19 / 30
エノクの言葉
しおりを挟む
さて、なんで俺がこんな話を始めたのかっていうとだな、アカデミーでの模擬戦が開始されたからさ。
アカデミーじゃ、誰が勝つか賭けが行われていた。
俺もそのトトカルチョに参加しようと思ったが、生憎と模擬戦参加者はチケットが買えないんだとさ。
だから他の奴に買わせたよ。おっと、もう時間だ。それじゃあ、試合を始めるとするか。
審判の試合開始の掛け声とともにカズマと美紀が動き出す。
同時に対戦チームもな。
相手チームがインプやイーターを召喚し、魔法で俺達に攻撃してくる。
それで最初にこっちは攻撃せずに防御と回避のみで対処し、それに飽きてきた所で一気に畳んでやった。
今のカズマと美紀からすれば、相手チームはただの雑魚だ。
同レベル帯でも苛烈極まるアウトサイダー達とでは異なる。
なんせ、アカデミーの生徒達と違って、アウトサイダーはなんでもありだからな。
それから俺達は他のチームの模擬戦を観戦してから、夜へと繰り出した。
二十三
マッドブラッズの連中は少々狂ってはいるが、気のいい奴らが多い。
アフロが言うには、マッドブラッズは元々は自警団だったようだが、いつのまにかギャング化しちまったって話だ。
最初に結成された頃は、不逞な暴漢魔や徒党を組んだ暴徒、そして彷徨うデーモンから近隣住民を守るという目的があったようだけどな。
その事があって、今でも一部のチームからはマッドブラッズは毛嫌いされてる。
特に朝鮮系と中国系からは目の敵にされていると言って良い。
この国の混乱期に朝鮮系と中国系のグループが手を組んで、暴れまわっていたのを食い止めていたから、
未だにその事を根に持っているようだ。
その当時は本当に酷かったって話だ。なんせ、警察機関がほとんど機能してなかった。
だから略奪はやり放題で、武装した朝鮮と中国のグループは好き勝手に荒らしまわっていたようだ。
で革新勢力の奴らも朝鮮系と中国系の暴徒グループと手を結んで、
日本の混乱に便乗して各地の自治体を乗っ取ったりと、この時期の国内は騒がしかったみたいだな。
その名残の革新自治体(注四十六)だって結構残ってるようだし。
注四十六「革新自治体(かくしんじちたい)は共産党とかの左翼、革新勢力が首長になってる地方自治体のことだ」
そういえば、俺も異界から朝鮮系のグループが警察署を襲撃してる場面を何度か見たことがあったぞ。
まあ、それだって安定期に入ると徐々に収まってきたけどな。
警察だってそれまでの装備を一新させて、銀の弾丸とタリスマン、召喚用プログラム、
それからアサルトライフルやショットガンで武装するようになったしよ。
で、そうなると自警団は徐々に不要な集団になってきた。
それまでは近隣の住民達に大いに持て囃されてきたんだが、一転して邪魔者扱いされるようになってきた。
それまで助けてもらった恩を忘れて住民達は自警団を邪険に扱い、
それで自警団の方も不貞腐れて悪さを働くようになった。
あとはそのままアウトロー化だ。結局の所、人間なんてそんなもんさ。お互いにな。
ああ、言っておくけど俺は別にどっちも責めてるわけじゃないぜ。
俺が言いたいのは良くも悪くもそれが人間だってことだ。
俺はケチャップで汚れた指先をペーパーナプキンで拭った。ここのフライドポテトはカリっとしている。
萎びたフライドポテトも悪くはなかったがね。
店内に流れる曲に耳を傾ける。曲はローディの<ハードロックハレルヤ>だった。
店の名前は<ダークボトム>ここがマッドブラッズの溜まり場だ。
居心地はまあまあってとこだな。
俺は店員にコーク入りジャンジェーエールを追加で持ってくるように頼んだ。
「今回の対戦チームが弱くて助かったけど、次の相手はどうなんだろうな、明」
「そんなもん、戦って見なけりゃわからないさ」
