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4話

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「僕はイアン・ニコリッチ!
えーと、僕達は小さい時からずっと一緒に居て
情けないけど…弱っちぃ僕をいつもエイミーが助けてくれててね
本当に僕のこと忘れちゃった……?」


少し悲しそうに眉をひそめて、私の手を握る彼は表情が豊かでまるで子犬みたいで可愛らしい

幼馴染というやつかぁ
元の世界にはいなくて、少し憧れでもあった存在に胸が高鳴ったような気がした…

自分らしくもない


「私達の事を何か思い出したりはしましたか?」

「…いえ、やっぱりなにも」

「そうですか…
しかし無理をする必要はありません
ゆっくりと少しづつ思い出せるよう、私がお側でサポートさせていただきますから安心してください」

「僕も!!
いつも僕は守られてばかりで頼りないけど、こんな時には頼って!!なんでも聞いて!」

「ふふ、ありがとう」


なんて優しい世界なんだろう
私には似合わないような優しく綺麗な空間が、なぜかとても心地よくて
私の気持ちさえ優しくなってゆくような感じがして、自然と笑みを浮かんでしまう













その後も思い出話を混ぜながら話を聞かせてもらって、自分の事が少しだけ分かった



私の名前はエイミー・バーナード

この国の南西部を所有する貴族階級であるバーナード家の長女でつい最近17歳の誕生日を迎えた
そしてそんな私には4つ上の兄と2つ下の弟が居るらしい

兄のカルロス・バーナードは次期当主になる者として軍隊の指揮官をになっていて、イアンが言うにはとても強くたくましくみんなの憧れの存在だそう
現在は偵察の為留守にしているとの事


弟のアラン・バーナードはイタズラ好きでいつもイアンに意地悪を仕掛けるそうで、ノアや他の使用人もみな手を焼いてるみたいだ




「今日はこれくらいにしましょう
そろそろ日が暮れるてしまいます」

ノアが言う通り外は青い空が赤色に染まり始めており、そろそろ日が暮れることを知らせていた

「そうね、色んな話が聞けて楽しかったわ
ノアもイアンもありがとう」

「いえ、礼には及びません
明日は屋敷の中を回ってみましょう
エイミー様が良く行かれていた温室にも

イアン様も帰りの馬車が間もなく着くと思われますので、ご準備の方を」



「うん!
エイミー!また来るからね!!」

そう言いながら大きく手を振るイアンはこの家程では無いが貴族階級の一人息子らしく
父同士が昔からの大親友のようで、小さい頃から一緒に居ことも多く
暇な日には今でも共に過ごしているみたい





「エイミー様
お部屋の方へ案内しますね

旦那様や奥様はただ今外出なされていますので、今回の事については私の方から報告させていただきます。
本日は疲れが溜まったでしょう
自室でゆっくりなさって下さい」


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