アレハタレドキ [彼は誰時]

えだまめ

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復讐編

ep17 救出と出会い

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「すまん誠っ…… 遅くなった……!」


ガクトという名のその少年は 
そう言って布で刀に付いた血を拭いている 


「とりあえず 
自分はその子の拘束を解くから
皆にも少し遅れると伝えてくれ 」


私を助けてくれた少年は
ナイフを拾いあげてそう言った


「わかった でもその肩の傷が少し深そうだぜ?
だから早めに戻ってこいよ!」


そういってガクトと呼ばれる少年は
走って部屋を出ていった 
そうして私はその少年に解放された


「大丈夫? 怖かったよね、、」


と優しく話しかけてくれる
先程の堂々とした姿勢は完全に消え去っている


「あ、えっと、、」


言葉がうまく出ずに詰まってしまう
話すことにすら違和感があるようだった


「ありがとうございました…
怖くて、、身体が動がなかったんです… 」


何を伝えればいいのか分からず
そんな事を言ってしまって
少し後悔したけど彼は優しく頷いてくれて
嬉しかったのを覚えている…


「な、名前はなんですか?、、」


声が上擦るなか訊くと


「誠士郎です あなたは?」


と前の殺気とは考えられないほど
柔らかい声で答えてくれた


「わからないんです
名前も歳も生まれた場所も、、」


簡単に信じられるような話ではないけど
他にどうすることもできない私は事実のみを話した
ありのまま話を聞いてくれた彼に


「なら、もし良かったら…
記憶が戻るまでは一緒に行動しません?」


そう笑顔で提案された
身寄りもなかったためただただ嬉しかった私は


「お、お世話になります…」


一言勇気を出して応えたあと深々と頭を下げる
緊張で赤面し鼓動が速くなっていた 


「こちらこそ 」


彼は笑顔で応えてくれた
私は不幸中の幸いに救われたのだった



~~~~~~~~~~~~~~



誠士郎side 


数分後自分たちは男性の家を出て学校に向かう

道中で自分たちが倒したゾンビの死体を見て
少女はこれまでの経緯を分かる範囲で話しながら


「セイシロウさんは
これまで沢山ゾンビと闘って生きのびて
来たですか?」 


と訊いてきた


「まだ沢山ってわけではないけど
そうしないと生き延びれなかったからね、、」


「何故ですか?…… 」


自分がそうするのが当然だと思っていたことを
彼女は不思議そうに疑問を抱いている
少し戸惑いながらも自分は


「何故って殺してくるからかな、、」


一番共感を得られやすいだろう納得解を述べつ
少し変わった子だと思いながら彼女を見ていると


「ゾンビ…という敵は殺しにくるんですか?」


「えっと? どういう意味かな?…」


ソレを最後に自分は少し戸惑ってしまう
この子はチェンソーも知らないぐらいだから 
人の家に入って生活しようなんて思わないはず


そうなるとかなり長い間外に居たはずだ
少なくとも2、3日は………



「ゾンビは見ました あの男に拉致される前も」



そう彼女は静かな口調で話始めた
やっと自分は理解した


「あなたは
その時音を立てなかっただろう?」


ゾンビは音に敏感で聴覚を第一としている
そのため声を潜めてやり過ごしたのではないかと
そう推測したことを伝えると


「いえ、むしろ話しかけましたよ?」


そう何事もなかったように伝えてきた
予想外の応えに戸惑うばかりだった


「えっ!?……………」


我ながら後で恥ずかしくなるくらい驚いた


「でも、彼らは見向きもしません」


彼女は拗ねたように言った
元々の幼い顔つきがさらに幼くみえた。


「少し疑われている感じがするので
実際にやって見せますね 」


彼女の黄金の長髪が靡くなかそう言って微笑んだあと
目の前のゾンビに近づいていく


「お、おいっ! 危ないだろ…………!!」


すると自分のその声に反応したゾンビが
自分の方に向いて迫ってきた 



そのゾンビはそんなに足は早くないが……
少女とゾンビが向き合う形でお互いが近づく



ゾンビの狙いは声を出した自分なんだけど 
普通、近くに人が居たら狙うはずだ
しかしそのゾンビは 



その少女の横を素通りして自分の方へ来た
まるで彼女が見えていないかのように……………



( 自分は 何か見落としているのか?、、)


その光景をみて自分は
何も言えずにただそう思っていた

その後自分たちは 
無用な戦闘は避けるため走って学校へ帰還した


こうしてこの少女は
自分たちの5人目の仲間になる…

もしこの時の自分が
先の展開を知っていたのなら彼女は


あの男性に殺されていたほうが
マシだったのかもしれない


自分がソレに気づくのは
まだずっと先の話になるだろう


~ ep17完 ~

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