりと跳ねる。手足、胴体を椅子に縛りつけられている男は、恐る恐る植村へと顔を上げた。
綾女が名付けていた「ビビリ」を思い出す。確かに、こうして怯えた顔を、彼はいつもしていた。
「稔さん」
植村は男の頭を掴む。口も縄で縛っているから、声を出せない。
「ぐっ…!」
「はじめに言っておきますが、ここは私の家で周りに民家はありません。貴方がいくら叫ぼうとも無駄だというのを承知しておいてください」
一言、断ってから口の縄を解く。話せるようになった稔は、直ぐに訴える。身を乗り出さんばかりに動いて、体に縛り付けている縄が軋む。
「ま、待って。植村さん、どうしてこんなことを?僕は、綾女さんが行方不明になったと聞いたから、こうして貴方の家を訪ねたのに」
当惑しきって、植村に自分は無実だと訴える。しらを切るその態度が、腹立たしい。
「貴方がペンマークを買ったのは把握済みです。麻薬を買うこと自体が罪になりますから、現時点で警察に突き出すことも出来ますよ」
「し、知りません!僕は買ってない」
「これを見てもそれが言えますか?」
植村はペンマークを買う稔の写真を見せた。夜の裏通り。暗いが顔はしっかり写っているので、言い逃れは不可能だ。
「あ…そんな…」
「私も詳しくは無いのですが、ペンマークほどの希少な薬の取り引きだと、誰が買ったかの情報が金になるそうですよ。貴方がペンマークを買った時点で、情報屋に売らないように売人に口止め料を払うべきでした」
「…い、いや。買ったかもしれない。そう…騙されて!何も知らずに買わされたんだ!僕は知らない!」
買ったのは認めても、綾女に打ってはいないと主張する稔の訴えに、植村は同意する。
「ええ。その可能性はあります。何故ならペンマークを打たれた綾女さんは中毒になっていて、まともな会話が不可能です。スマホも紛失して、見つかっていません。貴方が打った証拠は無い」
「で、でしょう!?大体、僕がそんなこと出来るわけが無い!兄の一周忌では、綾女さんは酷くショックを受けていました。それだけ綾女さんは兄を愛している。植村さん、貴方がペンマークを打ったんじゃありませんか?僕が見た所、植村も綾女さんも互いに距離を置いている。亡き夫を忘れられない綾女を自分のものにしようと、貴方はペンマークを使った。番の繋がりが弱いから、ペンマークに頼ったんじゃないんですか?」
ペラペラとよく回る舌だ。こういう舌先三寸の男が、植村は昔から大嫌いだった。
悪者は悪者の顔をしていないと言うが、その正体に気づくと、性根の腐った顔に見えてくる。
植村は足で椅子を蹴った。稔ごと横に倒れ、うめき声が上がる。
「うっ、うう…!」
「動かないで。針が折れると危険ですよ」
「え?」
稔の腕に注射する。黄色の、見るからに怪しい薬が打ち込まれた稔は狂ったように暴れて抵抗する。
植村は腕を掴んで最後まで注射した。
「やめろ!なに打ってるんだぁ…!」
「貴方が正直に話したら教えますし、中和剤も投与しますよ」
「ど、どういう!お前…!僕に何をした!」
いくら周辺に家が無いからと言っても、こうも身近で騒がれたら、うるさくてかなわない。
「教えておやりよ」トンボが言う。「知った方が喋るよ」
それもそうか。植村は未使用の薬剤のラベルを取り出して見せた。
「『ドッター・カム』です。よく『ドカム』と呼ばれていますが、オメガホルモンと言った方が分かりやすいでしょう」
稔は目を見開いた。
「オメガ…ホルモン…?」
「オメガホルモンにも色々と種類があるんです。ご存知でしたか?このドカムは、その中でも精製度が高い、少量で大量のホルモンを投与出来ます」
「なんでそんなもの!そんなのを打たれたら」
「『転換』しちゃいますね」
稔が叫ぶ。嫌だと叫んで、締め付けを解こうとしているのか、酷く暴れ出した。
「嫌だ!駄目だ!アルファじゃなくなったら!アルファでいないと…!僕は当主になるんだから…!」
アルファ至上主義の母親を持つのなら、子も同じか。兄が死んだ今、次期当主となる者が、アルファで無いのはあり得ないのだ。
「なんてことをしてくれたんだ!お前!お前…!」
「貴方が話さないから、こうなったんですよ。それにさっき言いましたよ。本当のことを話したら、中和剤を打ちますと」
「本当のこと!?そんなの知るか!僕は何も知らない!」
「今ならまだアルファのままでいられますよ。中和剤を投与するのが遅れたら戻れなくなります」
「もう一度聞きます。貴方は、遠山綾女にペンマークを打ちましたね?」
「知らない!知らない知らない!こんなことしておいて、ただで済むと思うなよ!」
「…トンボさん」
植村が呼ぶと、トンボは軽く手を上げた。
「自白剤を買います。いくらですか?」
「点滴なら一パック二万」
「注射は?そちらの方が早いですよね」
「早いけど、長くは喋ってくれないよ」
「なら点滴で」
二人の短いやり取りの後、トンボが動いてソファ裏に置いていたトランクを開ける。彼女が用意をしている間に、植村は稔に説明する。
「これで最後です。貴方が話さないなら、自白剤を使います」
「知らないって言ってるだろうが!」
「自白剤を使ったら、貴方はべらべら話し続けて、聞いていないことまで話し出します」
トンボから自白剤のパックを受け取る。
「その後、貴方は自白剤の影響で呼吸不全となり、死にます」
「……っな!」
「もう一度聞きます。中和剤と自白剤、どちらにしますか?」
改めて稔に示す。どちらを選んでも、選ばなくとも、彼の行く末は変わらない。
まだ助かると思っている稔は、恨みつらみを吐きながら、中和剤を選んだ。
「全部話す…だから中和剤を」
植村は中和剤を注射する。稔は安堵して、力が抜けて横たわる。
「話してください」
「…僕も綾女を愛していた。兄よりも。彼を自分のものにしたいと思うのは当然だろう」
「それで?」
「…打った。僕が打った」
す、と頭から血の気が引いていく。怖いからじゃない。この感情は、紛れもなく怒りだった。
「──分かった。ならもう容赦しない」
「──え?」
植村は点滴の針を差し込んだ。自白剤の点滴だ。稔は何故!?と暴れるが、縛られている以上、無駄な抵抗だった。
「何でだ!?喋っただろう!?やめてくれ!」
「綾女さんもそう言わなかったか?それでお前は止めたのか?」
「あ、綾女は自分から打ってくれって言ったんだ!綾女も僕の番になりたがっていた」
ほらな。嘘ばかりついて罪を逃れようとする。無駄な時間を費やすつもりはない。ペンマークを打ったと認めた以上、後はただ、この男から真実を出来るだけ聞き出して、後は死んでくれればいい。
布に包んで車の後部座席に運び込んでいると、一台の車が家の塀の外に停まった。車を降りてやって来たのは、幼なじみの慧だった。
「慧じゃないですか。こんな夜更けに」
慧は、不審な目を向けてくる。それもそうか。布で隠した人一人をトンボと二人で運ぶ。異様な光景だ。
軽自動車のバンは、トンボの車だ。積み荷を入れてドアを降ろす。
「後を頼みます」
「もうこれっきりにして、連絡してくるなよ。あたしみたいなのには関わらない方がいい」
白髪をなびかせて、トンボは車に乗り込む。走り去っていく車を見送って、次の人物に目を向けた。
「慧、どうしたんですか?」
「なんだあの美人は」
「知り合いです」
「どう見てもカタギじゃねぇな。さっきの運んでたのはなんだ」
「話す義理、ありませんよ」
「…家入れろ」
「駄目です。まだ掃除が終わってませんので」
慧の進路を塞ぐように前に立つが、押しのけられてしまう。植村自身、あまり隠す気も無かった。一仕事終えて、連載を書き終えたぐらいの、達成感ではなく放心状態に近い気分だった。
無遠慮に家の中に消えた慧の後を追う。彼の反応が気になった。
「なんだこれ」
ドスの効いた声に急かされて、ダイニングで立ち尽くす慧の足元に落ちていた空の注射器を拾い上げる。
ソファやらテーブルを脇に追いやって、青いビニールシートが敷かれた室内。注射器や点滴パック、脱ぎ捨てられた服、汚れたタオルなど、綺麗好きの植村には絶えられない光景が広がっている。
「ちょっと小説の題材にと思ったんです」
「嘘つけ!そんなレベルじゃないだろ!あの女は誰だ」
「彼女は何もしてません。運んでもらっただけ」
「さっきのか。何を運んでいた」
「にんげん」
慧が最高に苛立った表情で、植村を睨みつける。人ひとり殺せそうな形相だ。
「綾女はどこにいる。見当たらないな」
「彼は病院です。明日には退院です」
落ち着きたいのか、慧は息を吐いて顔を振った。その横顔が植村に再び向けられる頃には、彼はそれなりに落ち着きを取り戻していた。
「そうか…俺はてっきり、綾女を殺したのかと思った」
植村は思わず笑ってしまった。とんだ勘違いをしてくれたものだ。
「言っておきますけど誰も殺してませんよ」
「全部話せ」
「長いですよ」
「隠されるよりはマシだ。いいか。全部、話すんだ」
夜の帳は降りきっている。誰にも邪魔されず、慧に思う存分、打ち明けられた。
アランと連絡が取れない。名越編集に泣きつかれた羽根谷慧は、早速、自宅に押しかけた。が、家に人気は無く、玄関のプランターの花は全て枯れていた。車庫のドアの磨りガラスから見える限りでは、車は無かった。
慧は合鍵を使って家に侵入した。緊急用で、もしもの為に作っていた。ちゃんとアランにも許可は取ってある。中はやはりもぬけの殻で、ここ数日はいない様子だった。
番相手の綾女もいなければ、二人で旅行していると考えるのが自然か。名越編集の電話に出ないのであれば、やはり楽観視は出来なかった。
二人は共犯者だ。お互い伴侶を失った過去を持つ。慰め合うような関係ならばまだいいが、同じ結末を果たすために番となったのなら、とうとうそれを実行しようと雲隠れしたのかもしれない。
羽根谷慧が、植村アランの首吊りに遭遇したのは、奇跡だった。天啓を受けたとしか思えない。本当に偶然だった。
たまたま車を修理に出していたこと。たまたま持ち合わせが少なく、植村にタクシー料金を借りようと寄ったこと。玄関の鍵が開いていたこと。タイミング。全てが一つでも欠けていたら、アランは生きてはいなかった。
死に損ねたアランは、表向きは普通を装って生活している。心を失った人間は不思議と生きるのが上手くなる。そういう人間を見てきた慧は、アランがいつかまた死ぬのを確信しながら、衝動が訪れないようにと、彼を何度も揺り動かしてきた。
憎しみ、怒り、なんでもよかった。問題なのは感情が動かないこと。腹の底に沈んだままの自己を呼び起こしさえしておけば、人間というのは簡単に日々に目を向ける。生活に忙殺されていけば、それが日常となる。死を頭に掠めても、直ぐに消え去る。死の衝動など、そんなものだ。
そこに現れたのがオメガの少年だった。二十歳を超えているというが、並外れた美貌と、ほっそりした外見から、どう見ても少女にしか見えない。悪く言えばオメガらしいオメガと言えた。
危険だった。彼らが関係を持っていないのが特に。番なのに、夫婦ではない。その事実が、なんの目的で番になったのかを物語っていた。
最初の訪問は昼だった。深夜にもしかしたらと再度訪ねたら、アランと、白髪の女性が白い物体を運ぶ現場に遭遇した。
人ひとりを運んでいるかのような大きさの物体に、予期せぬ出来事を想像する。
──死体、なのでは?