俺はジャンジャーエールを舐めながら答えた。
「模擬戦だっけか。レベル的にはどうなんだ?」
アフロ鈴木が横から口を挟んできた。
「一番の優勝候補チームの片割れが南羅レベルってとこだな。そのチームの筆頭が四十レベルって話だ」
「四十レベルか。そりゃ、すげえな。相手にしたくはねえぜ。他にもそんな奴らがゴロゴロしてるのか?」
「いや、そいつらふたりが突出してるだけだ。他の生徒たちは十レベルもありゃ、上等だ」
俺はアフロに頷いてみせた。
「十レベルなら俺のチームの駆け出しってとこだな。俺達のチームは十五レベルになって初めて一人前だぜ」
「なるほどな。そういえば、アフロ、お前レベルいくつなんだ?」
「俺は三十四レベルってとこだ。チームのリーダーを張るにゃ、三十レベルはねえときついからな」
実力的には舞より上、京一の下ってとこか。
「でもよ、正直、お前らがチームに入ってくれて助かったぜ。他のチームの奴らも最近じゃ、
ビビって滅多に襲撃仕掛けてこなくなったしな」
「そりゃ、よかった。所で物は相談だけど、メンバー達連れて、異界に修練積みにいかねえか?
全体的なグループの向上を図るんだ。他のグループに負けないようにな」
「そりゃ、願ってもないが、良い場所知ってるのか?」
「ああ、知ってるぜ」
二十四
<エノク語>で書かれた護符を持った舞が、次々にデーモンを蹴散らしていく。
エノクは三百六十五歳まで神と一緒におり、人間のまま天に運ばれた伝説上の人物だ。
その時、エノクが天使達との会話に使用していた言語が、のちにエノク語と呼ばれるようになった。
エノク語はアダムが使っていた言語でもある<リンガ・アダミカ>とも共通している。
このリンガ・アダミカは神や天使の言葉を知ることが出来る神聖言語だったが、
禁断の知恵の実を食べて楽園から追放されたアダムは、この言葉を失ってしまったとされている。
「絶対にあのチビを倒してやるんだからっ」
アカデミーじゃ、誰が勝つか賭けが行われていた。
俺もそのトトカルチョに参加しようと思ったが、生憎と模擬戦参加者はチケットが買えないんだとさ。
だから他の奴に買わせたよ。おっと、もう時間だ。それじゃあ、試合を始めるとするか。
審判の試合開始の掛け声とともにカズマと美紀が動き出す。
同時に対戦チームもな。
相手チームがインプやイーターを召喚し、魔法で俺達に攻撃してくる。
それで最初にこっちは攻撃せずに防御と回避のみで対処し、それに飽きてきた所で一気に畳んでやった。
今のカズマと美紀からすれば、相手チームはただの雑魚だ。
同レベル帯でも苛烈極まるアウトサイダー達とでは異なる。
なんせ、アカデミーの生徒達と違って、アウトサイダーはなんでもありだからな。
それから俺達は他のチームの模擬戦を観戦してから、夜へと繰り出した。
二十三
マッドブラッズの連中は少々狂ってはいるが、気のいい奴らが多い。
アフロが言うには、マッドブラッズは元々は自警団だったようだが、いつのまにかギャング化しちまったって話だ。
最初に結成された頃は、不逞な暴漢魔や徒党を組んだ暴徒、そして彷徨うデーモンから近隣住民を守るという目的があったようだけどな。
その事があって、今でも一部のチームからはマッドブラッズは毛嫌いされてる。
特に朝鮮系と中国系からは目の敵にされていると言って良い。
この国の混乱期に朝鮮系と中国系のグループが手を組んで、暴れまわっていたのを食い止めていたから、
未だにその事を根に持っているようだ。
その当時は本当に酷かったって話だ。なんせ、警察機関がほとんど機能してなかった。
だから略奪はやり放題で、武装した朝鮮と中国のグループは好き勝手に荒らしまわっていたようだ。
で革新勢力の奴らも朝鮮系と中国系の暴徒グループと手を結んで、
日本の混乱に便乗して各地の自治体を乗っ取ったりと、この時期の国内は騒がしかったみたいだな。
