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餼羊編
ep1 未知との遭遇
しおりを挟む誠士郎side
「楽斗ッ! 右は任せるッ…………!! 」
複数のゾンビを前にそう叫びながら駆け出す
黒い木刀を握りしめ奴らに一閃を放った
ドギャアッ、、!!
地面と水平に放たれた木刀は
左から中央にかけてのゾンビ3体を弾き飛ばす
しかし隙が多く右側のゾンビに対応できない
そこで頼れるお仲間の出番だ
「おうッ! 任せろぉッ………!! 」
楽斗が呼応して自分の背後から前へ踏み出し
ゾンビの正面へと飛び出していき
ズバァッ!!…………
愛用している日本刀を鞘から抜いて
上段でゾンビの顔面を真っ二つに切断した
ゾンビの体液が辺りに飛び散っている
その後、彼はさらに前進しゾンビ2体を屠った
「だいたい終わったみたいかな?
でも楽斗…………一応の警戒はしといて」
「全くよぉー…お前は慎重すぎだよなぁ
周りからは音も聞こねぇし大丈夫だってっ 」
「楽斗が呑気すぎるんだよ……
間違いなくこの世界では死神が彷徨ってるんだ
気を抜いてたら誰でも死ぬよ? 」
「 へいへーーい 」
納得できないのか何やら彼は不服そうだ
しかし今は彼に構っている暇はない
徹底的にゾンビ達を叩かなければならないのだ
すぐに自分達は西へと足を進めた
今は少しでも多く奴らを殺し…
少しでも多くの経験を得て戦闘慣れしておくべきだ
自分らが何故こんな事をしているのかというと
10日ほど前にあったことが発端となっていた
歩きながらソレを思い出していると
「結構俺ら強くなったんじゃね?」
楽斗が刀の鍔をイジりながら口を開いた
大分慣れてきているとは思うが
「まだまだ 足りないさ 」
苦笑しつつ自分はそう答える
そして続けて
「奴は かなり強いはず、、 」
ソレには楽斗も同じことを思ったのか
黙って頷いていた
10日前に遡ることにしよう
楽斗達には秘密にしていることだが
自分は河島達への復讐を終えてから学校に戻った
すると楽斗らによりある日助けた女子が
まさかの河島のであったことを知る
その妹は自分と入れ違うように
河島の家へ向かったらしい
妹さんが向かっている河島の家では
自分と河島とあるゾンビが三つ巴で殺し合い
結局は自分のみが生き残り復讐を果した
しかしそんなことは知る由もなく
彼女は普段通りに家に戻ったのだろう
河嶋とゾンビが転がっているその家へと………
その後、彼女の消息は不明になってしまう
すぐに河島の家へ自分達は向かったのだが
彼女は上半身と下半身が
切り離された状態で惨殺されていたのだ
切り口から判断して一撃で真っ二つにしたようだ
かなりの怪力の持ち主なのだろう………
( …これは?………… )
遺体の側には赤く染まったトランプが
装飾のように置いてあった
どこかその空間は宗教的な儀式のようだった
「くそっ…………遅かったか、、 」
復讐を終えた時よりも生臭くなっていた部屋…
背後から美九の泣いている声が聞こえる
トランプを握りその日は学校へ戻ることにした
誰かが……無差別に人を殺しまわっている……?
それも胴体を真っ二つに切断できる武器…
詳しくは大剣か大斧と言ったところだろうか…?
ソレを装備した怪物が存在している
~~~~~~~~~~
こうして奴に備えるためにも始めたのが
徹底したゾンビの排除である
意外にも東真が提案したものだった
「誠、 日が沈みだしたしそろそろ帰ろーぜ? 」
楽斗の声が思考中だった自分を引き戻す
そうして自分達はいつも通りに保健室に帰った
今日の戦果は上々だったと思う
「ただいまー! 」
何事もなく学校へと帰還しそう言いながら
保険室のドアを開けると
「セイシロウさんっ ガクトさんっ
お二人がご無事で良かったです…………」
目の前にはリータが待っていた
初めて来た頃よりは随分と明るくなったようだ
自分と楽斗は彼女を労ったあとに
「リータ、 美九はどこにいるのかわかる? 」
自分は彼女の姿が見えないのが気になり
リータにそう聞くと
「ミクさんは 奥のベッドで………… 」
リータがそう言おうとした時に
廊下からドタドタと足音が近づいてきた
自分は楽斗に視線を送りながら身構えていると
バタン、、!!
入口のドアが凄い勢いで開けられた
そして東真が姿を現した
「せ、誠士郎ッ………!! 」
自分を見るや至近距離で叫ばれる
呼吸の荒さから何かがあったのは察したが
自分は歩み寄って彼の肩に手を置き
「東真、とりあえず落ち着いて………
何があってそんな焦って、、 」
「巨大なゾンビを見たんだよっ……
今までに会ったことないぐらいの……!! 」
自分が言い終わらないうちに被せてくる
そして彼は保健室を飛び出し
「とりあえず……来てくれッ……!! 」
叫び駆けていく東真を追いかけねばならない
自分は楽斗と共に
彼の誘導のままに保健室を飛び出した
~ ep1完 ~
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