嫌な予感は当たるというもの。家の中の荒れた様子は、それを物語っていた。
綾女の姿が無い。まさか──
「──彼は病院です。明日には退院です」
アランの答えに胸をなでおろす。だがまだ安心は出来ない。なにせこの男には全く信用がない。
「全て話せ」
彼はあっさりと話しだした。綾女がペンマークを打たれたこと。中毒者となり精神が後退したこと。打った犯人が綾女の死んだ夫の弟だったこと。
「和典さんに、オメガホルモンを打たせたのも、稔だと判明しました。元々、和典さんを「転換」させて、番が解消したところを、自分のものとする予定だったようです。その前に不慮の事故で亡くなってしまい、綾女さんは過剰なオメガホルモンの投与でヒートバグを起こし、私以外、近づけなくなった」
不幸中の幸い、と言えるのかは分からない。思いがけず、綾女は稔の魔の手から逃れていたのだ。
「私の番になった後も彼は諦めきれず、私が無性で番としての繋がりが弱いのを知って、ペンマークで自分と番になれないかと試したそうです。番になれずとも、中毒となった綾女さんを手元に置いておけばいいとも思ったそうです」
「クソだな」
「本当に」
長い話をアランは短くまとめた。青のビニールシートをゴミごとひとまとめにしていく。
「あの白い布の正体は稔です。彼を吐かせる為に自白剤を投与しましたが、後遺症は残らないので、二三日したら普通に生活出来るでしょう」
「どこに運んだ」
「さあ?人目につく所に転がしておくと言ってましたね」
まとめたゴミを袋に押し込む。一袋を壁に置いて、一度奥に引っ込むと、アランは掃除機持って床を掃除し始めた。それからソファとローテーブルを元の位置に戻す。
「稔の歯型を取りました、綾女さんの首裏の噛み跡と一致すれば、科学的にも彼が犯人だと証明できます」
「警察に突き出せるな」
「突き出しませんよ。金持ちの息子に法律などありません。なんの解決にもなりませんし。報復されない為に、ちゃんとした物的証拠が欲しかっただけです」
一通り終えた所で、アランはキッチンへ行き、湯を沸かし始めた。
「何か飲みますか?私はコーヒー飲みますけど」
平然とそんなことを聞いてくる。今の今まで、ここで稔を拷問していたというのに。おかしくなった男は、五年前からこんな調子だ。
「寝れなくなるぞ」
「よくそう言われますけど、普通に寝られるんですよね」
慧も同じものを頼んだ。酒でも良かったが、まだ冴えていたかった。
ソファに座って待っていると、アランは二つのマグカップを持ってやって来た。手渡しだと熱いから、慧の分はローテーブルに置かれた。
隣にアランが座る。癖毛の黒髪が目を引いて、日に焼けていない白い肌を際立たせる。整った容姿と物ごし柔らかな性格で、学生の頃、逆ナンされたり言い寄られたり、密かに女性から人気があったのだが、本人の鈍さのせいで、一度も女性と付き合うこと無く学校生活を終えた。
「それ飲んだら帰ってください」
アランに言われる。物思いに耽っていた慧は、カップを持つ。
「自分が異常なことやってる自覚あんのか」
「犯人を特定出来るとまでは思っていませんでした」
「答えろ」
「異常でしょうね」
他人事のように、アランはカップに目を落とす。伏した目が見ているものを、慧には見ることが出来ない。
「殺してもよかったと思っています。トンボさんがいなければ、殺していました」
「アラン、お前ちゃんとカウンセリング受けろ」
何を言ってるんだという顔で、アランがこちらを見てくる。月に一回のカウンセリングを受けているだろうとという顔だ。
「あんなのはカウンセリングじゃない」だから先回りして言ってやる。「ただの睨み合いだ」
「慧が私に構うのは、私が好きだからですか?」
「は?なんでそうなる」
「綾女さんが言ってました。慧が私を見る眼差しは、恋人のそれだと」
「気色悪ぃこと言うなよ。俺は奥さん一筋だ」
一蹴すると、アランは、そうですねと呟いた。
「私も貴方が一緒に死んでやるって言った時、気持ち悪いと思いましたよ」
なんてことを言い出した。
「お前は知らないから言えんだよ。親友が首吊ったのを目の前で見た恐怖をな」
今でも、まざまざと思い出せる。足が宙に浮いている恐怖は、自分にしか分からない。あれを見てから慧は、何度もフラッシュバックし、一時期、安定剤を飲んでいた。
「カウンセリングを受けたとして、私に何を期待してるんですか。私が妻と子娘の死を乗り越えて、前向きになれと言うんですか」
「乗り越える必要は無い。前向きになる必要もない。ただ、お前が企んでいることを止めて欲しいんだ」
一時の沈黙が、図星だと物語っていた。無表情の植村アランは静かに立ち上がった。
「確かに、綾女さんがあの様になっては、今のところ手詰まりです」
「遠山綾女と死ぬ気だったんだな」
「そうです」
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「慧のせいですよ」
「俺?」
「貴方が一緒に死ぬなんて言うから、あれから死のうとしても、その時のこと思い出して、不可解で…ムカついて…。死ねなくなった」
「光栄だな」
「だから私は…あの子を巻き添えに…」
アランは顔を伏せて沈黙した。最後の言葉は聞こえなかった。
「──もう帰ってください。明日、綾女さんを迎えに行くので、寝たいんです」
そう言って振り返ったアランの顔は、あらゆる感情を呑み込んで、窒息しそうだった。
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