その名残の革新自治体(注四十六)だって結構残ってるようだし。
注四十六「革新自治体(かくしんじちたい)は共産党とかの左翼、革新勢力が首長になってる地方自治体のことだ」
そういえば、俺も異界から朝鮮系のグループが警察署を襲撃してる場面を何度か見たことがあったぞ。
まあ、それだって安定期に入ると徐々に収まってきたけどな。
警察だってそれまでの装備を一新させて、銀の弾丸とタリスマン、召喚用プログラム、
それからアサルトライフルやショットガンで武装するようになったしよ。
で、そうなると自警団は徐々に不要な集団になってきた。
それまでは近隣の住民達に大いに持て囃されてきたんだが、一転して邪魔者扱いされるようになってきた。
それまで助けてもらった恩を忘れて住民達は自警団を邪険に扱い、
それで自警団の方も不貞腐れて悪さを働くようになった。
あとはそのままアウトロー化だ。結局の所、人間なんてそんなもんさ。お互いにな。
ああ、言っておくけど俺は別にどっちも責めてるわけじゃないぜ。
俺が言いたいのは良くも悪くもそれが人間だってことだ。
俺はケチャップで汚れた指先をペーパーナプキンで拭った。ここのフライドポテトはカリっとしている。
萎びたフライドポテトも悪くはなかったがね。
店内に流れる曲に耳を傾ける。曲はローディの<ハードロックハレルヤ>だった。
店の名前は<ダークボトム>ここがマッドブラッズの溜まり場だ。
居心地はまあまあってとこだな。
俺は店員にコーク入りジャンジェーエールを追加で持ってくるように頼んだ。
「今回の対戦チームが弱くて助かったけど、次の相手はどうなんだろうな、明」
「そんなもん、戦って見なけりゃわからないさ」
俺はジャンジャーエールを舐めながら答えた。
「模擬戦だっけか。レベル的にはどうなんだ?」
アフロ鈴木が横から口を挟んできた。
「一番の優勝候補チームの片割れが南羅レベルってとこだな。そのチームの筆頭が四十レベルって話だ」
「四十レベルか。そりゃ、すげえな。相手にしたくはねえぜ。他にもそんな奴らがゴロゴロしてるのか?」
「いや、そいつらふたりが突出してるだけだ。他の生徒たちは十レベルもありゃ、上等だ」
俺はアフロに頷いてみせた。
「十レベルなら俺のチームの駆け出しってとこだな。俺達のチームは十五レベルになって初めて一人前だぜ」
「なるほどな。そういえば、アフロ、お前レベルいくつなんだ?」
「俺は三十四レベルってとこだ。チームのリーダーを張るにゃ、三十レベルはねえときついからな」
実力的には舞より上、京一の下ってとこか。
「でもよ、正直、お前らがチームに入ってくれて助かったぜ。他のチームの奴らも最近じゃ、
ビビって滅多に襲撃仕掛けてこなくなったしな」
「そりゃ、よかった。所で物は相談だけど、メンバー達連れて、異界に修練積みにいかねえか?
全体的なグループの向上を図るんだ。他のグループに負けないようにな」
「そりゃ、願ってもないが、良い場所知ってるのか?」
「ああ、知ってるぜ」
二十四
<エノク語>で書かれた護符を持った舞が、次々にデーモンを蹴散らしていく。
エノクは三百六十五歳まで神と一緒におり、人間のまま天に運ばれた伝説上の人物だ。
その時、エノクが天使達との会話に使用していた言語が、のちにエノク語と呼ばれるようになった。
エノク語はアダムが使っていた言語でもある<リンガ・アダミカ>とも共通している。
このリンガ・アダミカは神や天使の言葉を知ることが出来る神聖言語だったが、
禁断の知恵の実を食べて楽園から追放されたアダムは、この言葉を失ってしまったとされている。
「絶対にあのチビを倒してやるんだからっ」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる